Paradise for Stupids

愚者の楽園たるこの国周辺で起こる愉快なことをつぶやきます

麻生太郎の発言に見る政治家の資質

2013-08-04 12:08:21 | 政治
ご存知の通り、麻生太郎氏が、ナチスに憲法改正の手法を学んではどうかと発言した。昨日まで長めの夏季休暇を取り海外滞在していたのだが、最近はこの話題が大きくクローズアップされているのはWeb上のメディアを眺めてみてもよく分かる。第一印象は、またか、というものだった。そして内容が内容だけに救いようがない。橋下氏の慰安婦発言も(正論であるかあるいは共感できるかはともかく)酷かったが、それよりよりも問題である。

まず、ナチスに対して肯定的なメッセージを発したことが問題だ。慰安婦問題等とは違いナチスの非人道的犯罪は明白である。その後のドイツ政府含め誰もが(一部に狂信的信者がいることは否定しないが)、ナチスの行った非人道的所業を憎み、同じ過ちを繰り返さないことについて反論は無いと思う。確かに、積極的な広報宣伝の活用等、参考になる手法はあるし、その後の世界は似たような戦術を取ってきたことは否定しない。しかし、ナチスはタブーなのである。仮に過去のナチスの手法に何かを学んだとしても、それが平和目的だったりユダヤ人のためであれ、「ナチスの手法を参考に」と言ってはならないのである。麻生氏はその後言訳をしているようだが、本人の意図等どうでも良いのだ。ナチスに共感を示すことは、人に嫌悪感を与える、これだけである。時が経てばこの禁忌が有名無実化する日が来るかもしれない。しかし我々が生きている時代では、特に欧米社会では一般人であってそんな事を口にすれば周りに誤解を与え、大いに引かれてしまうし、政府高官となれば絶対に口にしてはならないのである。

また、内容も問題だ。彼が言いたかったことは、混迷の中ある種勢いで憲法改正の方向に国民世論をまとめあげようということだと理解した。端的に言えば、面倒くさい国民を適当に騙して、熱狂の渦を巻き起こし、憲法を改正しちまおう、ということだ。主権者である国民の議論を骨抜きにしてしまおうと公の場で口にしてしまったわけである。これは民主主義、日本国そして国民を馬鹿にしている。国民は大いに怒るべきだ。ただ私は別な観点で、この発言が困ったものだと思っている。私は日本国民の成熟度には全く期待していないし(政治の質は、国民の成熟度の反映である)、混迷期の日本に民主主義が最適な政治システムだとは思わない。それこそ明治維新のような、ある種荒療治が必要だと思う。しかし、内心そのように思っていても、政治家は口にしてはならない。口にした途端、その思いが実現することは無い。秘密裏に着々と準備してこそ、大望は成就するのである。その点で、憲法改正の実現は更に遠のいたと言ってよい。

麻生氏のナチス発言に見る2つの問題点を挙げたが、そもそもこの方が政治家に相応しいのか、大いに疑問である。確かに私含め保守支持者にとって言ってほしいことをズバッと言ってくれるし、陽気な振る舞いから好感を抱かないわけではない。しかし、いかにも軽いのである。言葉も行動も何もかも軽い。何不自由なく育った金持ちのボンボンという印象だ。イメージだけで言うのは問題なのでより具体的に言おう。今回のナチス発言で麻生氏は国際社会のこと(ご本人は英国留学経験があり国際通をぶっているようだが)、そして公の場での発言の影響を理解していないことが露呈した。そして、その発言は、海外からの反発を招き、国家の信頼や利益を低下させる可能性がある。更に、国内からの反発は政権を不安定にするかもしれない。更に、氏の失言は今回の一件だけではない。過去何度となくやらかしている。国家のかじ取りを任せるに値しない男だと私は思う。今後内閣改造の機会があるならば、副総理と大臣職を辞任するべきである。

表現の自由:自由には義務がつきものであることは世界の常識である

2013-07-13 23:24:44 | 政治
参院選まで残り1週間、選挙運動も佳境に入りつつある。毎日のように各党派のキーマンが報道番組に出演し、それぞれの主義主張を訴えている。自民党と公明党を除き切羽詰っているようで、一歩引いて見てみるとなかなかに面白いエンターテインメントである。ここでいう"面白い"は"興味深い"ではなく"下らない"ですけとね。

なかでもやはり民主党の面々はその表情を眺めているだけで、イッちゃっている感じである。本日ウェークアップ・プラスにはモナ男こと細野氏が出演していたのだが、その必死さは滑稽さを通り越し悲哀が漂っていた。例によって無責任な与党批判に雄弁をふるっていたが、看過できなかったのが憲法改正、特に自民党の憲法21条改正案についての批判であった。

憲法21条は表現の自由に関する条文であるが、自民党案はこれに「前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない」と付け加えるものである。規制の対象が曖昧であり、このままだと国家権力による表現の自由の侵害を招きかねない。よって条文の洗練化や関連法の整備が必要と、私は考える。しかし、自民党案の基本的ま考え方には賛同する。

