外国で一時的個人的無目的に暮らすということは

猫と酒とアルジャジーラな日々

「スリランカ産モルジブフィッシュ」でかつおダシをとる

2014-04-05 00:29:39 | ヨルダン(猫中心)


しばらく前、スリランカ内戦や、同地のムスリムの状況について興味を持ち、ネットで少々調べたてみたことがある。
その際、ついつい調査対象が脇道にそれて、スリランカ料理のサイトをハシゴし、うっとり眺めたりしたものだ。
だって、なんだか美味しそうなんですもの…。

その時ですよ、モルジブフィッシュに関する説明が目に入ったのは。

なんでも、スリランカ産のモルジブフィッシュ(MALDIVE FISH)の乾物は、日本の鰹節の代用品として使え、和風ダシが取れるそうなのだ。
「スリランカ産モルジブフィッシュMALDIVE FISH(かつお節/荒節)」をネット上で販売しているショップもある。(ここ
ウィキペディアの鰹節の項目を見ると、「鰹節・モルジブ起源説」まであるらしい。

私は現在ヨルダンの首都アンマン在住だが、ここで和食材を手に入れるのはそれほど容易ではない。
キッコーマンの醤油だけは、大抵のスーパーや食料品店で気軽に手に入るが(余談だが、このキッコーマン醤油の世界的普及ぶりは、一体どういうわけだろう?寿司人気のせいか、それともアジア移民のおかげか…)、それ以外の食材は種類が少ないし、かなり割高なので手が出ないのだ。

しかし考えてみると、醤油と鰹節さえあれば、炒め物・煮物・汁物(味噌汁を除く)などの基本的な和食はクリアーできる気がするのだ。
大抵のものは、現地の食材で代用可能なんじゃなかろうか。
例えばみりんや酒は砂糖で、そうめんは極細スパゲッティ(カペッリーニ)で代用、といった具合に。
うどんは小麦粉から手作りできるし(面倒だからやらないけど)。
海苔とか豆腐、納豆なんかはちょっとハードルが高いですけどね…。

そんなわけで、モルジブフィッシュの乾燥物を購入して、それがどの程度鰹節に近いのか、確かめてみることにした。

私が住んでいる地域には、フィリピン移民が大勢住んでいて、その辺の食料品店にフィリピン食材がずらりと並んでいる。
そして、ここにはスリランカ移民も少なからず存在し、スリランカ食材も豊富に手に入るのだ。
日本人は私くらいのようだが…。

アジア食材の品揃えでは一番と思われる、近所のミニスーパーへ行ってみたら、「モルジブフィッシュ・チップス(MALDIVE FISH CHIPS)」なるものが、あっさり手に入った。
焦げ茶色の乾燥魚のチップが小袋に入っていて、ラベルにスリランカの言語のものと思しき、謎の丸文字が書かれている。
これとキッコーマンの醤油を買ったら(うちにはフィリピン製フィッシュソースしかなかった)、準備OKだ。


モルジブフィッシュ・チップ



家に帰って猫に見せたら、匂いを多少嗅いでいたが、あまり興味を示さなかった。
何しろうちの猫はヨルダン猫だからねえ…。
夕食のメニューとして、これでだし汁を作り、麺を投入して煮ることにした。

鍋にお湯を沸かし、モルジブフィッシュ・チップをバラバラ投入すると(目分量っていうか、てきとう)、少し経ってから、お湯がうっすら茶色に染まり、いい匂いが漂い始めた。
うどんや蕎麦の出し汁の、あの懐かしい匂いだ。
おお、鰹節の仲間だという情報は、やはり本当だったのか!と気分が高揚する。
本当はここで一度、ザルで漉したほうがいいだろうとは思ったが、面倒なので省略し、ダシをとったあとのチップはそのまま鍋底に放置した。
出し汁の味付けは醤油と砂糖でやる。
もちろん配分はてきとうだ。


チップをお湯に投入



野菜を入れたほうがいいだろうと思い、ズッキーニの千切り(限りなく乱切りに近いけど)と、コリアンダーの葉っぱをちぎったものを具にした。
本当はもっと和風の野菜を使うべきなのだろうが、こっちのほうが、「外国人が作った間違った和食」ぽくて楽しいかなと思ったのだ。
さらに、うちにあったカルフール製の極細スパゲッティを投入して、混ぜながらぐつぐつ煮る。
最後に卵を落として、画竜点睛といこう。


完成品



見た目はあまり優雅ではない、というか、どちらかというと見苦しい仕上がりだが、食べてみると意外にいける。
確かにかつお風味の出し汁で、全体としては「にゅうめん」に近いかんじだった。
これを食べた日本人の大半が、「これは確かにかつおダシの味ですよ!」と言ってくれること間違いなしね!
(いや、少なくとも半分くらいの人が言ってくれると思うんだけど…ちょっと自信なくなってきた)
出し殻のモルジ節(鰹節の代用品のモルジブフィッシュだから、こう命名しました)のチップは固くてなかなか噛みきれず、味がなかった。
これは食べない方が無難だろう。

ちなみに、モルジ節を買ったお店には、「茶色く粉を吹いた煮干」のようなものや、「茶色いチリメンジャコ」風の乾物も売られていた(どちらもフィリピン製)。

そのうち気が向いたら、これらも試してみたいと思います。
コメント
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