評価点:54点/1996年/香港
監督:ジミー・リン
中国は極秘に痛みを感じない兵士部隊、701部隊の実験に成功した。
しかしあまりに危険な彼らの存在を危惧した政府は極秘裏に彼らを抹殺した。
しかし抹殺し切れなかった男がいた。
彼(ジェット・リー)は「ブラックマスク(黒侠)」と呼ばれ、命を狙われ続けたが身元を「チョイ」と偽り、ひっそりと生きていた。
そんななか、チョイの唯一の友達の刑事は、麻薬密売人の皆殺しという大きな事件に直面していた。
「D&D」と同様にジェットリーの若かりしころの作品。
レンタルビデオのパッケージをみたときから、完成度の高さは危ぶまれたが、とりあえず見ることにした。
案の定、「笑える」出来だった。
▼以下はネタバレあり▼
「007」を髣髴とさせる音楽、「ユニバーサル・ソルジャー」を思い出させる設定、「怪傑ゾロ」をパロった(パクったのでは決して、ない)ようなマスク、・・・全てがチグハグでどこか道化のよう。
全体的に設定が整備されていないように感じた。
たとえば、「701」部隊の設定。
痛みを感じなくさせているということであって、どれだけ銃弾を浴びても「死なない」というのではなかったはず。
それなのに雨あられのように銃弾を浴びても死なない敵兵は不思議だ。
また部隊で生き残ったのはブラックマスクだけだったのではないのか。
観たところによると相当数、生き残っていたように思うけれど。
ジェット・リーが爆弾について詳しいことも説明不足だ。
しかも青いコードだとか赤いコードだとか、見てもいないのにどんな種類の爆弾かを理解してしまうのはおかしい。
少なくともそうした爆弾が部隊の特有の爆弾であることを明示しておく必要がある。
またジェット・リーが飛ばすCDのような武器もよくわからない。
いきなり飛び道具を取り出されても違和を感じてしまう。
そもそも、場面がブチブチで状況の把握が難しい。
二三度の場面展開ならついていけるがむやみやたらに回想場面などを入れられると感情移入の妨げになる。
しかし正直な話、そんなことはこの際どうでもよいのだ。
ストーリーも、はちゃめちゃでもいい。
アクションさえかっこよければ、と思うのだ。
ジェット・リーの出る映画で期待するものはアクション以外のなにものでもない。
この映画が一番だめなのはそこだ。
アクションが少ない!
冒頭の意味のわからないガンアクションを見せるくらいなら、もっと肉体を使えといいたい。
もちろん、普通の映画よりは多い。しかし、もっとアクションがほしい。
ブラックマスクという十字架を背負っている反動で、「暴力では暴力は解決できない」という信念を持っているために「むやみに」暴力をみせない。
この設定が映画としてのジレンマ――殴らなければ映画として成り立たないが殴ってしまうと映画の設定が無意味になる――にも陥っている。
また全てにおいてであるがカメラが近すぎてアクションがわかりにくくなっている。
だからかっこいいアクションも効果は半減になっている。
カメラのことを言えば、全体的に屋内の撮影が多く中国全土を揺るがしかねない問題にもかかわらずスケールが異常にちいさいものになってしまっている。
予算との戦いだろうけれど、もう少し工夫がほしいところだ。
演出が過剰にグロテスクで、逆に滑稽さが強調されていたことも、マイナス点だといえるだろう。
マスクという設定は笑えた。
どう考えても効果的な顔隠しだとは思えなかった。
友人にばれまくっているのにそれでも着け続けるジェット・リーの意地は物悲しいものがある。
ちなみにこの映画には続編があるらしい。
ジェット・リーは出ていないらしいが、やめときゃいいのに。
「暴力は暴力では解決できない」という命題は、ジェット・リーが常々口にするテーマでもある。
この映画でそのジェット・リーの最終目標がみれたようでうれしかった。
(2003/10/8執筆)
監督:ジミー・リン