なぜならばこの憲法下での戦後70年を振り返ってみると、表現の自由という権利のみを主張する無責任な体質がしみついてしまったと心から思うからだ。特にマスメディアによる国益に反する報道、度を過ぎた政府批判、事件にすらならないゴシップの連呼による個人攻撃、過度な弱者の保護、これらによって我が国は確実に弱体してしまった。確かに、国家権力は怖い存在であり、常にその挙動を監視しておく必要はある。しかし心ある政治家や官僚が守ろうとしている日本国とは、我々一人一人が構成員となっているコミュニティなはずだ。我々には、我々の生命・財産を守るため、我々のコミュニティを壊しかねない過度な報道を規制する術が必要なのだ。具体的には、法的な規制であり、それが自民党案には組み込まれている。だから、私は自民党の憲法21条改正案に賛成する。

更に言えば、これは以前当blogで触れたことであるが、1966年国連で採択された市民的及び政治的権利に関する国際規約第19条第2項は表現の自由を定めたものであるが、表現の自由の行使は「特別の義務と責任」を以て為されなくてはならず、「他の者の権利、国の安全、公衆の健康や道徳の保護の目的のため、一定の制限を科すことができる」ことが、明記されている。自由には責任がつきものであると言っているのだ。これを自民党案と比較してみると、驚くなかれ本質的には同じことを言っている。1976年、日本国は同規約を批准しており、効力が発効している。つまり自民党の憲法21条改正案は、同規約に沿って条文を改正し、国際標準に合わせているに過ぎないのだ。

自民党の憲法21条改正案に反対しているのは民主党だけではなく、社民、共産、緑の風等無責任な反日政治団体が多い。モナ男氏が"市民的及び政治的権利に関する国際規約"を知らないのは、浮気に忙しくて、単純に不勉強なだけかもしれない。しかしこれらの反日党派にとっては死活問題であるから、多くの国民が無関心である憲法21条改正案を殊更クローズアップして、反対の意思表示をしているのである。自民党の憲法21条改正案が通り国際標準なみに表現の自由に義務が課せられるようになれば、彼らによる国益を損なう反日活動が制限されるからだ。

更に、マスメディアも反対の大合唱である。別に反日メディアじゃなくても、報道や出版に規制が増えれば、これまでの仕事のやり方を改める必要が出てくるわけで、歓迎という態度からは程遠いことは容易に想像できる。しかし、我々は心しなければならない、マスメディアも権力であるということを。これまで彼らは大した責任も追わず、あっけらかんと野放図に、愚劣な報道を続けてきた。国民の意思として、そんな彼らにNoを突きつけるべきである。

沖縄は獅子身中の虫なのか

2013-06-16 23:47:50 | 政治
日本のような小さな国でも出身地を巡る話題は人気があるようで、出版物はもとよりテレビのバラエティ・ショーも一定の人気を博しているようだ。出身地に関心が集まるとなると、好き嫌いのランキングをつけようとする者が出てくるのは自然な流れである。先日目にした嫌いな県人ランキングで印象的だったのが、首都圏や大阪・京都・兵庫の近畿といった大都市圏に加えて、沖縄県人が嫌いな県人の上位にランキングされていたことである。何が皆の反感を買っているのか興味を抱いたのである。

私個人の考えを述べれば、沖縄を巡る様々な物事、関与する人々に、胡散臭さを感じている。また経済的な点では、米軍基地設置の見返りに得ている莫大な補助金ばらまきに対して、不公平感を抱いている。更に、第二次大戦の地上戦並びに米国統治を盾にした過度の被害者意識の表明には辟易している。この点に関しては、まるで朝鮮のコピーと見紛うばかりである。更に、そのような沖縄の立場を強硬に主張し支援する一部の沖縄人や、プロ市民風の本土の支援者を嫌悪している。このような印象を持つ人間は、へそ曲がりの自分位なものかと思っていたのであるが、理由はどうあれ、沖縄をよく思わない人は相当多いと知って驚いた。

ところで、先週、"たかじんNOマネー"という番組で、橋下徹氏の発言に激怒した水道橋博士という芸人が、生放送中に番組を降りたという珍事件が発生した。たかじん氏の番組は、私の住む東京では放映されていないので、YouTubeを検索していたところ、このようなビデオを発見した。

沖縄出身の元自衛官、惠隆之介という人が、テレビ番組の中で沖縄の問題点を告発したビデオである。詳しくはこちらのリンク先を見ていただきたい。

このビデオを見て印象に残ったのは次の4点である。

沖縄米軍基地の土地所有者は、沖縄には住んでいない。高額な補償金等を得て、首都圏の高層マンション等で優雅な生活を送っている。

県民所得は低いが、年収1000万円以上の高額所得者数は日本国内で17番目である。組合幹部を中心に、国からの補償を懐にいれているらしい。ベンツで通勤する教師もいるとかいないとか。

沖縄には独立や中国との連携を真剣に図る一派がいる。沖縄県主催のイベントに日本側の予算で中国要人を招いたり、北京の方向に向いて「中国万歳」と斉唱している。

沖縄のマスメディアは米軍や日本(本土)の悪い点は報道するが、良いニュースは無視するか扱いが小さい。


これらが事実なのであれば看過出来るものでは無い。日本国は沖縄県に対して十分すぎるほどに補償はしてきた。一種の産業としてみれば、米軍基地は非常に良い飯のタネである。米軍兵士の犯罪を殊更糾弾するが、在日朝鮮人の犯罪率と比較してどうなのか興味深いものである。米軍兵士がそんなに極悪非道の輩なのか。戦後70年になろうとする今、そろそろこの手の戦中戦後のくびきは抜本的に絶ち、独立主権国家として法整備を進め、国家反逆に繋がる活動は徹底的に取り締まってほしいものだ。

