指揮にクリストフ・ポッペンを迎えた定期演奏会であるが、何と言ってもウイーンの名手、ペーター・シュミードルを迎えたモーッアルトのクラリネット協奏曲に耳がいってしまうプログラムであった。オケに溶け込むようなふくよかな音質で、時折のアクセントが全体を引き締める。しかし、リズムや音のが乱れが目立ち、どうもベストの状態ではなかったようである。私が一番興味深かったのは、当日の指揮者編曲によウエーベルンの弦楽四重奏曲であった。シェーンベルクの「浄夜」に通じるようなロマンティックな曲想で、目一杯弾かせるポッペンの指揮は、情感一杯の弦のアンサンブルを紡ぎ出していた。最後のハイドンの「太鼓連打」もそうした表現力を目一杯発揮した演奏で、独特のウイットに富んだ明るい響きは、ほぼ同時代のモーッアルトとの違いを明らかにするのみならず、ウイーン古典派のなかでも独特のオリジナリティを持ったこの作曲家の特色と魅力を余すところなく引き出した名演であった。
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