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麻生太郎の発言に見る政治家の資質

2013-08-04 12:08:21 | 政治
ご存知の通り、麻生太郎氏が、ナチスに憲法改正の手法を学んではどうかと発言した。昨日まで長めの夏季休暇を取り海外滞在していたのだが、最近はこの話題が大きくクローズアップされているのはWeb上のメディアを眺めてみてもよく分かる。第一印象は、またか、というものだった。そして内容が内容だけに救いようがない。橋下氏の慰安婦発言も(正論であるかあるいは共感できるかはともかく)酷かったが、それよりよりも問題である。

まず、ナチスに対して肯定的なメッセージを発したことが問題だ。慰安婦問題等とは違いナチスの非人道的犯罪は明白である。その後のドイツ政府含め誰もが(一部に狂信的信者がいることは否定しないが)、ナチスの行った非人道的所業を憎み、同じ過ちを繰り返さないことについて反論は無いと思う。確かに、積極的な広報宣伝の活用等、参考になる手法はあるし、その後の世界は似たような戦術を取ってきたことは否定しない。しかし、ナチスはタブーなのである。仮に過去のナチスの手法に何かを学んだとしても、それが平和目的だったりユダヤ人のためであれ、「ナチスの手法を参考に」と言ってはならないのである。麻生氏はその後言訳をしているようだが、本人の意図等どうでも良いのだ。ナチスに共感を示すことは、人に嫌悪感を与える、これだけである。時が経てばこの禁忌が有名無実化する日が来るかもしれない。しかし我々が生きている時代では、特に欧米社会では一般人であってそんな事を口にすれば周りに誤解を与え、大いに引かれてしまうし、政府高官となれば絶対に口にしてはならないのである。

また、内容も問題だ。彼が言いたかったことは、混迷の中ある種勢いで憲法改正の方向に国民世論をまとめあげようということだと理解した。端的に言えば、面倒くさい国民を適当に騙して、熱狂の渦を巻き起こし、憲法を改正しちまおう、ということだ。主権者である国民の議論を骨抜きにしてしまおうと公の場で口にしてしまったわけである。これは民主主義、日本国そして国民を馬鹿にしている。国民は大いに怒るべきだ。ただ私は別な観点で、この発言が困ったものだと思っている。私は日本国民の成熟度には全く期待していないし(政治の質は、国民の成熟度の反映である)、混迷期の日本に民主主義が最適な政治システムだとは思わない。それこそ明治維新のような、ある種荒療治が必要だと思う。しかし、内心そのように思っていても、政治家は口にしてはならない。口にした途端、その思いが実現することは無い。秘密裏に着々と準備してこそ、大望は成就するのである。その点で、憲法改正の実現は更に遠のいたと言ってよい。

麻生氏のナチス発言に見る2つの問題点を挙げたが、そもそもこの方が政治家に相応しいのか、大いに疑問である。確かに私含め保守支持者にとって言ってほしいことをズバッと言ってくれるし、陽気な振る舞いから好感を抱かないわけではない。しかし、いかにも軽いのである。言葉も行動も何もかも軽い。何不自由なく育った金持ちのボンボンという印象だ。イメージだけで言うのは問題なのでより具体的に言おう。今回のナチス発言で麻生氏は国際社会のこと(ご本人は英国留学経験があり国際通をぶっているようだが)、そして公の場での発言の影響を理解していないことが露呈した。そして、その発言は、海外からの反発を招き、国家の信頼や利益を低下させる可能性がある。更に、国内からの反発は政権を不安定にするかもしれない。更に、氏の失言は今回の一件だけではない。過去何度となくやらかしている。国家のかじ取りを任せるに値しない男だと私は思う。今後内閣改造の機会があるならば、副総理と大臣職を辞任するべきである。


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