野中広務氏:支那の工作員と呼ばせていただきたい

2013-06-09 23:20:52 | 政治
このところ、ご本人や古賀誠氏等一派をしばしばテレビで見かけると思っていたら、先週後半から例の尖閣棚上げ合意で騒がれている。日中国交正常化の際に、田中角栄前首相が中華人民共和国首脳と尖閣棚上げを口約束で合意したと、田中氏本人から口頭で聞いたと喧伝している。

これが何故問題なのかは、多くの方々が発言しているので詳しくは述べない。単純に言えば、尖閣は日本固有の領土であり、領土問題は無いという日本政府の立場を棄損し、支那に有利な証言であること。そして、それが嘗ての政府首脳から発せられたということだ。

ご本人は、日本のためと仰っているが、日本の利益には繋がらず、むしろ明らかに不利益となっている。かつての日本国首脳の発言として尖閣棚上げが発せられることにより、領土紛争地域であることを我が国自身が認めていた可能性を示唆することとなる。支那からすれば大いなる前進だ。

領土問題の完全解決は武力に依るしかなく、平和裏に事を収めるには、結局のところ棚上げしかない。しかし、日本の国益を考慮するならば、あくまで領土問題は無いという立場を取りながら、裏で支那と何らかの妥協をしつつ、棚上げに持ってゆくという外交手法を取るべきなのだ。反戦平和を唱える野中氏であるからこそ、そのようなスタイルでの外交を陰からサポートするなら理解できる。それが、全く日本の国益に反したスタンドプレイは、日本を憂える元政治家の行動とは思えない。しかも、文書など証拠が残っている訳でもなく、伝聞でしかないという。「この俺だけが聞いたのだ。俺の命令は上様の命令だ。だから従え。」ということか。まるで柳澤吉保に代表される江戸時代の側近政治ではないか。正に野中一派の密室芸ここにありである。彼らの世界観は、法治主義や民主主義の対極に位置しているようだ。

この手の輩に対する効果的な接し方は、無視、そして相手にしないことである。国を憂える気持ちがマスメディアに少しでもあるならば、鳩山氏や野中氏等による国益に反する所業に関しては無視を貫いていただきたいところである。

年金問題

2013-06-08 10:44:51 | 政治
先週末だったか何気なく見ていた報道番組で、あるキャスターが"XX年後には、老人一人の生活を1.8人で支えなければならなくなる"と言っていた。また、受給開始年齢を67-8歳に先送りをという声も出てきている。既知の話題ではあるが、ちょっと気になっていたのでネットで検索したところ、ちょっと古いがこのような統計情報が見つかった。


高齢者一人を支える生産年齢人口は、2025年で2人を切り、2055年には1.3人を切るという。1995年には4.8人で高齢者一人を支えていたわけだから、それに比較すると、大きな違いであり、若い世代にとっては、これまで以上の大きな負担となる。

その一方で、マスメディアが取り上げる現在の年金受給者の中には、潤沢な企業年金も合わせて、かなりリッチな老後を送っている方々もいるようだ。私が偶然目にした番組では、月額60万円以上を受給している方を紹介していた。60万円は極端な例かもしれないが、私の先輩の方々レベルでも、40万円以上は貰っているようで、企業年金は終身で支給されるという。一方、同じ会社に勤めているにも関わらず、私はそんなに優遇されることはないはずだ。数年前、全社員が呼び出され、企業年金の段階的減額と、終身支給制度の終了が通知されたからだ。経済状況の悪化は現実としてあるのだから、是非もない。しかし、納得できないのが、世代間格差である。早く生まれ、早く定年退職さえしていれば、優遇されるというわけで、やり逃げされたという不公平感を抱くのは自然だろう。企業年金だけではなく、国レベルの公的年金でも同じことが言える。つまり、少子高齢化を招いた世代は老後を謳歌し、少子高齢化の不始末を、後に残された世代が引き継ぐという図式に釈然としないのは私だけではないだろう。

年金問題は、現行年金システムの破たんのリスクを孕んでいることに加え、国民の消費動向にも大きく影響している。私自身、若いころから、給与のそれなりに大きな部分を、老後の資金として貯蓄している。

また、子供を持ちたくないと考える若い世代も増えるだろう。自身の経済的状況が許さないということもあるだろう。生まれてくる自分の子供に苦労させたくないと考える親もいるはずだ。苦労するくらいなら産まないという選択である。私自身、後者と同じ考えを抱いていた(妻の希望を入れて結局子供を授かることになったが)。年金の不安が、更なる少子化を招くという構図である。

更に、このような不合理な仕組みに巻き込まれることを嫌って海外移住を図る人もいるはずだ。私の同僚の中には、それもあって子供をインターナショナル・スクールに通わせている人がいるし、わが家でも帰国子女プログラムが充実している学校に子供を通わせ、いざ海外で学習・就職したいという希望に応えられるよう準備している。

残念ながらこの問題の解決の糸口は全く見えない。民主党のミスター年金(笑)、上妻議員に世間の期待が集まったが、リーダーシップの欠如という彼自身の人格上の欠陥と共に、見かけ倒しに終わった。

