![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/cf/18b8f5d6afdc3e8533253fe830f8095f.jpg)
花本修司(はなもとしゅうじ)は、【ハチミツとクローバー】に登場する美大の教師である。
ヒロイン・花本はぐみの保護者的存在であり、同時にハチクロのメインキャラたちにとっても
どことなく父親的なポジションにいるキャラである。
今回は、そんな花本修司の物語を追ってみる。
美大生時代
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/f9/ed00a4abb34e82a890590a6af9b68977.jpg)
大して絵が上手いわけではないが、絵が好きだった修司はそれだけで
故郷の長野から東京へ飛び出し、浜田山美術大学に入学した。
自信は無いくせにプライドばかりが高かった修司はどこに行っても居場所がなく、
キャンパスにしがみついて、ただがむしゃらに絵を描いていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/66/72/f0fd4fa6693ac4f7d299db3f2229ff33.jpg)
そんなプライドでガチガチだった修司の懐にあっさりと入り込んできたのは
原田(はらだ)という男であった。
原田は不思議な男だった。
飄々と笑っているけれど、一緒にいると全部見透かされている気にさせられる。
なのに全く不快じゃなかった。
二人はすぐに仲良くなり、やがて原田の提案で庭付きの広くて安いアパートで
同居をはじめた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/62/d4/2104d71cffc6c803c400060d2079bc4c.jpg)
原田は迷い犬や弱った猫などを拾ってきては色々と世話を焼いた。
そして、三年生の終わり頃、原田はついに人間までも拾ってきてしまった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/56/39052b6dceffcdf5888e601d0b805815.jpg)
原田の隣で無防備に眠っていたのは、江上理花(えがみりか)だった。
理花は北海道から来たおそろしく絵の上手い女の子で、そのとっつきの悪さと顔の美しさで
学内では雪の女王とか呼ばれて男子の注目の的だった。
修司も理花も、原田に拾われた一人だったのかもしれない。
原田はおそろしく大きな懐を持った男だったのだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/91/5433c7ae192481f48f4db001d023a097.jpg)
原田と修司の二人住まいだったアパートに新たな同居人が加わる。
理花である。
三人はまるで当たり前みたいにいつも一緒にいた。
それは楽しい生活だった。
時々修司は「自分探し」と称して突発的にアパートを飛び出すことがあったが、
心配性の原田と理花によって、あっさりと見つかって連れ戻されるのが常であった。
はぐ
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/d9/aa7744c03134551156ef41aef6990800.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/31/5e/f22510c06c9b45105d6a9d8c705f9b4f.jpg)
修司には、故郷・長野にまるで兄妹のように仲の良い女の子がいた。
花本はぐみ。
父親は修司の従兄弟で、長野県警察の警部である。母親は幼少期に亡くしていた。
はぐみは臆病で人付き合いが苦手な子であったが、修司にはよく懐いた。
修司もはぐみを「はぐ」と呼んでかわいがった。
はぐは修司が東京から帰ってくる時には決まって修司の実家を訪ね、
二人は一緒に遊んだり絵を描いたりした。
はぐは天性の芸術の才能を持っていた。
特別な才能を持たない修司は、皮肉にも原田、理香、はぐ、と
才能あふれる人物に囲まれている格好になっている。
修司の進路
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4a/a6/e87da807af15f6065489c87c74c3cf04.jpg)
芸術に関して特別な才能を持っていなかった修司であったが、
人にものを教えることは得意であった。
原田や理花は修司の話を楽しんで聴いた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/f2/47f6fdaf52883a0a846c3ffec12b24fc.jpg)
二人があまりにも修司の話をせがむので、修司は図書館に通ってネタ集めに必死になった。
美大の教師たちは美術史に真面目に取り組む修司を見て感激するほどだった。
この話のネタ集めも修司の道を切り開くことに一役買ったのだろう、
修司の卒業後の進路は、美大の教師であった。
修司は、自らが通った浜田山美術大学の美術史教師となった。
やがて、原田と理花は結婚。
二人は「原田デザイン」というデザイン事務所を立ち上げる。
修司、原田、理花の三人での共同生活はここに終わる。
三人は、それぞれの道を歩み始めたのであった。
はぐと老婆
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/07/19/1ca4a815a26d5ff6faeb1e841679927c.jpg)
中学生になったはぐは、どことなく様子がおかしくなっていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/f4/4c6c2a3e1966ef37bb5d733e8da2fd14.jpg)
問題ははぐの祖母にあった。はぐの祖母は修司にとっては大おばに当たる。
老いてゆっくりと視力を失いつつあった大おばは、もう以前の強くて明るい人ではなくなっていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/6e/766d9b2364a926f5e4a646692ca359a5.jpg)
その圧迫された生活は、はぐの絵にも暗い影響を落としていた。
はぐの描いたおびただしい量の風景画はすべて、たったひとつの構図だった。
