Paradise for Stupids

愚者の楽園たるこの国周辺で起こる愉快なことをつぶやきます

年金問題

2013-06-08 10:44:51 | 政治
先週末だったか何気なく見ていた報道番組で、あるキャスターが"XX年後には、老人一人の生活を1.8人で支えなければならなくなる"と言っていた。また、受給開始年齢を67-8歳に先送りをという声も出てきている。既知の話題ではあるが、ちょっと気になっていたのでネットで検索したところ、ちょっと古いがこのような統計情報が見つかった。


高齢者一人を支える生産年齢人口は、2025年で2人を切り、2055年には1.3人を切るという。1995年には4.8人で高齢者一人を支えていたわけだから、それに比較すると、大きな違いであり、若い世代にとっては、これまで以上の大きな負担となる。

その一方で、マスメディアが取り上げる現在の年金受給者の中には、潤沢な企業年金も合わせて、かなりリッチな老後を送っている方々もいるようだ。私が偶然目にした番組では、月額60万円以上を受給している方を紹介していた。60万円は極端な例かもしれないが、私の先輩の方々レベルでも、40万円以上は貰っているようで、企業年金は終身で支給されるという。一方、同じ会社に勤めているにも関わらず、私はそんなに優遇されることはないはずだ。数年前、全社員が呼び出され、企業年金の段階的減額と、終身支給制度の終了が通知されたからだ。経済状況の悪化は現実としてあるのだから、是非もない。しかし、納得できないのが、世代間格差である。早く生まれ、早く定年退職さえしていれば、優遇されるというわけで、やり逃げされたという不公平感を抱くのは自然だろう。企業年金だけではなく、国レベルの公的年金でも同じことが言える。つまり、少子高齢化を招いた世代は老後を謳歌し、少子高齢化の不始末を、後に残された世代が引き継ぐという図式に釈然としないのは私だけではないだろう。

年金問題は、現行年金システムの破たんのリスクを孕んでいることに加え、国民の消費動向にも大きく影響している。私自身、若いころから、給与のそれなりに大きな部分を、老後の資金として貯蓄している。

また、子供を持ちたくないと考える若い世代も増えるだろう。自身の経済的状況が許さないということもあるだろう。生まれてくる自分の子供に苦労させたくないと考える親もいるはずだ。苦労するくらいなら産まないという選択である。私自身、後者と同じ考えを抱いていた(妻の希望を入れて結局子供を授かることになったが)。年金の不安が、更なる少子化を招くという構図である。

更に、このような不合理な仕組みに巻き込まれることを嫌って海外移住を図る人もいるはずだ。私の同僚の中には、それもあって子供をインターナショナル・スクールに通わせている人がいるし、わが家でも帰国子女プログラムが充実している学校に子供を通わせ、いざ海外で学習・就職したいという希望に応えられるよう準備している。

残念ながらこの問題の解決の糸口は全く見えない。民主党のミスター年金(笑)、上妻議員に世間の期待が集まったが、リーダーシップの欠如という彼自身の人格上の欠陥と共に、見かけ倒しに終わった。

外野から見ていて奇異に思うのは、何故現在受給されている方々の受給額を減額調整しないのか、という点だ。老人を中心に票を減らしたくない政治家の無責任に加えて、既に契約に基づいて発給中の案件を、一方的に減額などできないというのがその理由であろうと想像はつく。しかし、年金どころか国家財政は既に破たんしていてもおかしくないほどの赤字大国のこの国で、過去の規約に基づいて延々と満額発給しているのは不合理である。デフォルトに至るまでこの状況を続けるつもりなのか。

何も全受給者の受給額を減額せよとは言わない。企業年金などで経済的に潤沢な方々の公的年金を減額することは出来ないのであろうか。最近そして近い将来受給される方々は日本の人口ピラミッドの中で、一番ボリュームの大きい世代に属している。この山を乗り切ることが出来れば、ひと段落となるのではないか。

また、人口の増減に影響を受けやすい現行の賦課方式をやめ、積み立て方式など他の手法に切り替えるという選択肢をなぜとらないのだろうか。私が知る限りでも10年以上、この議論を続けている。膨大な時間をかけたにも関わらず、何も決められないというのは、民主党だけではなく、戦前の政党政治から連綿と続く、日本の政党政治・民主主義の特徴のように見える。ことこの問題だけに絞っても、この国には民主主義や政党政治はマッチしていないように感じる。



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