外野から見ていて奇異に思うのは、何故現在受給されている方々の受給額を減額調整しないのか、という点だ。老人を中心に票を減らしたくない政治家の無責任に加えて、既に契約に基づいて発給中の案件を、一方的に減額などできないというのがその理由であろうと想像はつく。しかし、年金どころか国家財政は既に破たんしていてもおかしくないほどの赤字大国のこの国で、過去の規約に基づいて延々と満額発給しているのは不合理である。デフォルトに至るまでこの状況を続けるつもりなのか。

何も全受給者の受給額を減額せよとは言わない。企業年金などで経済的に潤沢な方々の公的年金を減額することは出来ないのであろうか。最近そして近い将来受給される方々は日本の人口ピラミッドの中で、一番ボリュームの大きい世代に属している。この山を乗り切ることが出来れば、ひと段落となるのではないか。

また、人口の増減に影響を受けやすい現行の賦課方式をやめ、積み立て方式など他の手法に切り替えるという選択肢をなぜとらないのだろうか。私が知る限りでも10年以上、この議論を続けている。膨大な時間をかけたにも関わらず、何も決められないというのは、民主党だけではなく、戦前の政党政治から連綿と続く、日本の政党政治・民主主義の特徴のように見える。ことこの問題だけに絞っても、この国には民主主義や政党政治はマッチしていないように感じる。


民主党桜井充政調会長「首相、経団連米倉会長頭悪い」「アベノミクスはバブルだったことがはっきりした」

2013-05-26 20:17:51 | 政治
桜井氏を見るたびに、可哀想というか残念な思いを感じたものだ。その政策や主張がある一面しか見ていない説得力の無いもので、幾分Emotionalで論理的に説明できない青臭いものが少なくない。その上、議論が滅法弱くて、海千山千のキャスターや他党議員に余裕で押し切られてしまう。にも拘わらずテレビに登場して、今日も打ちのめされる・・・そんな冴えない彼が、参議院議員にも関わらず政調会長に祭り上げられたのは、先の衆院選における惨敗があったからに違いない。
政調会長になってマスメディアに登場することが増えた彼の発言に注目が集まるのは、一応野党第一党の幹部というポジションを考えれば自然なことだ。そしてその発言がお粗末で失笑を買うレベルであることは所詮民主党員の戯言と思えば、腹に落ちるというものだ。

24日、連合との会合の中で、雇用対策と経済政策をめぐり、安倍首相と経団連の米倉会長を批判して「(2人は)同じくらい頭が悪い」と切って捨てたという。その後、氏は「冗談半分で言った。不適切であればおわびする。」と語ったそうだ。

また、26日、NHKの日曜討論の中で、「(アベノミクスが)バブルだったことがはっきりした。投機マネーが相当入って株高をつくってきたが、実体経済が伴っていない」と現政権を批判した。

全くひどい。お前が言うな、という怨嗟の声が至る所から聞こえてきそうである。経済無策でこの3年の停滞を招いた輩に、少なくとも結果を出してきている現政権を批判する資格は無い。せめて謙虚に、現政権のやり方を見ながら勉強でもすれば良いものを、このようにEmotionalに雰囲気と勢いだけで強気の発言を続けるから支持を得られないのである。そもそも桜井氏からプロフェッショナルの仕事を感じさせる経済政策論を聞いたことがない。

「頭が悪い」とはどういう意味なのか分からない。学歴のことなのか、IQのことなのか、教養なのか、あるいは「地頭(じあたま)」とも呼ばれる現実世界で機転が効くことなのか・・・まるで子供の喧嘩である。政治家に求めるのは、政治的な実績である。実績を伴わない男が、実績を作るため奮闘努力している男をつかまえて、「頭が悪い」という意味不明の批判を加えるなんて、論外である。正に「人を馬鹿という方が馬鹿なんだよ」という図式だ。

一本調子の株高が止まったことを持ってして「バブルだったことがはっきりした」と断言するセンスも全く評価に値しない。マーケットにはヘッジ・ファンドはじめ投機筋のマネーが流入するのは今や常識であるし、彼らは5月に売りに注力することも、ネットを検索すれば容易に取得できる情報だ。たった1週間の株の値動きを以ってしてここまで言い切れるということは、逆に言えばハッタリ以外の何物でもないということである。今のレベルの株価に問題があるのか、株価が低いほうが良いのか、そして投機筋の流入しないマーケットにそもそも存在意義があるのか問うてみたい。景気の気は気分の気である。野党とはいえ、多少は影響力のある御仁であろうから、発言には注意していただきたい。

思い返すも、こんな輩が集う党によくも政権を渡したもんだと思う。2009年に民主党に投票した方々には、本当に責任を取っていただきたいものだ。

燃料費高騰は円安のせいなのか?円安ゴロの跋扈が始まりそうで怖い

2013-05-23 23:14:08 | 政治
全日本トラック協会は、23日自民党本部で決起大会を開き、燃料費を補填する補助金創設の決議を採択したという。円安のせいで燃料価格が高騰したというのだ。


