MVCメディカルベンチャー会議

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第11回MVC特別セミナー in 大阪

2011年09月26日 | 医療経営塾
医療経営について学ぶため、喜多章介氏(医療法人啓明会 喜多整形外科 理事長)を講師にお招きして、「はやるクリニック、はやらないクリニック」をテーマにお話いただきました。


(1) 私は、平成7年、阪神大震災直後の砂埃漂う中、豊中市庄内においてクリニックを開業しました。倉庫を改造したお世辞にも立派とはいえないような建物でした。開院当初より、外来患者だけではなく、在宅患者に対して積極的にアプローチを行い、いち早く訪問看護、訪問リハビリサービスを行い、他院との差別化をはかり、患者が増えていきました。介護保険が制定されるまでは、医療保険で訪問事業を行い、制定後には様々な介護サービスを展開していきました。

(2) クリニックの運命を決定するハードウェア(土地、建物、立地)とソフトウェア(人材)は、ソフトウェアがより重要で、医療系・福祉系の専門職を連携させサービスを向上させる事が重要なポイントとなります。特に非常勤医師の採用に関しては重要であり、医療はじめ、幅広い知識を持ち、コミュニケーションの能力が高い医師の採用を心がけています。

(3) 開業に失敗する医師の特徴は、プライドから来る上から目線、狭い専門知識と狭い世間から来る貧しい会話、低いコミュニケーション能力からくる情報不足、愛情のない冷たい態度からくる不信感などの積み重なりの結果と考えます。

(4) 逆に、開業で成功する医師の特徴は、幅広い知識からくる的確な患者指導、優しさ、暖かさ、明るく前向きな態度からくる安心感、巧みな会話術、高いコミュニケーション能力からくる豊富な患者情報量、細やかな気遣い、心配りから来る高いリピート率、幅広い人脈、メンターからの有益なアドバイス、豊かな創造性と夢の具現力等の積み重ねの結果と考えます。

(5) 私は、例えば患者との細かなやり取りを、出来る限りカルテに記載し、次の診療時の会話に結び付けています。また組織作りにも力を入れ、目指すべきクリニックの理想像を明確にし、理念を職員に浸透させ、苦労を分かち合えるスタッフを育て、黙っていても自然に動く組織を形成しています。

(6) サービスには段階があります。
A 不快にするサービス
B 不満を残すサービス
C 満足を与えるサービス
D 快適にさせるサービス
E 感動を与えるサービス
F 無償のサービス

(7)不快にするサービスの例は、診察の待ち時間です。待ち時間が長く感じないようにする工夫も必要です。不満を残すサービスの例は、対応にムラがある、言葉足らずからのコミュニケーション不足です。満足を与えるサービスは、マニュアル通りのサービスです。快適にさせるサービスは、心をこめた挨拶、対応です。感動を与えるサービスは、オンリーワンのサービスです。同じサービスを提供していても、一人一人に合うよう価値以上の価値を提供するサービスです。無償のサービスは、全てのサービスの総和です。例えば、歩けない患者に送迎をしようということです。これは医師会からお叱りをうけましたが、あらゆるニーズに応えられるシステムを作りたいという私の意図の現れです。

(8)創業者の理念についてですが、創業者はプロであり自分の吐く言葉には魂があると考えます。また、プロであってもクレームはきます。そのクレームが最大の教師と考えます。

(9)この理念から、成長を止めない組織作りを目指しています。常に危機感を持ちながら自分の居場所を見つけ、敏感かつ柔軟に行動し、成長を喜ぶことが大事な社員教育です。創業精神は全ての人に、最適な医療と福祉を提供する一翼を担うということです。サービスはいくら言葉で発していても、実行しなければ意味はないと解釈しています。

(10)働くことの意味が分かっている社員は会社に貢献できます。その会社は社会に貢献できます。社会に貢献できれば社員に目的と喜びが生まれます。「もらおう」と思って働いているのか、「与えよう」と思って働いているのか、考え方が大切です。優秀な人材を育て、社会へ還元することが、夢の実現のために大切なことだと考えています。

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