MVCメディカルベンチャー会議

The United Doctors of Innovation ☆ http://mvc-japan.org/

第3回MVC定例会

2005年04月18日 | MVC定例会
 第3回MVC定例会 議事録 2005.4.16 新梅田研修センター

講義 「知っておこう医療訴訟」  講師 弁護士 林 裕悟 先生

1.医師は医療訴訟に対して怖がり過ぎです。過度にdefensiveになる必要はありません。勤務医の場合、医療訴訟の被告となり、支払い義務を負うのは病院です。勤務医個人が個人資産から弁償するということは起こり得ません。

2.法律以前の問題として、患者に対する誠実さと親切さがあれば、ほとんど訴訟になりません。患者側が訴訟を起こすのは、損害賠償だけではなく、真実を知りたいという目的もあります。一般的に、裁判を避けるために最も有効な方法は早期に示談をすることです。

3.裁判は心理的、時間的に大きな負担となります。相手側弁護士からの反対尋問は、何を尋ねられるか分からず、非常なストレスです。事故発生時には早期に保険会社と連絡を取ることが大切です。

4.事故発生時に医師が負うべき責任は、刑事・行政・民事責任の三つです。交通事故と同じです。
A 刑法211条に基づく業務上過失致死罪
B 医師法6条に基づく厚生労働大臣からの免許取り消しや医業停止命令
C 民法415条に基づく債権者に対する損害賠償

5.刑事、行政責任は多数の被害者が生じた場合(リピーター、薬害エイズなどの社会事件)のみで、現実には民法上の責任が問題となります。民事事件の発生要件には4つあります。

A 注意義務違反 
B 結果発生 
C 因果関係 
D損害額 です。

賠償額=積極損害額+消極損害額+慰謝料で、人の命には値段の差が存在します。死亡1億~2億、後遺症2~3億円です。これは医療事故、交通事故といった原因に関わりません。

6.医療訴訟に対して医師がdefensiveになり過ぎ、それが患者側の不信感を大きくするというケースが多く見受けられます。医療訴訟は医師にとって嫌忌すべき対象ではありません。

研究会には7名が出席し、実例を踏まえた医療訴訟についての質問がありました。患者家族との心理的な距離は臨床上も非常に苦痛であるという発言には共感していました。

今回から歯科医師も参加頂きました。交流会には40名が出席し、全く始めての医師、歯科医師同士の交流機会となりました。

次回は2005年5月21日に甲南大学講師の後藤先生をお招きして「医療経済とは~マクロな視点~」をテーマに講義いただきます。ご都合がつけば、ぜひご参加ください。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。