本邦初公開「静岡交響楽団」演奏会。演奏曲の中にチャイコフスキーのくるみ割り人形第6番「お茶」も。本会議終了後は事務局長拝命する太鼓サークル26名参加で来年の演奏計画協議。
※反対討論原稿
2015年11月―12月議会反対討論 2015年12月15日
只今上程されています、マイナンバー、共通番号制度関係で第193号、第201号、第202号、第210号に、静岡病院独立行政法人化関係で第196号、第216号、第217号、料金改定に関わる第203号~第206号の議案に緑の党・グリーンズジャパンとして反対の立場で討論を行います。
マイナンバー制度につきましては法定受託事務でありますが自治体とも深くかかわるもので予算措置、条例制定のたびに1、個人情報の大量流失の危険性、2、詐欺、成りすまし、不正利用などの犯罪の拡大、3、国家による個人監視機能の強化などから反対を表明してきました。今回も同様でありますが、いよいよ来年1月からコンビニでの個人番号カードを使った住民票や税証明の発行、7月には実際の運用が始まります。3つの問題点を指摘しておきたいと思います。
第1に、6月の日本年金機構の125万人、最終的には101万人の個人情報流失事件は再発防止策が確立されるまで運用が先送りされているにも関わらず、逆を言えば再発防止策は確定していないにも関わらず、来年1月から制度は動き始めてしまう点です。また、年金機構は情報流失した個人への損害賠償を行わない旨を公表している点は留意しなければなりません。
1999年に奈良県宇治市の住民基本台帳を基にした22万件の乳幼児情報の流失事件で2002年最高裁判決が確定し一人1万5000円の損害賠償額が確定しています。その基準に照らせば今回の日本年金機構の流失事件は、訴訟が起こされれば151億5000万円に賠償金額に相当します。民間でも昨年のベネッセホールディングの3500万件の個人情報流失事件で一人500円、200億円の損害補償をしました。静岡県内では合計2万3105人の個人情報が流失しています。この損害賠償は行うことで今後の戒めとすべきです。
第2は、それらを重く見て総務省は2回にわたって全国1800の自治体の個人情報に関わるインターネットとつながるパソコンの日常業務調査を行い、8月の中間報告では県単位での情報クラウド化を提示していますがいまだに対応策は確定しておらず、また、市役所内部で活用されるマイナンバー情報と外部とつながるインターネットパソコンとの完全遮断も検討中という段階で制度実施が先行している点です。
日本年金機構への「標的型メール」によるハッカー攻撃が行われている時、海外からも含め全国の100の自治体へも攻撃が行われ、7自治体を除いて公式ホームページの改ざん、ウイルス感染などの被害を受け、長野県上田市では防御のために住民基本台帳ネットの遮断を行わざるを得ませんでした。つまり、このマイナンバー制度がいかに無防備状態の中で始まろうとしているのか、私たちは肝に銘じておかなければなりません。
第3に、本来この制度は民主党政権の時代に社会保障と税の一体改革の中での番号論として語られてきましたが安倍政権になって番号制度ありきで実施もされていない段階で銀行預金情報、医療情報など民間利用に一挙に拡大された点です。
この制度を一番望んでいるのは財務省で個人の所得、資産の把握が瞬時にできるようになります。「24時間、365日、自分の情報が他人に筒抜け、丸裸にされるリスク、情報漏えいの不安」、コンビニで住民票が取れる、個人カード1枚で生活できると利便さも語られますが、それは「監視社会という掌(てのひらのうえ)の自由」でしかありません。法定受諾事務であるこの制度の旗振り役を静岡市が果たしている点は大変残念であります。年末の民間における税書類など番号記載の義務はないにもかかわらず記載が必要であるかのような書類が作られ現場は大混乱しており尚且つ防御体制はまったくできていません。市民活動の分野では憲法13条に基づくプライバシー権を侵すものと訴訟も準備され、また、個人番号カードボイコット運度も呼びかけられています。
次に静岡病院の独立行政法人化をめぐってであります。
既に来年の4月移行に伴い着々と独法化への準備は進んでおりますが、当初より第1に、病院の改革は公営企業法の全部適用で十分に対応できること、第2に独法化することによる市議会の関与が弱まり市民の声が届きにくくなること、第3に、公的病院としての責任がプロパー職員によってどこまで担保されていくのか未知数、などから反対してきています。この関連条例についても同じ理由によって反対ですが、中期計画案も提示されていますので2点指摘しておきたいと考えます。
第1は、中期計画案では、3年間での静岡市の運営費負担金は、営業収益47億8900万と営業外収益2億4000万、合計50億2900万、これまでの公営企業法一部適用の中で支出されてきた額より年一億、3年間で3億円が上積みされている点です。こうした運営費の内訳、財政上や医療サービスなど、これまで議会として可能であったチェック機能が来年3月予算議会以降、事実上困難になっていくのではないかと懸念する次第です。
中期計画では高度専門医療として「心臓」と「がん」分野への特徴付けを行うことが示され、現在、県立総合病院と徳州会病院だけに設置されています4億円とされるPETの導入、また災害医療病院として駿府公園でのヘリポート基地機能とは別にヘリポート基地の可能性、など示されています。静岡病院が抱える累積赤字78億円、3年間中に18億円を返済し、9億円を新たに起債、起債行為は独立行政法人としては禁止されているので静岡市が起債し貸し付ける形になります。退職金も引当金として40億が積まれます。
総務省は、4月に地方独立行政法人制度の改革に関する研究会を設置しました。公営企業関係で45の独立行政法人が設立されていますがすべてが病院事業です。論点の一つに、公営企業型独立行政法人の「長期借入」問題があり、というのも国立病院機構においては長期借入を独自の判断できることになっているからです。ニーズ調査で29法人が現状の自治体からの借り入れのままで、14法人が独自判断をとの回答でした。こうした動向を踏まえるとやはり議会のチェック機能というものが重要になってくるわけであります。
第2は、こうした点をカバーするものが理事会の理念・哲学であり、第三者機関である評価委員会のチェック機能ということになりますがどこまで期待できるか、という点です。中期計画案の前文、新たな独法化の病院の理事長と院長の両方を兼務されることになっているようですが、宮下正現静岡病院長の執筆とされる前文に「公的な存在であるということは「社会的共通資本としての」としての病院機能を果たす」とあります。
「社会的共通資本」という言葉は「自動車の社会的費用」などで注目された既にお亡くなりになりましたが経済学者の宇沢弘文氏によって提唱されたもの「国家的に管理されたり、利潤追求の対象として市場に委ねられたりしてはならず、職業的専門家によってその知見や規範に従い管理・維持されなければならない」とされる概念です。この言葉が中期計画に使われている点については注目しておきたいと考えます。
料金改定に関わる第203号~第206号については、第204号が指定管理者制度での利用料金の上限額の変更で料金の値上げの可能性もあり、第203号、205号、206号は値上げ改定であり反対しておきたいと考えます。
以上で反対討論を終わります。