ここ数日、イワシばかり食べている(主にうちの猫が)。
なぜイワシばかり食べているかとうと、市場で冷凍イワシを1kg買ったからだ。
冷凍なので急いで食べる必要はないようなものだが、うちの冷凍庫にはミニ雪女が住み着いているらしく(心の綺麗な人には見えない特殊妖怪なので、私の目には見えないが・・・)、しばらく放置すると凍りついて取り出せなくなるのだ。
買ったイワシは大ぶりのもので、ウロコが目立つ。
以前の記事にも書いたが、私はこれまでの人生で魚のウロコを取ったことがない。
また、内臓を取り出す作業も手間がかかる上、手や流しが血まみれになってコワイから、出来ればやりたくない。
先日は丸ごと焼いた。
今日はどうしようか?
いつものように台所で仁王立ちになり、最も簡単な調理法についてしばし悩んだ末、結局そのまま煮ることにする。
「買ってきた食材をそのまま茹でる/煮る」のは、最近の私のお気に入りの調理法だ。
だって楽なんだもん。
結論が出たところで、冷凍のままのイワシを4匹鍋に放り込み、かぶるほどの水を加えて強火にかける。
沸騰したらいくぶん火を弱め(なんとなく)、フタをして煮る。
中まで完全に火が通ったら出来上がり。
この間私がしたことは、煮えたかどうか確かめるために、時々イワシを箸で突き刺すことだけである。
アクをすくうとか、臭みを消すための香味野菜を加えるとか、そういう気配り細かい作業は私の念頭にはない。
イワシをつんつん突き刺しているとき、頭の中にあの童謡が蘇り、離れなくなった。
「あーぶくたった、にえたった。にえたかどうだかたべてみよ、むしゃむしゃむしゃ、まだにえない・・・」
歌の最後には、何か不吉なことが起こるんじゃなかったけ?
何だったか思い出せないけど・・・。
そもそも煮えたかどうだか分からないのに、食べて大丈夫なのか?!
火を止めて鍋の中を覗くと、見事なイワシ汁が出来ていた(見事、というのは主観的な感想です)。
イワシの血液や内臓が水に溶け出して全体にどんより茶色っぽく濁っている。
青魚特有のなまぐさい匂いが辺りに拡散する。
味見してみると、奥の深いイワシエキスの味がした。
青魚好きの人、特に焼きサンマの内臓を好んで食べる人には、きっと気に入ってもらえるだろう。
イワシ本体は鍋から引き上げ、半分は猫にあげて、残りは翌日のエサ用に冷蔵庫へ仕舞い込む。
うちの猫は不器用で、丸ごとの魚を上手に食べられないので、身をむしってあげる。
猫、大喜び。
鍋に残ったスープには、皮やウロコや小骨などが沈殿している。
一度ザルで漉したほうがいいだろうなとチラっと思ったが、面倒なので気づかなかったことにする。
刻んだ野菜(じゃがいも、玉ねぎ、パプリカなど)を投入して煮込み、塩こしょうで味付けしたらイワシ汁の出来上がり。
最初から野菜を入れていたら、時間の節約になっただろうにと、後になって思ったが。
イワシを既に食べ終わって、私の食事を邪魔しに来た猫をいなしつつ、イワシ汁をいただく。
とても美味しい。
こういう食べ物って、朝、砂浜で漁師さんが食べてそうじゃないですか?
焚き火して、その日とれた魚(売り物にならない雑魚)を地元野菜とともに大鍋で煮込んで、みんなで輪になって食べるの。
パン屋さんから買ってきた焼きたてパンをスープに浸して食べて、食後にはコーヒーも沸かして・・・
あれ、これはどこの国の漁師さん?
ムーミン谷かしら・・・
うちの猫は写真嫌いで、カメラを向けるとこんな顔になりがち