MVCメディカルベンチャー会議

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第117回MVC定例会in大阪 第一部

2015年09月05日 | MVC定例会
医療法人誠仁会 りょうき歯科クリニック 理事長 領木誠一氏をお迎えし、「予防医療の重要性~歯科医科連携から見えること~」といったテーマで、今後、医科と歯科が共有すべき予防医療の重要性、課題についてお話しいただきました。


①日本人の歯科予防意識は、海外に比べかなり低いと言われています。日本では、歯科医院に対して、「歯が痛くなったら行くところ」というイメージを持たれている方が多く、「予防するところ」という概念があまりありません。また、小さい頃に痛い思いをしたというトラウマが、歯科医院を遠ざけている要因ではないかと考えています。



②北欧、特にスウェーデンでは、国策として歯科の予防が進んでいます。日本では、虫歯や歯がなくなったとしても、それほど費用がかかりません。しかし、北欧では保険制度が整っておらず、歯科治療をするには高額な治療費がかかります。その為、予防するという考えが自然に根付いているのではないでしょうか。

③予防をひろめていくためのキーワードは、「食欲の維持」です。動物社会では、歯がなくなるイコール死に繋がります。人間は歯がなくなっても、義歯により、そこまで重篤な状態に陥ることはありません。しかし、義歯では、味や温度を感じることが出来ないので、食欲の衰退に大きく影響します。高齢になると、食欲の衰退により、寝ることだけが楽しみとなり、やがて寝たきりになってしまうという方もいらっしゃいます。

④医学の進歩により、長寿国となった日本では、健康で何をするのかを考える時代となりました。健康長寿という質の高い人生を送るために、「食欲」は、切っても切れない関係ではないかと思います。高齢者に、美味しいものを家族と食べることが一番の幸せと話す方が多いです。寝たきりのまま、一人で流動食を食べるということは、人生の質の低下となります。誰と、何を食べるということが、個人の人生にとって重要なことと、私自身強く感じるところです。

⑤ 皮膚に湿疹ができ、皮膚科に長年通っても改善しないといった事例がありました。これは、口の中にある金属の詰め物やかぶせものによるアレルギーが原因で、金属をセラミックに変えることで症状が改善されました。これまで、皮膚科医が口の中まで診ることはありませんでしたが、この事例により、皮膚科と歯科の連携の必要性がみえました。

⑥心疾患で亡くなった方の心臓の血管の切片を取り、組織を調べたところ、その中の約60%から歯周病菌がみつかったとの報告がありました。また、歯周病と糖尿病は、相互に悪影響を及ぼしていると、NHKなどを通し、国民に知られるようになりました。このように、歯周病は、口の中のみの病気ではなく、全身の健康に悪影響を及ぼすことが明らかとなっています。

⑦今後は、医科と歯科の医師が連携し、お互いの立場から予防を考えていく時代になっていきます。歯科の疾患が、全身疾患に繋がっているということを、医科の先生から提言していただき、おきざりにされている歯科の定期検査を受ける機会へ繋がってほしいと思っています。


⑧これからの歯科医の役割は、病気を診る・治すだけではなく、患者様の人生観を観ていくことが必要と考えています。歳を取ったときに誰と食事をしたいか。食欲がなくなるとどうなるか。このような切り口で、患者様には、自分の将来の歯へ関心を持っていただけるよう心掛けます。

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