MVCメディカルベンチャー会議

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第13回MVC 特別セミナーin 大阪

2012年03月10日 | 医療経営塾
医療と投資について学ぶため、吉田雄亮氏(ファースト信託株式会社)を講師にお招きして「信託の仕組みと活用方法」をテーマにお話いただきました。

(1)ファースト信託は皆さまから預かった財産を管理・運営していく信託会社です。平成18年の事業開始から不動産信託を主体とし、金銭信託も受託しております。不動産信託累計49件、金銭信託累計19件、受託財産累計354億円の実績があります。

(2)信託が使われているポピュラーなものとして、投資信託がありますが、投資信託が信託のすべてではなく、信託は、その目的によって異なった商品となります。

(3)信託とは自分(委託者)の信頼できる人(受託者)に財産を引き渡し、一定の目的に従い、ある人(受益者)または社会のために、受託者にその財産(信託財産)の管理や運営等を委託する制度になっています。

(4)信託の機能として転換機能、財産管理機能、倒産隔離機能等があり、これらの機能により様々なニーズに対応することが可能です。大きな機能の一つとして倒産隔離機能があり、これにより信託された財産は委託者の名義ではなく受託者の名義となることから委託者の倒産及び受託者の倒産の影響を受けないというものです。また契約が委託者・受託者間で行われるので、設計・運営が容易で柔軟性があります。

(5)受託者の義務として、忠実義務、分別管理義務、善管注意義務があります。受益者のため忠実に、信託財産と自己の財産を分けて管理し、善良な管理者の注意をもって信託事務を処理しなければなりません。

(6)次に信託の活用方法についてです。コンセプトは「高齢者向け共同住宅」の建物オーナーになり、

(A) 物件からの収益
(B) この物件の入居者への医療サービスへの参画

という2つの「相乗効果」を目指し、信託で守れる部分を守る、というものです。建物オーナーとしての物件収益に加え、入居者への医療サービス参画という2段構えを視野に入れることはできないか、と。ところが単独オーナーでは建築金額やリスクの面からしんどい部分もあるので、地域で「高齢者サービスチーム」のようなものを作り、「建物オーナー兼サービスチーム員」として、複数オーナー制で臨んでいくことがポイントだと思います。そして、複数オーナー制にせよ不動産にせよリスクが多数ありますので、信託でできるリスク回避を組み込んでいく、ということになります。

(7)「高齢者向け共同住宅」に着目したきっかけは、
高齢者は一度入居すると退去しにくい
独居高齢者と入居ニーズの増加 
賃料支払いが安定 
一般賃貸マンションのように立地に影響されない、
などの利点があり、新しい医・職・住の拠点として高齢者向け共同住宅が機能を果たすと考えております。

(8)モデルとして、建築予定地を土地所有者から借地(定期借地権30年程度)し、オーナーに建物代金を出資していただくケースを考えます(複数での出資も可能な為リスクを軽減出来ます。)借地上に住宅型有料老人ホームを建築し、その管理運営は管理会社、介護事業者、ファースト信託等で行います。

(9)出資~竣工~30年経過まで、信託を用いて、オーナー様の事業リスク、管理等の業務負担を軽減させて頂くことが出来ます。また先述の「高齢者サービスチーム」を作り、地域の複数のお医者様(複数オーナー)で臨めば、オーナー一人当たりの持ち出し額は減り(リスク分散)、逆にサービス参画へのチャンスは増える、ということも考えられます。

(10)信託と住宅型有料老人ホームの融合についてお話します。高齢者物件は一般的に建物金額が1億円以上になります。いざ投資となるとリスクが大きいので、複数の投資家(建物オーナー)としてプロジェクトにした方が良いと考えます。しかしこの場合、投資家相互の利害が対立し「配当の適切配分」「不動産の共有持分」などの問題が生じるおそれがあります。そこで、こうした投資家相互間に潜むリスク、事業リスクなどを、倒産隔離などといった信託機能を活用し、軽減していくことが必要であると考えます。

(11)通常、現物不動産の場合であれば、元本部分と収益部分は一体のものとしてとらえられますが、信託から交付される受益権では元本部分(土地・建物)と収益部分(賃料)を取得する権利に分けることができます。受益権は、引継ぐ者が出てくれば解約・売買も可能です。また受益権の相続も可能で「均等相続」することも出来ます。

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