紫の物語的解釈

漫画・ゲーム・アニメ等、さまざまなメディアにひそむ「物語」を抽出して解釈を加えてみようというブログです。

【桜玉吉】の物語を追う[幽玄漫玉日記編・前編]

2011-02-15 00:37:32 | ○○の物語を追う
前回「防衛漫玉日記編」からの続き


コミックビーム1997年1月号にて、【防衛漫玉日記】は突然の連載終了を迎えました。
そして、ほどなくして玉吉は離婚してしまいます。

離婚の原因については、作品でがっつり踏み込んで描かれてはいないのでよくわかりません。


当時描かれた4コマ漫画で少しそれっぽいことが匂わされたり、


遥かのちに連載する【御緩漫玉日記】の過去回想でなんとなくそれっぽいことが
描かれるくらいです。

一人娘の親権は母親の方にあるようで、玉吉は一人ぼっちの生活に逆戻りすることになってしまいました。
そんな逆境の中、一年近くの充電期間を経て桜玉吉のあらたな連載がはじまります。


  幽玄漫玉日記連載開始



コミックビーム1998年1月号にて、桜玉吉の新連載【幽玄漫玉日記】が始まりました。
離婚のショックなどおくびにも出さず、明るく振る舞う玉吉に涙が止まらない!
みんな桜玉吉の復活を信じて待っていました。

でも、休んでいた一年間を一枚絵で表現したという、その件の絵は冒頭の暗ーい絵でした。
玉吉、ホントに大丈夫・・・?

まずは、休んでいた一年間をおさらいすべく、【防衛漫玉日記】のときのようなエッセイ漫画が始まります。
ただし、離婚のことには触れていません。そのことを漫画に描けるようになるには、まだ時間が必要です。



防衛隊を解散した玉吉はひどい虚脱状態に陥り、意を決して病院に出向きます。
診断は軽い「うつ病」でした。

こうして、処方された薬をせっせと飲み続ける日々がはじまりましたが、
薬の効果はてきめんで、それまでのやる気のない自分がウソのようにアクティブになった玉吉。
健康センターに通い詰め、常にカメラをぶらさげ街中を徘徊。一人旅も頻繁に行い、
大型二輪の免許も取得しました。
半年もすると、健康生活習慣を基盤に徐々に薬を断ち、通院も止めました。

こうして気力充実し、漫画家稼業への戦線復帰を決意した玉吉でしたが、ここで大変なことに気が付きます。


一年間の充電期間で玉吉が実践したことは人が健康に生活するための基本的なことばかりでしたが、


そもそも、それは漫画家生活とは真逆のモノだったのです!
三日三晩考え抜いた末に、漫画家をやめることにしますが、
求人情報誌を読みふけるうちに、自分がもはや就職にツブシの効かない年齢になっていたという
事実に直面して、(玉吉36歳)ひさびさに絶望的な気分になる玉吉。



しかし、ここですでに付き合いの長いヒロポンから玉吉を揺るがすアドバイスをもらいます。
ヒロポンは、「玉吉の漫画作業をサポートする組織を作ればいい」と言うのです。

「人様の会社に入れてもらおうなんて考えずに自分でカイシャの一コや二コつくるくらいの
 カイショがなくてどうするのですかシンキーーン!!」

ヒロポンの言葉に胸打たれる玉吉! そして・・・



「お仕事組織を こしらえることにする」

桜玉吉36歳、あらたなる挑戦がはじまります!


  有限会社「玉屋」設立



こうして、本当に有限会社を設立してしまった玉吉ですが、社員は玉吉ひとりきり。
一応、ヒロポン・O村が影の社員として「玉屋」を支えることになります。
ちなみに、O村は【防衛漫玉日記】のときは一般の編集者でしたが、いつのまにかコミックビームの
編集長までのしあがっていました。

通常の絵・漫画の仕事にくわえて、役所や登記所など雑多な会社事務手続きが増え、
玉吉は着実に忙しくなってゆきます。でも・・・


どうも収入は減っているように思えてならない・・・


まぁ、原因は明白でしたが!

そして、その玉吉を忙しくしている一因の「玉屋」も


現状で存在する意味、まるでなし!

これはいけません。
会社を設立した本来の主旨はどうあれ、この【幽玄漫玉日記】のメインストーリーである
「玉屋」に何の動きもないようでは、このシリーズの命もすでに危ういではないですか。
実際、この玉屋の存在意義云々を取り上げた回の次の回から、二回にもわたって
伊豆で虫取りをするという会社まったく関係ない話を展開するという危機っぷりも披露しました。
(虫取りの話、すごく面白かったですが)

そんな折、O村からビジネス話がもちかけられます。



原宿で店!
最初は冗談だと思った玉吉でしたが、よくよく聞いてみると冗談ではありませんでした。
この時期、株式会社アスキーが原宿竹下通りに「アソビニ」というゲームキャラクターの店を出していました。
このアソビニ店内スペースに多少の余裕があり、店舗内店舗として玉屋に貸してもらえるのだという。

これは玉屋一世一代のビジネスチャンス!