はぐはずっと、薄暗い家の窓から見える風景しか描いていなかったのである。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/d8/dcddbcdc3fa3ccbd2564e485cfb09712.jpg)
やがて大おばは静かに亡くなった。
修司ははぐに、高校を卒業したら浜田山美大に来ないかと誘う。
修司は、この小さな村の古い家で出口を失っていたはぐを解放したいと思った。
自分は美大で原田のような気の合うやつを見つけた。
結果、一人っきりで絵を描いていた頃よりもずっと色んなモノが作れるようになった。
自分のやりたいことだって見つけることができた。
はぐにも、自分と同じように気の合う友だちを見つけてほしかったのだ。
はぐは黙って修司の手を取り、修司の胸で泣いた。
原田の死
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/67/19715b993d9c950a45b2db17189b3b7f.jpg)
原田が死んだ。
交通事故であった。
運転していたのは理花だった。
原田デザインが手掛けた店のオープニングパーティの夜で原田と理花はひどく疲れていた。
雪がひどくて周りの人が止めたが、理花は原田を早く家で休ませたいからと店を出て車を走らせた。
そして、積載量オーバーのトラックのスリップに巻き込まれたのだった。
原田は即死。理花は一命を取り留めた。
事故現場から遺体をかき集めて何とか小さな葬儀を出した。
理花は病院で身体中に管を巻きつけられ、原田を送ることすらかなわなかった。
修司は目覚めた理花に言う。
「自分で死んじゃ駄目だ」「原田の所へ行けなくなる」「本当の意味で二度と会えなくなるよ」
理花は修司の言葉に呪われ、原田の後を追うこともできなくなり、懸命に生きようとした。
理花は不自由な身体で、原田の残した仕事にのめり込んで行った。
修司は理花を放っておけず、理花の事務所に泊まり込んだ。
事務所から仕事に通い、夜は理花の仕事を手伝った。
先に耐え切れなくなったのは修司だった。
本当は気付いていた。
ずっと三人で過ごしてきたけど、本当は二人と一人でしかなかったこと。
いっそ原田の後を追わせてやった方が理花のためなんじゃないかとまで
思い始めてしまった。
それほどまでに、原田の存在は大きかった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1b/78/39e40606402b3f169a8b265314f7a838.jpg)
理花はそんな修司に気付き、二人離れることを提案する。
修司もそれがいいと思った。
理花のもとには、修司の教え子である真山巧(まやまたくみ)を手伝いとして
通わせることにした。
修司は、いつもの生活に戻った。
浜田山美大の美術史教師。
しかし、それは見る者によっては、半分あの世に行ってしまったようにも見えた。
修司は、小さな村の古い家で大おばと生活していたはぐのように、
出口を失って、浜田山美大から動けなくなってしまおうとしていた・・・。
次回へ続く
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今さら【ハチミツとクローバー】の結末について語る
ヒロイン・花本はぐみの保護者的存在であり、同時にハチクロのメインキャラたちにとっても
どことなく父親的なポジションにいるキャラである。
今回は、そんな花本修司の物語を追ってみる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0190.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/f9/ed00a4abb34e82a890590a6af9b68977.jpg)
大して絵が上手いわけではないが、絵が好きだった修司はそれだけで
故郷の長野から東京へ飛び出し、浜田山美術大学に入学した。
自信は無いくせにプライドばかりが高かった修司はどこに行っても居場所がなく、
キャンパスにしがみついて、ただがむしゃらに絵を描いていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/66/72/f0fd4fa6693ac4f7d299db3f2229ff33.jpg)
そんなプライドでガチガチだった修司の懐にあっさりと入り込んできたのは
原田(はらだ)という男であった。
原田は不思議な男だった。
飄々と笑っているけれど、一緒にいると全部見透かされている気にさせられる。
なのに全く不快じゃなかった。
二人はすぐに仲良くなり、やがて原田の提案で庭付きの広くて安いアパートで
同居をはじめた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/62/d4/2104d71cffc6c803c400060d2079bc4c.jpg)
原田は迷い犬や弱った猫などを拾ってきては色々と世話を焼いた。
そして、三年生の終わり頃、原田はついに人間までも拾ってきてしまった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/56/39052b6dceffcdf5888e601d0b805815.jpg)
原田の隣で無防備に眠っていたのは、江上理花(えがみりか)だった。
理花は北海道から来たおそろしく絵の上手い女の子で、そのとっつきの悪さと顔の美しさで
学内では雪の女王とか呼ばれて男子の注目の的だった。
修司も理花も、原田に拾われた一人だったのかもしれない。
原田はおそろしく大きな懐を持った男だったのだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/91/5433c7ae192481f48f4db001d023a097.jpg)
原田と修司の二人住まいだったアパートに新たな同居人が加わる。
理花である。
三人はまるで当たり前みたいにいつも一緒にいた。
それは楽しい生活だった。
時々修司は「自分探し」と称して突発的にアパートを飛び出すことがあったが、
心配性の原田と理花によって、あっさりと見つかって連れ戻されるのが常であった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0190.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/d9/aa7744c03134551156ef41aef6990800.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/31/5e/f22510c06c9b45105d6a9d8c705f9b4f.jpg)
