MVCメディカルベンチャー会議

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第93回MVC 定例会in大阪

2011年03月12日 | MVC定例会
医療と創薬について学ぶため、浅野智之氏(ステラファーマ株式会社専務取締役)を講師にお招きして、「異業種から医療業界への挑戦」をテーマにお話いただきました。

(1)私は1996年にリチウムイオン電池などのフッ素化合物を加工した工業薬品製造を主業務とするステラケミファ株式会社に入社し、製造ラインに配属されました。その後、営業部門と研究部門を経て、1999年6月に新規医療事業部門の担当になりました。

(2)ここ数年、本来はお家芸であったはずの電気機器製造業において、日本はグローバル市場で韓国に大きく遅れをとっています。日本の製造業には構造的問題が内在しています。

(3)韓国では、大企業優遇の税制、ウォン安という為替政策、積極的なグローバル市場への対応、巨額のリスクをとった設備投資、企業内における厳格な評価、意思決定の集中が経済成長を支えています。

(4)ヒト、モノ、カネ、において日本は欧米と比べて、10年以上の遅れがあります。日本政府は、健康、食品、エネルギーというライフサイエンス分野の支援を行う姿勢を明確にしており、企業側の努力が求められています。

(5)日本の勢い低下の背景には、起業家のパテント知識の不足、会社経営の経験者不足、キャッシュフロー重視の財務経営者、技術マネジメントのノウハウ不足という企業内の問題と、ビジネスに精通した弁護士やアカデミーとビジネスの両方にバックグラウンドを持つ科学者が不足している、という企業外部のヒトの問題があります。

(6)また独断専行を許さない風土、失敗に対して許容度が低い社会、生活安定重視を求めるがゆえの人材流動性の低さ、といった日本の文化が、競争原理や自己責任という諸外国の文化に負けているように思われます。

(7)今の日本には、世界的に突出した独創的な研究をして、広く強く確実な特許を取得でき、幅広い応用が可能なテクノロジープラットフォームが作れる科学者が求められています。

(8)2007年6月にステラファーマ株式会社を設立し、ホウ素同位体濃縮技術を用いて、濃縮ホウ素の製造販売を行い、がん治療への応用を目指しております。

(9)BNCT(Boron Neutron Capture Therapy)は、10B(Boron Ten)という放射性同位元素をがん細胞に選択的に取り込ませて、外部から中性子線を照射することで、がん細胞を選択的に破壊するという治療法です。

(10)1932年にChadwickにより中性子が発見され、1936年にLocherによりBNCTの原理が提唱されました。米国での研究を経て、日本国内では約500例の臨床試験が既に行われています。先端医療開発特区(スーパー特区)にも認定されました。

(11)ローパフォーマーの救済や、意思決定権限の分散や、同質性の追求という旧来の日本企業の文化が、日本経済の停滞を招いたのではないかと思います。

(12)このボロ負けしている現状を打破するためには、京セラやロームやオムロンなどの京都の企業に共通に認められる「京様式」という独創的な技術を追求する姿勢に加えて、「度胸」を持った企業人の活躍が極めて重要なのではないでしょうか。

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