俄然あわただしくなる【幽玄漫玉日記】。
仕事人・ちょりその協力もあり、玉屋の商売戦の準備は着々と進みます。



玉屋の希望に満ちた第一歩でした。



初戦の売上も上々で、玉屋一同充実した一日を過ごしました。
うつ病持ちだった玉吉も、「人生すてたものじゃなし」と至福の感想をもらします。
心のありようは筆先にもあらわれ、絵仕事もいつも以上にはかどります。

しかし、ある日玉吉のもとへ一通のFAXが。



原宿アソビニ、閉店決定・・・


  すさむ玉吉、起死回生のアスキー株

アソビニ閉店後、ウソのように気力を失った玉吉はイキオイでヒロポンと新宿のクラブへ
出向き、踊りまくる。「もうどうだっていいぜ!ツブせー金持ち全員死刑ー!」

その後、なぜかヒロポンと1983年の夏にタイムスリップする玉吉。
荒れた青春模様を絵の荒れたエッセイ漫画で表現するも、虚構と現実が入り混じる不思議な作風に。

でもって・・・



O村によってボコボコにされ、【幽玄漫玉日記】を元の路線に戻す玉吉(とヒロポン)。
そうです、これは会社漫画ですよ。
「やっぱ資本主義だよね¥」とボコボコの面でほほえみあうふたり。

「時にヒロセ専務君、資本主義の根幹をなす所と云ったら何だろうネ?」
「ふえふえ~社長ォ~おたわむれを~ 株式市場でやんすにょお」

こうして、株(アスキーの)を買うことにした玉吉。



玉屋起死回生の投資がはじまる・・・ッ!



が、早々に株価下落で吐きそうになる玉吉。
しばらく株価の上下運動に一喜一憂する日々がはじまりますが、日にちが経つにつれて
あまり動じなくなり、玉吉は株主として威厳と配慮の人になってみることにしました。

とはいえ、株ネタは現在進行形のネタですごく地味。
いつまでもこのネタで漫画が続くわけがありません。

アスキー株をしばらく放置しつつ、ヒロポンのデート尾行ネタや日常のどたばたネタで
ページを消化する【幽玄漫玉日記】。
そして、ある回でついに・・・



なんと、ヒロポン 鬱デビュー・・・。
相乗効果で玉吉の鬱も再発します。



「医者いけよ」
の一言で部屋を出てゆくうつポン。


そして、ヒロポンはかつての玉吉のように薬でアッパーになって帰ってきました。

「僕様、お薬長者としてうっとうしい漫画社長に神のお力を授けてやるショックサイエンス~」


精神の絶好調にいかれた赤二才に辟易し、死んでしまいたい気持ちになっている玉吉でしたが、
赤ヒロポンからのお恵みの薬をみると、なんと以前に自分も服用していた薬。
「ウウウ・・・」



断っていた薬の世話に再びかかり、アッパーオヤジ玉吉復活ー!
アスキー株をしばらく調べていなかったことに気が付きます。



なんと、一株450円で買ったアスキー株が1000円以上になっていました。
株価がいつまでも低迷していた場合、株主総会に乗り込んで無茶苦茶やるというシナリオまで
想定していた玉吉ですが、ものすごい値段のハネ上がり具合に、すんなり千株手放すことに。
結局、一株1330円ですんなり売却。
見事、玉屋は85万円以上もの儲けを得たのでした!


  病める幽玄、荒れる漫玉



アスキー株編からほどなくして、ヒロポンが肺炎で倒れます。



そして、玉吉も鬱が再々発・・・。
O村編集長、心労でハゲるハゲる!!



幽玄の作風も暗く、ダウナーなものに。



ヒロポンの引っ越し手伝い中にマジゲンカもしちゃいます。
O村が玉吉の結婚と娘のことに触れたのが発端でした。



しまいには、「ヤメヤメ!!もういい、クソじゃ!」
と油性マジックの殴り書きで締める幽玄漫玉。
すわ、また投げっ放し最終回か?と思いきや、



次の回でちょっと落ち着く玉吉。



精神修行のため、禅寺の門をたたく。



でも結局。


と、前編ここまで。
この先どんどん迷走してゆく漫玉の物語を追うのもだんだん心苦しくなってきましたが、
がんばって追っていこうと思います・・・。



次回、ついに例の彼女が登場します。

後編へ続く

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4 コメント

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Unknown ( )
2011-02-15 22:13:09
もう遥か昔なんだよな~しあわせのかたちとか。

で、結局生きてるの?玉吉
Unknown (taka)
2011-02-15 22:33:16
連続で失礼します。
また楽しく読ませていただきました。

「ハナチョーチンが先に~」のあの話が
決定的なターニングポイントだったような
気がしますね……。

なんというか、そこまでの話はまだ
「鬱をネタにしている」という感じで
笑って読んでいけたんですが……。

この辺りから徐々に「ネタ」として
噛み砕かない作風が目立ってきます。
それはそれで面白いんですが、読む分には
負担が大きいですよね。

不定期とのことですが、次回も楽しみです。
Unknown (紫)
2011-02-16 01:05:44
>玉吉生存確認

2011/2/10発売のファミ通で玉吉先生の4コマ確認しました。
まだ生きてます!

>鬱

だんだん支離滅裂になったり現実と虚構がいりまじってくる
ところがヤバいですよね。
今でも完全復活を信じていますが。
Unknown (Unknown)
2012-07-05 23:33:50
桜玉吉ビーム復活(?)記念

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