中国は極秘に痛みを感じない兵士部隊、701部隊の実験に成功した。
しかしあまりに危険な彼らの存在を危惧した政府は極秘裏に彼らを抹殺した。
しかし抹殺し切れなかった男がいた。
彼(ジェット・リー)は「ブラックマスク(黒侠)」と呼ばれ、命を狙われ続けたが身元を「チョイ」と偽り、ひっそりと生きていた。
そんななか、チョイの唯一の友達の刑事は、麻薬密売人の皆殺しという大きな事件に直面していた。
「D&D」と同様にジェットリーの若かりしころの作品。
レンタルビデオのパッケージをみたときから、完成度の高さは危ぶまれたが、とりあえず見ることにした。
案の定、「笑える」出来だった。
▼以下はネタバレあり▼
「007」を髣髴とさせる音楽、「ユニバーサル・ソルジャー」を思い出させる設定、「怪傑ゾロ」をパロった(パクったのでは決して、ない)ようなマスク、・・・全てがチグハグでどこか道化のよう。
全体的に設定が整備されていないように感じた。
たとえば、「701」部隊の設定。
痛みを感じなくさせているということであって、どれだけ銃弾を浴びても「死なない」というのではなかったはず。
それなのに雨あられのように銃弾を浴びても死なない敵兵は不思議だ。
また部隊で生き残ったのはブラックマスクだけだったのではないのか。
観たところによると相当数、生き残っていたように思うけれど。
ジェット・リーが爆弾について詳しいことも説明不足だ。
しかも青いコードだとか赤いコードだとか、見てもいないのにどんな種類の爆弾かを理解してしまうのはおかしい。
少なくともそうした爆弾が部隊の特有の爆弾であることを明示しておく必要がある。
またジェット・リーが飛ばすCDのような武器もよくわからない。
いきなり飛び道具を取り出されても違和を感じてしまう。
そもそも、場面がブチブチで状況の把握が難しい。
二三度の場面展開ならついていけるがむやみやたらに回想場面などを入れられると感情移入の妨げになる。
しかし正直な話、そんなことはこの際どうでもよいのだ。
ストーリーも、はちゃめちゃでもいい。
アクションさえかっこよければ、と思うのだ。
ジェット・リーの出る映画で期待するものはアクション以外のなにものでもない。
この映画が一番だめなのはそこだ。
アクションが少ない!
冒頭の意味のわからないガンアクションを見せるくらいなら、もっと肉体を使えといいたい。
もちろん、普通の映画よりは多い。しかし、もっとアクションがほしい。
ブラックマスクという十字架を背負っている反動で、「暴力では暴力は解決できない」という信念を持っているために「むやみに」暴力をみせない。
この設定が映画としてのジレンマ――殴らなければ映画として成り立たないが殴ってしまうと映画の設定が無意味になる――にも陥っている。
また全てにおいてであるがカメラが近すぎてアクションがわかりにくくなっている。
だからかっこいいアクションも効果は半減になっている。
カメラのことを言えば、全体的に屋内の撮影が多く中国全土を揺るがしかねない問題にもかかわらずスケールが異常にちいさいものになってしまっている。
予算との戦いだろうけれど、もう少し工夫がほしいところだ。
演出が過剰にグロテスクで、逆に滑稽さが強調されていたことも、マイナス点だといえるだろう。
マスクという設定は笑えた。
どう考えても効果的な顔隠しだとは思えなかった。
友人にばれまくっているのにそれでも着け続けるジェット・リーの意地は物悲しいものがある。
ちなみにこの映画には続編があるらしい。
ジェット・リーは出ていないらしいが、やめときゃいいのに。
「暴力は暴力では解決できない」という命題は、ジェット・リーが常々口にするテーマでもある。
この映画でそのジェット・リーの最終目標がみれたようでうれしかった。
(2003/10/8執筆)
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