secret boots

ネタバレ必至で読み解く主観的映画批評の日々!

ミニミニ大作戦

2008-11-20 07:17:04 | 映画(ま)
評価点:55点/2003年/アメリカ

監督:F・ゲイリー・グレイ

これがイタリア式の盗み方?!

チャーリー・クローガー(マーク・ウォルバーグ)の考えた計画により、金の延べ棒、3500万ドル分を盗む事に成功した。
しかし、チームの一人である、
スティーヴ(エドワード・ノートン)が作戦終了後に裏切り、リーダーが殺され、金が奪われてしまう。
一年後、とうとうスティーヴの居所をつかんだ生き残ったチームは、金の延べ棒を取り返そうと、計画を立てる。
スティーヴの金庫を開けるために、リーダーの娘、ステラ(シャリーズ・セロン)を仲間に引き込み、復讐を誓うメンバーだったが。。。

エドワード・ノートンが出たくない、と言い張ったが、契約上の理由でどうしても出なければならなくなったという、裏ネタがある作品。
ウソかどうか知らないが、出たくなかった理由もわからなくはない。
面白みがないわけではないが、評判ほどは楽しめなかった。

▼以下はネタバレあり▼

緻密な泥棒計画を立て、そしてそれを鮮やかに実行する。
これは「オーシャンズ11」や「スコア」などでもおなじみだ。
こういう映画は、ストーリーの意外性よりもむしろ、その計画の奇抜さや、いかにそれを実行するか、という点にあると思う。
もちろん、全てが計画通りに行かず、裏切りや失敗などの意外性あるオチを用意する場合もあるが、基本的には、緻密な計画とその実行に重きが置かれる。

その意味で、導入部は非常にエキサイティングだった。
ニトログリセリンのペンキを天井に塗り塗りして、金庫だけを階下に下ろしてしまう、という大胆かつ、緻密な計画には、さすがに度肝を抜かれる。
そして、ボートをつかったチェイス。
個人的には、この冒頭が一番面白く、そして楽しめた。
ベニスを舞台にして、あそこまでボートで立ち回るというのは、本作最大の見せ場であるミニ・クーパーでのチェイスよりも楽しめた。
僕にとって、この映画の最大の魅力は、ここであり、そして、それ以外に、これ以上にはなかった。
これがこの映画がそれほど楽しめなかった理由である。

復讐のために、金を盗み返すという展開には不満はない。
また、「スコア」ではダレてしまった計画を練る一連の流れも、飽きさせず、集中力を持続させる展開になっていた。
しかし、やはり、敵が一人だけだというのは、迫力に欠ける。
しかも、不用意にケーブル会社の女性(ステラの変装)を口説いたり、一介の街の仲買人に金を売りさばいたりする敵では、いまいち敵として迫力不足の印象である。
要するに、こちらがわざわざ緻密な計画を立てるほど、敵は頭がよろしくないのである。
だから、父親であり、リーダーであるおっさんが殺された、という重みがなくなってしまい、全体に緊張感がなくなってしまう。
(そもそも、そのおっさんが、感情移入する前に殺されてしまうのもマイナス。あまり悲しいと思えない。)

そして、実行するとなったときの計画が、イタリアでの作戦と同じで、「爆破でくりぬく」というものであるため、意外性がなく、面白みが欠ける。
静から動という変化はあるものの、要は冒頭と同じ展開である。
そのあとチェイスを演じるという点も、冒頭と同じ。
ノートンが尾行するが、そこで主人公はピンチに陥らない。
あっというまに終幕。この流れでは、物足りない。
特に冒頭であれだけ奇抜な事をやったのに、結末があまりにあっけない。
映画の流れとして、殺す必要はなかっただろうが、あのような、視覚的効果が全然なく、
しかもちょっと残酷なノートンの最後は、爽快感とカタルシスに欠ける。
ミニ・クーパーでのチェイスも、ようはカーチェイス。
「ふつう」であって、想像を超えるものではない。

カタルシスはもちろん得られる。
しかし、それまでに大きなピンチがないため、やはりあっけなく終ってしまう。
敵を「出し抜いた!」という大きな達成感は得られない。

それは敵のノートンに存在感がないだけではない。
キャスト全体がミスマッチなのである。
主人公は、マーク・ウォルバーグ。
頭脳明晰でクールというイメージには合わない。
ヒロインは、シャリーズ・セロン。
クライム・ムーヴィーとしては、ヒロインとしての魅力が足りない(バストと顔が、ね。こちらは見せ方が悪かったのかもしれない)。
モテモテ・レーサーには、ジェイソン・ステイサム。
数秒で女の子のハートをゲットするようなカッコいい役には、やっぱりしっくりこない。(「ロック・ストック」や「スナッチ」のイメージが。。。)
完全にミスマッチ、というわけではない。微妙にずれているのだ。

キャスティング・ミスと冒頭に「魅せすぎた」事。
これが、この映画が「イマイチ」な原因である。

(2004/6/25執筆)

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