これはきな臭い話だ。そもそも円安のせいで燃料価格が高騰というのは本当なのか。私は為替よりもそもそもの原油価格高騰が影響していると思う。

こちらのリンクをご覧いただきたい。円高であった2011年であっても、ガソリン価格は今と同程度であるし、1ドル117円をつけた2007年であっても現在と同程度か、あるいは安い。こちらの原油価格の推移のグラフを見ると、むしろガソリン価格は原油価格により大きな影響を受けているように見える。

その上で、全日本トラック協会の補助金創設決議を眺めてみると、非常にいやらしい思惑が透けて見える。全日本トラック協会という団体、協会というくらいだから組織票が期待できるであろう。安倍政権の施策の一つである為替適正化の結果生じた円安によって、被害を蒙っているのだから補助金くださいよ、選挙の際は協力しますから・・・という妄想を抱かせてしまうのである。

そもそも2006年~2007年は1ドル120円超えもあったし、リーマンブラザーズ破たんの前は110円程度であった。わずか5年前の話である。その頃、彼らはどうやってトラックを走らせていたのだろう。円安を口実に、時の政府にたかっているだけではないか。こんなことをするから業界団体のイメージは悪くなるし、それに阿る政党・政治家の印象が損なわれるのだ。

日本の標準時を2時間早く・・・猪瀬知事が提案

2013-05-22 23:54:19 | 政治
「産業競争力強化法案(仮称)」に纏わる有識者として招かれた猪瀬知事が提案したようだ。世界で最初に開くマーケットにするのが目的だとか。読売新聞の記事はこちら

かつてシンガポールが標準時を早めた事例はあるらしいが、その狙いと効果はよく分からない。この目論見が効果的かどうかは、やってみないと分からないというところだろう。

私の意見はどうかといえば賛成である。理由は3つ。

長期低落傾向にある日本のマーケットを再び活性化させるには、他との差別化を図る分かりやすいメッセージが必要である。これ一つだけでは弱すぎるが、"世界で最初に開くマーケット"というメッセージは分かりやすい。日本の動向がその日1日の世界の動きをけん引するという認識が広がれば、日本のマーケットの(あくまで)一つのユニークネスに繋がるだろう。ユニークネスは存在意義につながる重要な要素だ。

2点目は、少しでも可能性を感じる施策は、まずはアクションするという積極性が大切と考えるからだ。私の目から見たここ20年の日本のイメージは、石橋を叩いて渡らず引き返す、後ろ向きなもので、それが長期低落傾向に歯止めをかけられなかった一因だと思うのだ。この傾向を打破するにはアグレッシブにチャレンジするというマインドだ。今まさに、アベノミクスの名のもとに、景気は気分次第ということを我々は体験しているところだ。ダメならやめればいい。人心を一新できるものならば一度試してみれば良いのだ。
標準時を2時間早めるというこの提案が季節限定のDaylight Saving Time(所謂サマータイム)導入となるのか、単純に標準時間を2時間シフトするのか分からない。ネットでは、コンピュータ・システム障害や残業時間長期化を懸念した声が大勢を占めるが、逆に言えばそこに新たなビジネス・チャンスが生まれる。また、定時に退社することが出来た日には、長い午後を楽しむことも出来るのだ。退社後、ゴルフのハーフやテニス、夕日を眺めながらのビール等アフター5の需要も喚起出来るだろう。

最後の理由は、アメリカ在住時にDaylight Saving Timeを経験して、非常に気に入ったからだ。夏季、Daylight Saving Time実施中の米国は、日本よりだいたい2時間弱早いイメージだ。私は朝8:30にオフィスに出社していたのだが、日本の感覚だと朝6:30にオフィスに着く感じである。その時間帯の街の雰囲気の新鮮なこと。真夏でも日光は柔らかく、空気は清々しく幾分冷涼で、気分よく仕事を始められる。そして退社してもおよそ20:30まで外は明るい。早く帰宅できた日にはゴルフにいったり、息子とキャッチボールやサイクリングを楽しむことが出来た。個人的な好みもあるだろうが、太陽が昇ったらなるべく早く活動を始めたほうが、健康的で、生活を楽しむことが出来るような気がするのである。

恐らく、反対論が強いのではないかと推察するのだが、一度やってみませんか?と申し上げたい。朝早くから活動始めるのは、なにしろ気持ちが良いですよ。

とくダネ!田中大貴氏、加藤百合子氏の不見識とプロ意識の欠如。これも偏向報道の一形態か?

2013-05-20 22:35:31 | 政治
通勤する場合は大抵車通勤で、その間様々なテレビ番組の音声を楽しみながらオフィスに向かう。本日5月20日はとくダネ!を聞いていたのだが、例の橋下氏の慰安婦・風俗報道に関するスタジオの反応を耳にして驚いた。

マスメディアを利用し、囲み取材(ぶらさがり取材)に積極的に応じてきた橋下氏が、金曜日に一転、囲み取材に応じないとしたことを問題視していた。何故マスメディアに対する姿勢を180度変えたのか問うたメイン・キャスターの小倉氏に対し、このニュースを伝えていたフジテレビ局アナの田中大貴氏は、何ということか"分かりません"と答えたのだ。あれだけ週末に各局報道番組で、朝日新聞記者の偏向(というか虚偽)報道に対する応えが、囲み拒否であると、事の顛末が報じられているというのに、このアナウンサーはそんなことも知らないようだ。だとしたら不勉強が過ぎる。少なくともマスメディアのプロフェッショナルではない。

