フィードバック制御では、ずれていた分だけ、間違っていた分だけ、修正する。しかし、この方法では間に合わないことが多い。
フィードフォワード制御は、予めこうなるだろうと予測して制御する。熟練者は、フィードフォワード制御を行う。
体が覚えているとは、フィードフォワードモデル(結果から原因を推定する逆モデル)が覚えていることである。
内部モデルとは、周りの環境の振る舞いを、脳の中の神経回路網にモデルという形で表現して記憶することである。
過去の経験によって手に入れたフィードフォワード制御の内部モデルは、小脳の中にある。
学習前には、内部モデルがないから、フィードバック制御を行う。学習が完成すると、内部モデルが形成されるから、そこからの指令によるフィードフォワード制御に切り替わる。
目標を持ち、それに近づいてゆこうとするフィードバック誤差学習によって脳内に内部モデルが形成される。その後は、これを使ってどうすればよいかが予測できる。
運動のやり方が、脳に順モデルとして格納されていると、その順モデルを使えば、その運動を思い浮かべる(イメージトレーニング)ことができる。
脳の中に順モデルを構築して、その順モデルを使った学習によって、運動の逆モデルを構築する。
順モデルは、こうすればこうなるという動きを脳内でシミュレーションする働きである。
順モデルは、内部モデルを構築するまでの過程で作成されるモデルであり、逆モデルは、そのようにして構築された内部モデルで、それを利用(フィードフォワード制御)して行動する。練習中(順モデル=生徒)と練習後(内部モデル=先生)である。
ビジュアル版 脳と意識の地形図―脳と心の地形図(byリタ・カーターfrom原書房)から抜粋引用と自分の意見・感想の付け足し。