修司には、故郷・長野にまるで兄妹のように仲の良い女の子がいた。
花本はぐみ。
父親は修司の従兄弟で、長野県警察の警部である。母親は幼少期に亡くしていた。
はぐみは臆病で人付き合いが苦手な子であったが、修司にはよく懐いた。
修司もはぐみを「はぐ」と呼んでかわいがった。
はぐは修司が東京から帰ってくる時には決まって修司の実家を訪ね、
二人は一緒に遊んだり絵を描いたりした。
はぐは天性の芸術の才能を持っていた。
特別な才能を持たない修司は、皮肉にも原田、理香、はぐ、と
才能あふれる人物に囲まれている格好になっている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0190.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4a/a6/e87da807af15f6065489c87c74c3cf04.jpg)
芸術に関して特別な才能を持っていなかった修司であったが、
人にものを教えることは得意であった。
原田や理花は修司の話を楽しんで聴いた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/f2/47f6fdaf52883a0a846c3ffec12b24fc.jpg)
二人があまりにも修司の話をせがむので、修司は図書館に通ってネタ集めに必死になった。
美大の教師たちは美術史に真面目に取り組む修司を見て感激するほどだった。
この話のネタ集めも修司の道を切り開くことに一役買ったのだろう、
修司の卒業後の進路は、美大の教師であった。
修司は、自らが通った浜田山美術大学の美術史教師となった。
やがて、原田と理花は結婚。
二人は「原田デザイン」というデザイン事務所を立ち上げる。
修司、原田、理花の三人での共同生活はここに終わる。
三人は、それぞれの道を歩み始めたのであった。
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中学生になったはぐは、どことなく様子がおかしくなっていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/f4/4c6c2a3e1966ef37bb5d733e8da2fd14.jpg)
問題ははぐの祖母にあった。はぐの祖母は修司にとっては大おばに当たる。
老いてゆっくりと視力を失いつつあった大おばは、もう以前の強くて明るい人ではなくなっていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/6e/766d9b2364a926f5e4a646692ca359a5.jpg)
その圧迫された生活は、はぐの絵にも暗い影響を落としていた。
はぐの描いたおびただしい量の風景画はすべて、たったひとつの構図だった。
はぐはずっと、薄暗い家の窓から見える風景しか描いていなかったのである。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/d8/dcddbcdc3fa3ccbd2564e485cfb09712.jpg)
やがて大おばは静かに亡くなった。
修司ははぐに、高校を卒業したら浜田山美大に来ないかと誘う。
修司は、この小さな村の古い家で出口を失っていたはぐを解放したいと思った。
自分は美大で原田のような気の合うやつを見つけた。
結果、一人っきりで絵を描いていた頃よりもずっと色んなモノが作れるようになった。
自分のやりたいことだって見つけることができた。
はぐにも、自分と同じように気の合う友だちを見つけてほしかったのだ。
はぐは黙って修司の手を取り、修司の胸で泣いた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0190.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/67/19715b993d9c950a45b2db17189b3b7f.jpg)
原田が死んだ。
交通事故であった。
運転していたのは理花だった。
原田デザインが手掛けた店のオープニングパーティの夜で原田と理花はひどく疲れていた。
雪がひどくて周りの人が止めたが、理花は原田を早く家で休ませたいからと店を出て車を走らせた。
そして、積載量オーバーのトラックのスリップに巻き込まれたのだった。
原田は即死。理花は一命を取り留めた。
事故現場から遺体をかき集めて何とか小さな葬儀を出した。
理花は病院で身体中に管を巻きつけられ、原田を送ることすらかなわなかった。
修司は目覚めた理花に言う。
「自分で死んじゃ駄目だ」「原田の所へ行けなくなる」「本当の意味で二度と会えなくなるよ」
理花は修司の言葉に呪われ、原田の後を追うこともできなくなり、懸命に生きようとした。
理花は不自由な身体で、原田の残した仕事にのめり込んで行った。
修司は理花を放っておけず、理花の事務所に泊まり込んだ。
事務所から仕事に通い、夜は理花の仕事を手伝った。
先に耐え切れなくなったのは修司だった。
本当は気付いていた。
ずっと三人で過ごしてきたけど、本当は二人と一人でしかなかったこと。
いっそ原田の後を追わせてやった方が理花のためなんじゃないかとまで
思い始めてしまった。
それほどまでに、原田の存在は大きかった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1b/78/39e40606402b3f169a8b265314f7a838.jpg)
理花はそんな修司に気付き、二人離れることを提案する。
修司もそれがいいと思った。
理花のもとには、修司の教え子である真山巧(まやまたくみ)を手伝いとして
通わせることにした。
修司は、いつもの生活に戻った。
浜田山美大の美術史教師。
しかし、それは見る者によっては、半分あの世に行ってしまったようにも見えた。
修司は、小さな村の古い家で大おばと生活していたはぐのように、
出口を失って、浜田山美大から動けなくなってしまおうとしていた・・・。
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