この田中氏の発言で、スタジオの雰囲気は、何の理由もなく一方的に逆ギレした橋下氏、何なのこと人、的な雰囲気に包まれてしまった。小倉氏にコメントを求められた加藤百合子とかいうコメンテーターは、事の顛末はよく分からないとしながらも、"何の理由もなく一方的に逆ギレした橋下氏"に対して批判を加え始めた。事実関係がよく分からないにも関わらずよくも、人を貶める発言が出来るものだ。むしろ加藤氏の品性を疑う。

冷静に考えてみると、そもそも田中氏が、橋下氏が囲み取材をやめる理由が分からないことがおかしい。仮に田中氏がスポーツ馬鹿のおバカさんだったとしても(大学まで野球部に所属していたらしい)、番組は制作会社含め多くのスタッフの共同作業で作成されるものだし、本番前にどのような段取りで話を進めてゆくか事前に打ち合わせをしているからだ。そのように考えると、これは"橋下氏が囲み取材をやめる理由が分からない"という発言は、何の理由も無く逆ギレする橋下氏というイメージを意識の低い視聴者にするこむためのお芝居だったのかもしれない。

いずれにしても、この番組が公平な報道をしていない事実をまた一つ重ねたことは確かである。

オスプレイ反対派の無知と、反対活動の滑稽さ

2013-05-19 16:42:37 | 政治
オスプレイ配備に対する反対が根強い。

反対の論拠は、未亡人製造機と揶揄されるに至った開発局面での事故である。
確かに未亡人製造機のエピソードを耳にすると空恐ろしく感じられるが、開発から25年経過した現在のオスプレイの品質と安全性はどんなものなのか。こちらの記事を参照いただきたい。

結論から言えば、事実として、飛行時間10万時間当たりの事故率は1.93件で、海兵隊軍用機全体の平均2.45と比較して、より安全と言えるらしい。

となると反対派の方々の論拠は何だろうか。目的は何なのだろうか。そして、オスプレイを配備しない場合の、対案(埋め合わせ)は何であろうか。反対するという振る舞いそのものについては異論は無いが、大人の議論として成立させるべく、最低限のロジックは用意いただきたいものである。

自由には義務が伴う。言論と報道の自由も例外ではない。

2013-05-19 16:02:26 | 政治
一昨日の出来事であるが、朝日新聞による橋下氏の慰安婦発言についての意図的な偏向報道("誤報"と報道されているが、これは意図的に操作された偏向報道、あるいは虚偽の報道である)を契機に、橋下氏がぶらさがり取材の取りやめを宣言した。

正にその件の報道映像が多数Webサイトにアップされているので確認いただきたい。例えばこのビデオ映像においては、28分48秒以降が、意図的な偏向報道についてのやり取りとなっている。

事実の流れはこうだ。朝日新聞の記者が、橋下氏の発言の一字一句を操作し、恣意的に解釈して、橋下氏の意図とは正反対の報道、つまり(橋下氏は)"慰安婦は必要"(との見解を示した)と報道した。しかし彼の主張は首尾一貫、第二次大戦中の日本軍は慰安婦は必要と考えていたが、自分は慰安婦は良くないと考えている、という方向で一致している。これに関する朝日新聞の言い分は、(あまりに細かい話なのでよく覚えていないのだが)"てにをは"レベルの使い方が正確では無いので誤って捉えられても不思議ではない、公党の党首であれば完璧な文章で発言するべき、というものであった。橋下氏は、これに反応し、ぶらさがり取材にあたって自分は原稿も何も用意せず話している、朝日新聞がそのような主張をするのであれば、(党側で用意した校閲済の原稿を下に)記者会見で応じるしかない、よってぶらさがり取材は本日でやめましょうと、述べた。

これは、橋下氏が全く正しい。と同時に、マスメディアの倫理観、更には存在意義に疑問を抱かせるに十分なエピソードであった。

報道機関がそれぞれ各社の主義主張に基づいて報道することは健全であるし、全く問題は無い。しかし事実を歪曲し、個人を陥れ、国益に反する行為を主導していたとしたらどうだろう。これは立派な犯罪である。そもそも、今問題となっている慰安婦問題をここまでメジャーな外交問題に仕立て上げたのは、朝日新聞の意図的な虚偽報道によるという主張もある。この新聞社のやってきたことを振り返ると、国家転覆とか騒乱とか穏やかではない状況を導こうとしているように感じられる。

ちょっと前に自民党の憲法改正素案が話題となっていた。憲法96条や9条だけではなく、表現の自由に関する21条の改正案が問題視されており、要するに新たに秩序を乱す行為を禁止する条文が入るのがけしからんというのである。

しかし、今回の朝日新聞のようなマスメディアの出鱈目な振る舞いを目にすると、このままではいけないことは明らかである。マスメディアは報道の自由を権利として主張し、やりたい放題である。誤報や恣意的な偏向報道、虚偽報道に対する責任はない。こでは全く公平ではない。自由と引き換えに、責任と義務を課すべきである。

少なくとも憲法に報道の自由に伴う制約や義務の条文を加えると共に、誤報や恣意的な偏向報道、虚偽報道について、懲役も含めた罰則規定を盛り込んだ法整備を進めるべきだと考える。

