「桜を見る会」の泥沼化は、初期対応を誤ったというよりも、長期政権の驕りとゆるみが極まった結果であろう。
安倍晋三事務所の公職選挙法などの法律違反問題が鎮火されずまだ燃え盛っているのに、ジャパンライフ問題に飛び火したようだ。
ジャパンライフは高齢者を中心に磁気治療器などを販売していた会社だ。
マルチ商法まがいの手口で消費者を騙した疑いで、消費者庁から4度も行政処分を受けている。
そのような会社だと知ってか知らずか、2015年「桜を見る会」に当時の会長山口隆祥を招待した。
ジャパンライフは、この招待状を金科玉条の如くに振りかざして、安倍晋三首相に近いとばかりに「広告塔」に仕立て上げたのだ。
これを信用した消費者は、安心してこのわけのわからない磁気治療器を購入しただろう。
昨年12月顧客数6800人、負債総額約2400億円で倒産した。
本来であればもっと早い段階で捜査のメスが入っていれば、被害額は抑えられたかもしれない。
本年(2019年)4月25日にやっと、警視庁と愛知県警など6都県警の合同捜査本部が全国約30か所を家宅捜査した。
ジャパンライフ問題は安倍晋三の天敵、「日刊ゲンダイ」が何度も記事を書いて警告している。
ここまで捜査が遅れたのは「安倍官邸」から横やりが入ったと言われている。
一般紙は「日刊ゲンダイ」ネタとしてほとんど追随しなかった。
ところがこのところ、マスコミが本腰を入れて、若手の記者も菅官房長官に食らいついて質問している。
やっとジャーナリズム魂に火が付いたのだろう。このような魂に火が付くのは大いに歓迎だ。
野党統一会派の安住淳国対委員長の綱さばきも評価できる。
少数野党としては、孫子の「兵は詭道なり」に徹底することが大事だ。
相手の落ち度に気が付いた時(週刊誌などが取り上げたとき)、すぐに国会で追及してもはぐらかされる。
{この手を安倍政権は専らにして長期政権(ただ長いだけだが)を続けてきた。}
がっちり証拠固めをして相手を追い込むのだ。要するに「情報格差」を利用する。
今回の共産党の田村議員が追求したようなやり口だ。
与党を追いこめば、逃げ切りを図ろうとする。
だが与党側には日米貿易協定を何としても今国会で通したいという弱みがある。
こんな時こそ少数野党が出来る伝家の宝刀、すなわち「審議拒否」だ。
安倍官邸はジャパンライフの山口元会長の招待は「総理枠」だと認めたようだ。
野党は「審議拒否」を封印し、国会審議に復したが妥当なところであろう。