MVCメディカルベンチャー会議

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第15回MVC 特別セミナーin 大阪

2012年11月17日 | 医療経営塾
在宅医療に関する医療行政について学ぶため、医療問題ジャーナリストの熊田梨恵氏(NPO法人パブリックプレス代表理事)をお招きし、「在宅医療政策の現状と課題」をテーマにお話しいただきました。

1. 私は大学卒業後、福祉業界専門紙の記者となりました。その後医療・介護現場の見聞を広げるため、社会福祉士やホームヘルパー2級を取得し、病院や介護の現場で働き始め、その後記者として霞が関・永田町周辺で医療政策、また医療現場の取材を行いました。そして現在独立し、関西を中心に活動しています。

2. 現在医療費は増え続け、2010年度において、37兆円を超える数字となりました。この数字は2009年度対比3.9%増です。

3. 今後も高騰し続ける理由の一つとして、医療・介護需要の急増が挙げられます。2007年度において、医療・介護需要は454万人でありますが、2025年には757万人と、国は推測しています。

4. この高騰を抑える一つの手段として、厚生労働省は在宅医療を推進しています。2012年度を「新生在宅医療・介護元年」とし、予算・診療報酬・医療計画など行政の手法を総動員して取り組みを進めています。

5. 2012年度は診療報酬が0.004%のプラス改定、5,500億円の増額となりました。この中で、特に在宅医療に対する報酬が手厚く評価されています。

6. また人材政策に関しても力を入れ始めており、現在検討会で議論されている「特定看護師」についても、在宅での活用を視野に入れています。

7. ただ現実問題として、医療・介護需要は454万人→757万人の増加ですが、病床の増加はほとんどなく、介護ベッドは65万床の増床にとどまります。すると、増える303万人のうち、238万人は在宅医療に移行せざるを得ない状況です。しかし、この増加分をすべて在宅で賄うということは厳しいのでは、というのが厚生労働省の最近の論調本音です。

8. このような現状の中で、現場では問題が山積みです。サービス提供側としては、スタッフ不足、認知症医療の不足、病院と在宅医療を行う診療所との連携不足、医師法20条の誤解、一部の悪質介護サービス事業者の存在などがあります。

9. また患者側にもブランド病院志向、他人任せ、死を認めない、向き合わない、世間の体裁を気にする、最近の報道による偏った胃瘻バッシング等があります。

10. 医療提供体制を変えても国民のメンタリティは一切変化しないのですが、厚労省はその事実を認識していないようです。現場には多くの課題が残ったままです。私は、この大きなギャップを埋めるためにも、今後記者として情報発信を行っていきます。

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