ちなみに、日本人が大好きな国連による市民的及び政治的権利に関する国際規約において、表現の自由の行使は「特別の義務と責任」を以て為されなくてはならず、「他の者の権利、国の安全、公衆の健康や道徳の保護の目的のため、一定の制限を科すことができる」ことが明記されているようだ。日本国は、これを批准している。

建前を振りかざす滑稽さ

2013-05-18 16:19:45 | 政治
5月13日の週は、橋下氏の慰安婦・風俗産業発言に終始した感がある。日を追うごとに状況は深刻化し、少なくとも日本維新の会に対するダメージは甚大だ。さて今回の橋下氏の発言については5/14に既に触れたので、今回はそれを取り巻く人々の反応について論評したい

容易に想像できたことであるが、橋下氏発言全否定の大合唱である。女性の人権に対する重大なる侵害である、男性の人権に対する侵害でもある、国会議員の資格なし、大阪の恥・・・どんな大悪人なのだろう、橋下氏はと思わせる。

しかし風俗業に従事している女性、合法とされている国で売春業に従事している女性が相当数いるである現実世界で、なぜ女性の人権に対する侵害になるのか全く意味が分からない。男性の人権云々に至っては、世の男性の共感を得るための伏線としか思えない。仮に国会議員の発言としてみたら全く不適切であるのは確かではあるが、国会議員の資格が無いとまで言い切るとは穏やかではない。人格否定ではないか。大阪の恥って一体なんなんだ、この感情的な言い草は・・・ヒステリックに騒ぎ立てて、この機に乗じて自身の立場を有利に導こうとしているかのように見えて、とても可笑しかった。

そもそも橋下氏は初めから慰安婦はよくないと断言した上で、当時の倫理観に基づいて発言していたのである。それが分からないほど、皆さんおバカさんではあるまい。思うにアンチ橋下発言は2つのパターンに分類できると思う。

1.私は全く関係ないパターン
橋下氏に関係していたあるいは近い考え方を持つ人々あるいは団体、軍人の性処理にあたってグレーあるい犯罪的行為に関与した人々あるいは団体、巻き込まれるのが嫌な人々あるいは団体がこのパターンに分類される。具体的には2.以外の政治家・政党、アメリカ政府などである。

2.この機に乗じてパターン
橋下氏を非難するだけでなく、そもそも戦争が良くないというコンテキストで近頃活発な改憲論議に水を差したり、そもそも保守的な考え方は良くないという観点からそれぞれの党勢拡大を狙う一派。
民主党、社民党、生活の党、みどりの風などがこのパターンに当てはまる。

いずれにしても、皆、若い男性にとって性の欲求にまつわる問題は無い、と臭いモノに蓋をした上で、美辞麗句いっぱいの空理空論を訴えている。現実を無視し、"建前"を真剣に振りかざす浅はかな姿は、滑稽である。

ただ、今回のドタバタ劇をシニカルに眺めてばかりもいられない。この結果、慰安婦問題についての検証や議論がタブー化される恐れがある。橋下氏は未だに何やら呟いたり吠えたりしているようであるが、事の重大さを認識し、十分に責任を感じていたいたうえで、事態の復旧と改善をお願いしたい。

西村慎吾氏・・・

2013-05-18 15:42:43 | 政治
面白いおっちゃんである。行き過ぎの感が止むことはないが、保守的な考えを抱く方々にとって、この方の型破りの本音発言は、胸のすく思いを抱かせたに違いない。私自身そうである。

しかし、今回の発言はまずかった。彼の意図するところは理解するし、もしかしたら部分的に当たっているかもしれない。完全プライベートで気の置けない仲間と、クローズドな環境で発せられた発言なら酔っ払いの戯言と、笑い飛ばせる会話だろう。しかし、国会議員という立場、マイノリティである在日韓国・朝鮮人の感情(真面目にやっている人も多数いるであろう)、米国も含め波紋の広がる国際世論を考えれば、全く肯定できない。日本維新の会を除籍となり、議員辞職勧告の話もあるようだが、やむを得ないかもしれない。

ところで、問題発言のビデオをニュース番組で目にしたのだが、頬が赤らんでいた。ひょっとしたら酔っていたのだろうか・・・だとしたら正に酔っ払いの戯言であるが、それこそ救いようがない状況である。

日本復古の会♪

2013-05-18 15:25:53 | 政治
慰安婦・風俗産業・韓国人売春婦発言を機に日本維新の会の面々をメディアで目にする機会が増えた。最近の政治家は、政党や自治体・省庁など所属団体のメッセージを散りばめたパネルを背に発言することが多いが、今回気づいたこと、それは日本維新の会の英語名称だ。

日本維新の会の英語名称は、Japan Restoration Partyというらしい。結論から言えば、これでは「日本"復古"の会」と読めてしまう。党員の中には復古的な方もいらっしゃるかもしれないが、復古の会というネーミングは橋下氏はじめ主要メンバーの意図するところではないと思う。英語名称の改名をお勧めする。

推察するに、Japan Restoration Partyという英語名称は、明治維新の英訳であるMeiji Restorationを参考しているものと思う。明治維新は、言い換えれば王政への"復古"であり、よってRestorationというネーミングは適切である。Restorationは復元、復旧という意味であり、それが転じて、政治体制の王政復古をも指すようになった。"維新"の持つ政治体制や社会の革新という意味を、Restorationは持っていない。

