つれづれなるままに・・・仕事日記。

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グローバル企業のコンプライアンス ~カルテル訴訟を例に~

2008-04-30 23:22:33 | コンプライアンス
◆まとめ~カルテルや談合に科した課徴金等~(詳細は下記ニュース)

1.日本(公正取引委員会)・・・1社あたり平均約2億円
 日本ではカルテルが市場に与えた影響を認定して処分を決めるが

2.EU欧州委員会(EC)・・・約7400万ユーロ(約121億円)
 グループ会社が実施していた場合も、「親会社の法的責任」を求める。
 欧米ではカルテルの合意が認定されれば制裁金や罰金を科せる

3.米国(米司法省)・・・・・・カルテルで損害を被った競合企業や消費者の損 失額の3倍を「懲罰」として請求できるため、訴訟になるケースも多い。
 欧米ではカルテルの合意が認定されれば制裁金や罰金を科せる。
JALの場合・・・罰金1億1000万ドル(約110億円)

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◆独禁法摘発を欧米が強化、JAL・YKK…日本企業続々
(2008年4月29日02時31分 読売新聞)
 欧州連合(EU)や米国で事業を展開する日本企業が、カルテルなどの独占禁止法違反で厳しい処分を受けるケースが相次いでいる。独禁当局が一段と摘発を強化している一方、日本企業側の理解不足も原因のようだ。(大木聖馬)
 ◆巨額な制裁金◆
 日本航空は17日、米国発着の国際航空貨物で、2000年から06年まで価格カルテルを結んでいたことを認め、米司法省に罰金1億1000万ドル(約110億円)を支払うと発表した。
 EUの執行機関、欧州委員会(EC)も欧州発着便を調査しており、昨年12月に、「カルテルの疑いがある」とする見解に反論の機会を与える通知書を日航などに送った。認定されれば、日航は米側の罰金を上回る制裁金が科される可能性がある。
 日本の公正取引委員会が07年にカルテルや談合に科した課徴金は、1社あたり平均約2億円だが、ECは同約7400万ユーロ(約121億円)と厳罰姿勢が際立っている。
 例えば、昨年9月にファスナーの国際カルテルで制裁金1億5025万ユーロを科されたYKKでは、問題となる行為はドイツ子会社が行っていた。日本なら子会社のみが処分の対象だが、ECは「親会社の法的責任」を求め、グループの売上金を基準に制裁金を算定した。
 米国では、カルテルで損害を被った競合企業や消費者が損失額の3倍を「懲罰」として請求できるため、訴訟になるケースも多い。
 ◆理解不足◆
 日本企業の摘発などが相次ぐ背景として、欧米独禁法への理解不足も指摘されている。経産省による企業調査では、「10の質問のうち一つを答えなかっただけで『調査妨害』とされた」などと、当局の姿勢に戸惑っている様子が浮き彫りになった。
 欧米独禁法への関心が薄いとの指摘もある。ECが昨年10月、カルテルを巡って導入を検討している和解制度への意見を募ったところ、各国企業から多数の声が寄せられた中、日本企業は1件もなかったという。
 ◆企業の自己防衛策◆
 欧米の独禁政策に詳しいジョーンズ・デイ法律事務所(東京)の宮川裕光弁護士は、「日本ではカルテルが市場に与えた影響を認定して処分を決めるが、欧米ではカルテルの合意が認定されれば制裁金や罰金を科せる」という。競争相手と酒席を持つこともカルテルと疑われる恐れがある。
 クルス欧州委員(競争政策)は、「制裁金を低く抑えれば不正な収益の方が上回り、カルテルにつながりかねない」と厳罰で臨む理由を指摘する。
 経産省は「競争相手と会合をなるべく開かない」「業界の会合は弁護士を同席させる」などの事例を盛り込んだ手引書を5月にまとめ、注意を促す方針だ。ただ、それ以前に、企業自身に「欧米を基準にコンプライアンス(法令順守)体制を整える」(宮川弁護士)姿勢が求められている。