MVCメディカルベンチャー会議

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第14回MVC 特別セミナー

2012年06月02日 | 医療経営塾
「患者さんと地域に好まれるクリニックづくり~ドクターのためのクリニックから、患者さんと地域のためのクリニックへ~」をテーマに、長渡和久氏(株式会社コンパス 代表取締役 )をお迎えしました。
 
1.(はじめに)
私は約13年間で、約250件以上のクリニックの建築工事や内装工事に関わらせていただきました。私は「奇をてらわず、無駄がなく、使いやすいクリニック」を目指してきましたが、今後は、「患者さんと地域に好まれるクリニック」を創っていきたいと思っています。
 
2.(無駄がないクリニック)
私はクリニックの設計は、各部屋が廊下でつながれている設計(線型)と、廊下の少ない設計(面型)に分けられると考えています。プライバシー確保の面では線型が有利ですが、面積効率が高く、業務分担が兼務であるため、小規模な診療所では面型のほうが、無駄がなく、向いていると考えています。
 
3.(使いやすいクリニック)
私が使いやすいクリニックを設計する上で、注意している点の一部は次のようなことです。
クリニックには、表の空間と裏の空間があります。
クリニックの部屋の並びには順番があります。
動線を大切に考えます。人の動線の他にも、カルテ動線などの隠れた動線がいくつかあります。
私はクリニックの中心にドクターの居場所(診察室)を配置するのを心がけます。
 
4.(ドクターのためのクリニックから、患者さんと地域のためのクリニックへ)
ある耳鼻科のナースの方から、院長と患者さんとの会話が待合室に聞こえてしまい、患者さんが傷ついてしまった…と言うエピソードが書いてあるメールをいただき、私はドクターのためにも、“ドクターの向こうにいる方“のためのクリニックづくりをしていかないといけないと考えるようになりました。
今では、地域団体などでヒアリングをしたりWEBを使ったりしてニーズを集めることも始めました。
 
5.(親近感のあるクリニック)
あるクリニックで親近感のあるデザインであるにも関わらず、患者さんから「ドクターに親しみが持てない」と言う複数のご意見があった例がありました。当たり前の話ですが、ハコに親近感が持てても、中身に親近感がなければ意味がありません。実は、身に着けているものを変えるだけでもイメージは変えられます。ドクターやスタッフが、患者さんにどのように接したいかと言う気持ちを具現化されるのも良いと思います。
 
6.(清潔感のあるクリニック)
患者さんの話で意外とよく耳にするのは、「診察室が汚い、整理されていない」と言うご意見です。
クリニックを収納術と片づけ術の両方を駆使して整理されることをお勧めします。
 
7.(靴の履き替え)
最近では殆どのクリニックが履き替え無しになりましたが、小児科では、乳幼児がハイハイできるように履き替えにしてほしいと言う話も聞きます。一方で、ベビーカーが入らないので履き替えたくないという意見もあります。いろいろな意見や見方があり、設計はそれにより変える必要があります。
 
8.(診療圏分析に関する疑問)
都市部のママさん達の中には子供一人当たり、3~4枚の小児科の診察券を持っている方がたくさんいます。彼女達は、病気の種類やクリニックの特性により、小児科の使い分けをされているのです。目的に合致すれば、通院に距離は関係ないと言う面もありますが、診療圏分析だけではこの辺の患者さんの行動は見えません。
 
9.(患者さんの隔離への考え方の変化)
最近、調査をしていて、特に感じるのですが、患者さんの中には、「クリニックに行くと風邪や病気をうつされる」と考えている人がたくさんいます。将来、待合を個別にする必要が出てくるかもしれません。
 
10.(おわりに)
今まで私はたくさんクリニックを作ることに躍起になっていましたが、今後はクリニックを、より良いものに変えていきたいと考えています。「奇をてらわず、無駄がなく、使いやすいクリニック」をベースに、「患者さんと地域に好まれるクリニックづくり」を行うことで社会に貢献できればと考えております。

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