チキチキ読書日記

無駄に読み散らかした本の履歴です。

禅と脳―「禅的生活」が脳と身体にいい理由 玄侑宗久 有田秀穂 大和書房

2006年03月29日 12時37分42秒 | 宗教
芥川賞作家で禅僧の玄侑氏と、医師有田氏の対談である。
いわゆる宗教と科学との対話である。
僕はこれまで、とにかく科学で説明がつかないことが大嫌いで、ゆえに宗教や迷信やオカルトや超常現象などといったことからは、なるべく距離をおくようにしていた。
しかし、自分なりに勉強を進めてきて、科学もまた一つの仮説であり、万能ではないという当たり前のことがようやく分かるようになってきた。
宗教家と科学者が対談すると、とかく宗教対科学というような因縁の対決めいたことになってしまうのが大勢である。
しかし、本書は一流の宗教家、そして禅を研究する医師の対話なので、不必要な意地の張り合いは見られなかった。
しかし、医師のほうがやや必死な感じで、玄侑氏がいうことを一々科学的に根拠付けしようとする姿勢が、科学者として当然だとは言え、少々うるさく感じた。

それにしても玄侑氏の知識の広範さにはおどろかされる。
特に科学に関する知識も膨大である。
それらを自由に駆使しながら、禅、そして心という科学に容易に還元できない事象について説明していく。
実に鮮やかである。