MVCメディカルベンチャー会議

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第113回MVC定例会in大阪 第二部

2014年09月13日 | MVC定例会
介護事業の最前線について学ぶため、オリックス・リビング株式会社 代表取締役 森川悦明(もりかわ えつあき介護事業の先進的な取り組みを学ぶため、オリックス・リビング株式会社代表取締役、森川悦明(もりかわえつあき)氏をお迎えして「オリックス・リビングが起こすイノベーションと介護の未来」というテーマでお話ししていただきました。





(1) 私は、建築を学び、2回の転職を経てオリックスに入社しました。進行性筋ジストロフィーと闘病された故春山満さん(オリックス・リビング株式会社総合プロデューサー)から「きちんとお金を払ったら買えるサービスが福祉の世界にもあるはず」という話を伺い、日本の高齢化が進む中でビジネスのチャンスがあるのではないかと考え、オリックス不動産で、高齢者になってもずっと住み続けることができる街を創ろうと、2002年からマンションとの一体開発に取り組みました。

(2) 開発する街の中に住宅型有料老人ホームを併設し、訪問介護事業所とクリニックを誘致しました。生活と介護の連続性を保った街作りは当時としては画期的で、瞬く間に満室になりました。

(3) いくつかの開発を経て、自社で運営する会社として、オリックス・リビング株式会社を、2005年に設立しました。人生最良のとき「グッドタイム」を満喫してほしいという願いから、屋号をグッドタイムリビングと名づけました。施設という言葉は、オリックス・リビングではタブーです。第一号の開設以来、現在まで延べ約2800名との契約を交わしてきました。

(4) グッドタイムリビングは、看取りの介護ができるという特徴があります。利用者の方からも、治らない医療はいらない、平穏に死をサポートしてほしいというリクエストが増えてきました。現在までに退去した方々のうち27%、亡くなった方々の1/3以上が、居室で死を迎えられています。

(5) これからの介護は、介護される立場で考える事が重要です。私達は、新しい介護の常識を創ります。1)介護される人の尊厳を守ります。2)看取りまでご一緒します。3)アクティビティー満載の暮らしを提供します。4)医療との連携を保ちます。制度に惑わされずに、顧客のために何ができるのかという信念が最も大事です。

(6) オーストラリアでの研修でリフトを使う有効性を学びました。介護リフトを使うと、介護を受ける方の表情が穏やかになるのです。日本に帰って導入すると、最初は職員からの反発もありましたが、理念を徹底して伝えることと正しい技術の伝達によって、リフトの重要性が徐々に職員に浸透しました。

(7) 介護される側にとっては身体の負担、心の負担を軽くできるのです。これは、自尊心を高めることにつながります。また、介護職の体の負担を軽くできるようになり、安定したスタッフの確保に繋がりました。職員の離職の原因は経営者にもあったのです。

(8) 新しい介護補助器具の開発をするため、グランフロント大阪の中に、オリックス・リビング イノベーションセンターを開設しました。メーカーに介護の現場で本当に必要なことを伝え、ロボット介護機器の共同開発を進め、試作品の実証試験を行います。介護される側の自尊心をサポートする機能の有無が、商品化のポイントだと思います。

(9)ICTを介護の現場に持ち込んでいます。居室での転倒を防ぐため、キネクトの技術を使ってプライバシーに配慮した見守りシステムを開発中です。介護職が携帯するタブレットPCに、転倒の予兆を画像で送ります。

(10) 介護が必要となる高齢者(75歳以上の人口)は毎年45万人ずつ増えていきますが、働き手(生産年齢人口)は毎年75万人減っていきます。この毎年120万人のギャップを埋めるために、これからの介護現場の業務には、徹底したIT化とロボット介護機器の導入が必要です。

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