MVCメディカルベンチャー会議

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第111回MVC定例会in大阪

2014年03月08日 | MVC定例会
サイエンスと教育について学ぶため、株式会社リバネス代表取締役CEO丸 幸弘氏をお迎えして、「ライフサイエンスの最先端を教育現場と産業界に繋ぐ」というタイトルでご講演いただきました。

(1) リバネスでは、教育を事業として持続可能な形にし、社会貢献する仕組みを考えております。

(2) 私は幼少期シンガポールで過ごし、学校の楽しさ、対話することの大切さを学びました。大学では微細藻類の光合成に関する研究をしており、大学院時代には、自分の研究を続けるため研究所を創ろうと考えました。「研究所を創る」という目的の為に、IT系のベンチャー企業に対して営業活動をしたり、投資を受けバイオベンチャーの設立を試みたりして事業経験を積みました。

(3) 2001年に設立したバイオベンチャー企業では、遺伝子検査事業を立ち上げました。「遺伝子検査」という考えを一般に認知させるために、バイオ教育事業を行いましたが収益が上がらず、株主からストップがかかりました。当時の日本では時期尚早なビジネスだったかと思います。しかし、ここで教育の重要性に気付いた事が、リバネスの創業に繋がりました。私を含む創業メンバー全員で、教育事業を進めていこうと決意しました。

(4) リバネス創業当初のコンセプトは、研究者と一般の方の認知度格差を小さくする事でした。具体的には出前実験教室、サイエンスショー等を行い、研究者と一般の方を繋げる取り組みを行いました。創業当初は苦労の連続でした。

(5) 経済産業省「バイオ人材育成システム開発事業」(Bio Technology (BT)に対する市民理解の促進)において、サイエンスを伝える人材(サイエンスコミュニケーター)が重要と捉え、その育成を行いました。この事業を通じて、人から人へ科学をわかりやすく伝える仕組みをつくりあげました。

(6) 私達の業種はサービス業ではなく、知識製造業であると考えています。私の著書「世界を変えるビジネスは、たった一人の「熱」から生まれる」の中でも述べていますが、QPMIサイクルというイノベーションを産み出す仕組みを提案しています。個人が質の高いQuestion(疑問)を持って、強いPassion(情熱)を注いで、信頼できる仲間達とMission(目的・使命)を共有すれば、Innovationを起こせるのです。

(7) QPMIサイクルによって産み出された代表的なイノベーション事例を2つ紹介します。ひとつは、“店産店消”の新しい概念を提案した、サブウェイ野菜ラボ丸ビル店に代表される店舗併設型植物工場のプロデュースがあります。これは、そのビジネスコンセプトが高く評価されグッドデザイン賞を受賞しました。


(8) また、入院患者向けサービスとして日本で初めて病院(下北沢病院)へも導入しました。もうひとつは、シークアーサーの果皮など地域の余剰食品を活用し、オリジナルの発酵飼料を開発しました。脂肪の融点が低くて美味しく、薬剤使用を最小限に抑えた安心安全な豚「福幸豚」を開発し、ブランド化しました。このビジネスモデルは、とんかつで有名な井筒まい泉株式会社のオリジナル豚「甘い誘惑」などへと展開しています。

(9) QPMIサイクルは、リバネス以外でも様々なイノベーションを産みだしています。株式会社ユーグレナでは、優れた栄養特性を持つユーグレナサプリメントおよび関連食品を開発しており、株式会社オリィ研究所では、独り暮らしや入院やなど様々な事情により発生する「孤独」を解決するコミュニケーションロボット「Orihime」を開発しています。株式会社バイオインパクトは、ライフサイエンスに関する研究者向け情報の整理や、研究者データベース「日本の研究.com」の運営をしています。最近では、日本初の個人の遺伝子検査の会社である株式会社ジーンクエストは、未来のために自分のゲノムについて正しく理解するサービスを提供しています。他にも、ゼネラルヘルスケア株式会社は日本初アジア最大級の総合学術オープンアクセス誌「Science Postprint」の運営に力を入れております。

(10) 一般化する遺伝子検査を背景に、誰でも使えて相談できる医療教育サイトとして、医療人監修のウェブ医学事典「Medipedia」を活用できるよう、NPO法人MVCメディカルベンチャー会議と連携していきます。また、製薬企業などをスポンサーに、ICT機器や遠隔ロボットで医者が病院から学校の子どもに授業を行えるプログラムを開発・実施し、教育へ貢献する医療人を表彰していくなどして、医療人と学校を繋げる事業モデルの構築を始めたいと思っています。


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