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ab Cuore 

帰国した時ノンポリだった私が見たのは≒無政府状態の日本。
ショック、怒り、希望をこのブログに書きました。

4/7 投稿 僕の恋人は60歳  10話

2025-04-07 15:54:05 | あほ

4/7 投稿
僕の恋人は60歳  10話


僕はその人を見て、会釈してシャトーを訪問したいのですが

と英語で言った。


予約してありますか? とその人は言った。

予約? 予約が要ったのかと思って僕はしかめっ面をした、らしい。


男性は手を動かして、問題ありませんと言った。

今は僕しかいないので僕が案内します。

ダニエル・カミラールです とその人は右手を差し出した。

僕は息がとまるほど驚いた。


彼は握手しながら MY NAME IS HIRONOBU、Japanese

と言った。


ダニエルはニッコリした。

日本人なんですかとなつかしそうに僕を見つめた。


ダニエルはシャトーの入口、広間、を見せてくれた

壁にかかった代々の人たちの絵も説明してくれた。


大きなクリスタルのシャンデリアが2つ天井から下がっていた。

壁には小さい燭台がいくつもあった。

広間の床は木でピカピカに磨いてあり、あちこちに織った絨毯があり

その上に小さいテーブルといくつかの椅子があった。


窓から裏庭が見えた。


ひとつの大きな窓のような扉から裏庭に出た。


それから別な建物に入った。

馬車が置いてあった。

それからこちらは厩舎です。

中には馬が1頭いた。

最後の乗馬ですとデニエルが言った。


裏庭は坂になっていて、遠くに森らしき樹木が生い茂っているのが

見えた。


僕たちは再び玄関に行った。

玄関の横から入ると、そこは土産店とでも言おうか絵ハガキや写真集なんかが

置いてあった。

テーブルが2つほどあった。


お座りくださいとダニエルが言った。


ダニエルは奥に消えた。

僕は福子さんのために絵ハガキを買おうとした。


ダニエルはコーヒーカップをもって出て来た。

僕はこれ買いますと絵ハガキ数枚を彼に渡した。

ダニエルが絵ハガキを封筒に入れておつりをくれた。



ダニエル、福子さんを知ってますかと突然口に出てしまった。

ダニエルは青い目を真ん丸にして僕を凝視した。


あなたは福子さんの息子? ダニエルはゆっくり聞いた。


僕は息子じゃありません。

福子さんは今も独身で、あなたのことを思ってます。

僕のたどたどしい英語で言ったけど、

ダニエルは完璧にわかってくれた。

ダニエルは唇を噛んでややうつむきになった。


そうだ、僕はスマホを出して、福子さんの写真を数枚見せた。

ダニエルは数枚の写真を食い入るように見ていたけど、

これらの写真、僕にくださいと言った。

僕はダニエルが今も福子さんを愛していると感じた。


それから1冊のシャトーの写真集を持ってきた。

そこにはシャトーと代々のオーナー家族の映ったページがあった。

その中に若いときのダニエルがいた。

これを福子さんに渡してください。

僕はそれを受け取って、さらに写真を撮ってもいいですかと

ダニエルに聞いてみた。

ダニエルはPlease do と言った。

僕は何枚もダニエルの写真を撮った。


僕はローマ字で福子さんの住所記し、電話番号も教えた。

観光バスの集合の時間はとっくに過ぎていて

その日、ダニエルの車でパリのホテルまで送ってもらった。


ホテルについてから

福子さんのものをスーツケースの安定したところに詰めて

翌日の仕事の準備をした。



月曜日のフランスの企業とのアポは問題なく済んだ。

火曜日は別な企業に会った。


個人的には2日目の企業のほうが好感をもった。

いづれにしろ、決定するのは僕ではない。

そして水曜日、帰国の途についた。













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