2月某日
アトピーで手荒れがひどく、両手がひび割れだらけで何を触っても痛い状態が数年続いていたが(特に冬)、そろそろ本気で治すべと思い立つ。しかし、かかりつけの皮膚科に行くと、営業時間終了間際だったため、既に先生が帰ってしまっていて、看護師のような若い男の人に「前回と同じ症状ですか?同じお薬を出しましょうか?」と聞かれ、「あ、はい」とつい答えてしまう。これは自力で治すしかないと思い、帰宅してからネットで色々検索したら、「とにかくこまめにワセリンを塗って保湿し、寝るときは特にたっぷり塗って手袋をすると良い」と書いてあったので、その通りにしたら、3日ほどで両手の傷口がほぼふさがったので、驚愕する。私は今まで、どうしてこれをやろうとしなかったのだろうか…
しかし、少し油断してワセリンを塗るのを怠ったら、また指のあちこちにぱっくりひび割れができた。塗ればマシになるものの、この療法は本質的な解決策ではないようだ。
今愛用しているワセリン。薬っぽくてカッコイイ
2月某日
知り合いのクルド人の通訳をするため、近所の診療所に出向く。現地集合だったのだが、当のクルド人がなかなか現れない。待合スペースで一人で待っていると、これまで何度もお世話になった事務担当の男性職員が「あ、Mさん。こんにちは。クルド人の方の通訳ですか?」と声をかけてくださったので挨拶をすると、「うちの診療所のスタッフの間で、Mさんって何者だろうって話題になってるんですよ。どういう関係の方だろうって」と笑顔で言われる。非常にもっともな疑問である。「そりゃ不思議ですよねえ~。いやその、私はただの親切な人なんですよ。クルド人向けの日本語教室に出入りしている関係で、トルコ語通訳を頼まれて、成り行きでこういうことやってるんです」などと意味不明な言い訳をしつつ、名刺を渡して帰ってきた。(クルド人は風邪を引いたそうで、結局来なかった)しかし、あの名刺は父の手作りで、住所も所属企業もなく、名前や電話番号、メールアドレス以外には「翻訳・通訳者:アラビア語・イタリア語・トルコ語」と書かれているだけの代物なので、診療所スタッフの方々の「Mさん何者?」という疑問がさらに深まったのではなかろうか。
3月某日
料理本研究活動の一環でとして、図書館で「マヨネーズがなければ生きられない、スペイン人シェフのマヨネーズの本」という料理本を借りる。イタリアではマヨネーズ(ドレッシングも)の地位は非常に低く、食卓に登る機会はなきに等しいのだが、姉妹国スペインではそうでもないようだ。但し、市販のものではなく、オリーブオイル・卵・レモン汁・塩を混ぜて家庭でささっと手作りするものらしい。私もマヨネーズは好きだが、未だにイタリア的な「マヨネーズ=邪道」の世界観が意識の片隅にあり、冷蔵庫にあの容器を常備すると自己嫌悪に陥るような気がするので、なかなか買えない。お弁当用の小袋入りのマヨネーズを買って、戸棚に隠している状態だ。なお、日本好きのイタリア人の中には、日本のマヨネーズのファンがけっこういると聞いたことがある。ホントかな?
この本。デザインが秀逸で、内容も面白い
3月某日
パソコンでネットのアルジャジーラを流し、聞き流しながら別のことをしていたら、ふと「サイーダ・アジューズ(老婦人、old lady)」という言葉が耳に入ってくる。画面を見たら、スポーツニュースをやっていて、イタリアのサッカーチーム「Juventus(ユヴェントス)」が取り上げられている。歴史あるサッカーチームのユヴェントスは「vecchia signora(ヴェッキア・シニョーラ)」というあだ名で呼ばれることがある。これはまさに「old lady」という意味なのだ。アルジャジーラの「サイーダ・アジューズ」はイタリア語からアラビア語への直訳。聞き流していたのに、この単語にだけ耳が即座に反応してしまうって、どういうことなんだ…
ユーヴェ(ユヴェントス)、特に好きでも嫌いでもない
3月某日
生計の足しにするため、人生相談でもやろうかなと思いつく。どこかのカフェの片隅でやらせてもらえばいいだろう。カフェをやっている知り合いなぞいないが・・・とりあえず宣伝文句を考えてみた。「人生相談30分500円、1時間1000円。ワンドリンク注文制(割引あり)。話を聞くだけ。たまにアドバイスするときあり。秘密厳守。エア猫もいるので、エア猫カフェとしての利用も可」どうだろう。お客はくるだろうか、この人生相談…
3月某日
肌寒いので、ウォッカをお湯割りで飲む。そのままだと匂いがきついので、ドライセージを入れて香りを出す。セージは殺菌作用などの薬効もあるらしいので、体にも良さそうだ。こういうハーブ入りの強い酒をごくごく飲んでいると、「健康志向の酒飲みなんて、酒飲みの風上にも置けんわ」という、私の心の中に住んでいる小さなおばさんの厳しいツッコミが聞こえてくるのだが、聞こえないふりをする。
トルコで買ってきたドライセージが大量にあるので、紅茶にもお酒にも入れている
(終わり)