つまり、海外では、"日本王政復古の会の党首が、第二次大戦中の日本軍の戦争犯罪を肯定するかのような発言を繰り返している"と報道されているのだ。これでは何かとんでもないことがこの国で起こっているかの印象を与えてしまう。たかが名前と思われるかもしれないが、政党名はその党の理念を表現したものと一般に理解されるのだから、もう少し注意するべきであろう。

橋下徹の慰安婦発言:TPOを弁えてはどうか

2013-05-14 23:55:11 | 政治
橋下氏の慰安婦発言が話題になっている。どのようなコンテキストで発せられたのか詳しくは知らないのだが、要旨は次の3点に集約できそうだ。

1.第二次大戦中、慰安婦としての従事を強制させられた韓国女性には謝罪するべきである。
2.高度のストレスの中、軍務に従事する兵士にとって慰安施設は必要である。
3.沖縄駐留米軍は、日本の合法的な風俗産業を利用してはどうか。

仮に慰安行為の強制が事実なのであれば、1.に関しては基本的に同意である。ただし金銭を含む補償という点については、日韓基本条約との整合性が求められるのは言うまでもない。

2.に関しても、基本的に共感できる。一般論として、若い健康な男性が強い性欲を抱いていることは否定のしようがない(その結果として我々人類は営々として子孫を紡いで来たのである)。戦争という異常な状態の下、抑圧され続ける中で、健康な男性が、理性に反して性欲を暴発させてしまう可能性は容易に想像し得る。実例はいくらでもある。歴史を紐解けば、洋の東西を問わず、兵士による強姦は枚挙に暇がないのだ。戦争という無秩序状態においても、少しでも一般市民への損害を軽減するためには慰安施設により性欲の充足を図ることは理にかなった対策といえる。

3.に関しても、同じく共感できる。本国を遠く離れた兵士達には欲求の捌け口が必要である。相手の合意の上に成り立つ合法行為であれば、それを否定する理由はない。特に日本のマスメディアは米兵による性犯罪を含む犯罪行為については敏感である。ともすれば、このような犯罪行為を繰り返す米軍の駐留は許せないと言った論調で、日本のNational Securityの根幹である日米安保条約に否定的な論陣を張る。日本の国益を擁護するうえでも、性犯罪未然防止のため、合法的風俗産業を活用するという考え方は、あり、だと思う。

つまり、私は橋下氏のこれらの発言に共感できるのであるが、それであっても、彼は今このタイミングでこのようなことは言うべきでは無かったと考える。

その理由として、特に2.と3.に関しては、論争を巻き起こしかねない(controversial)、微妙な話題であること。そして今それを口にすることで、我が国(あるいは日本維新の会)にとっての恩恵は期待できないことである。

容易に想像できたことではあるが、福島瑞穂等女性議員は、2.に関して、女性の人権を否定した発言である、として、橋下氏を強く非難している。慰安行為、すなわち売春は人類最古のビジネスの一つとも言われており、今も多くの国で合法的ビジネスである。慰安行為全般を女性人権の否定と断ずることは、合法的売春行為に従事する女性の存在を無視、ないしは否定するもので、取るに足りない浅はかな発言である。しかし、国内ですら慰安婦問題については国論が二分されている上に、海外では、慰安婦強制連行を認めない恥知らずな日本という感情論も根強い。このような状況下で、いきなりこのような発言をしても、慰安婦問題を正当化するための見苦しい言訳と、受け止められるのが関の山であろう。

また、3.に関して米軍の立場から言えば、余計なお世話である。それどころか米軍を侮辱する発言として捉えられてもおかしくない。軍という組織を維持していくうえで規律遵守は絶対である。規律違反を許していたら軍隊は成り立たない。そして彼らは買春を禁止しているのである。そんな彼らに、性犯罪を抑止するために買春するべきである、と言っているのだ、橋下氏は。軍組織の(犯罪抑止の)ガバナンスを疑い、規律の改悪を一方的に放言しているのである。これでは、軍関係者のみならず米国政府の面目丸つぶれである。正論かもしれないが、これでは誰も耳を傾けない。

では、どうすれば良かったのか。

まず第一に、このような発言は慎むべきであった。日本は国際社会に対して、このような発言(特に2.)を発信する準備をしてこなかったし、相手方にも受け止める土壌はない。

二点目として、慰安婦問題を徹底的に調査し、事実関係を明確にするべきである。その上で、国民に対し、日本国の立場を開示し、啓蒙する。

そして、最後に、海外諸国(政府、議員、メディア)に対して慰安婦問題に対する日本の立場の理解に努める。ここまでしてようやく、今回の橋下氏の発言に公平に耳を傾けようという準備が整ったといえる。

橋下氏は、米国はずるい等々、お得意のTwitterで情報発信しているようだが、残念ながら子供っぽいという印象を抱かざるを得ない。ある種やんちゃ坊主的なキャラでこれまで売ってきた訳だが、複雑な利害関係が絡みあうこの種の問題については、マネジする能力が不足していると言わざるを得ない。国会議員の一人が、橋下氏には国政に参加する資格は無いと非難していた。資格は無いというのは言い過ぎであるが、少なくとも国政を担うためには、自身の発言や行動に先を見据えた戦略が求められると考える。