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特定目的会社の税率

2008-07-07 10:12:19 | 実務の現場

特定目的会社(TMK)とは、優先出資、特定社債等の資産対応証券の発行、若しくは特定目的借入により得られる金銭をもって、資産の流動化に係る業務として特定資産を取得し、その特定資産の管理・処分により得られる金銭をもって、資産対応証券の債務の履行又は利益の配当及び残余財産の分配等を行うことのみを目的とする社団をいいます(資産流動化法2条3項)。特定資産を処分した後には、解散することが原則とされています。

資産を流動化させよう、というのがそもそもの目的ですから、課税面でも色々と優遇されています。

登記の登録免許税にしても、例えば、TMKの設立登記の登録免許税は3万円です。

TMKが不動産を取得するときも、所有権移転の登録免許税率は1,000分の8(平成21年4月1日からは1,000分の9。ちょっと前までは1,000分の6だったのですが・・・さりげなく上がっているので、コワイですね)です(租税特別措置法第83条の3)。

この租税特別措置法第83条の3では、以下のようになっております(抜粋)。

『第八十三条の三  特定目的会社・・・・で第一号に掲げる要件を満たすものが、特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律 等の一部を改正する法律(平成十二年法律第九十七号)の施行の日から平成二十二年三月三十一日までの間に、同条第四項 に規定する資産流動化計画(以下この項において「資産流動化計画」という。)に基づき特定不動産・・・・不動産の賃借権、地上権又は不動産、土地の賃借権若しくは地上権を信託する信託の受益権をいう。以下この項において同じ。)で第二号 に掲げる要件を満たすもの又は指名金銭債権を取得した場合には、当該特定不動産又は指名金銭債権の取得に伴う不動産の権利の移転の登記に係る登録免許税の税率は、財務省令で定めるところにより当該取得後一年以内に登記を受けるものに限り、登録免許税法第九条 の規定にかかわらず、所有権の移転の登記にあつては千分の九(平成二十一年三月三十一日までに資産流動化計画に基づき取得した不動産の所有権の移転の登記にあつては、千分の八)とし、質権又は抵当権の移転の登記にあつては千分の一・五とする』

ここで、注目したいのは、所有権については、「所有権の移転の登記」のみ、ということです。

つまり、TMKが「所有権保存の登記」をする場合には、何の減税措置も得られない、ということです。

条文で「移転」しか書いていないじゃん、とお思いでしょうが、TMKが新築物件を施工主から取得して、表題部をつくり、保存登記をしようとしたら、一般の保存登記と同じ税率がかかるわけで、「取得」することに変わりはないんだから、一定の証明書を出せばなんか減税してくれても良さそうな・・・と感じるのは私だけでしょうか。

でも、そういうことを定めている条文がないから、やっぱりだめなんです。

不思議なような、でも色々減税受けてるし、いいじゃん、というような、しかし減税受ける為に資産流動化計画書とか、減税措置を受ける為の届出とか、財務局に提出して、それなりに苦労しているから、やっぱいいじゃん、というような、少しばかり首をひねるTMKの保存登記です。

森本綾乃司法書士事務所-M.D.Law Office (http://www11.ocn.ne.jp/~mdlaw/index_jp.html)


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