というわけで、今回急遽登る事になった山は谷川連峰の一つ、白毛門(しらがもん)です。
標高は1720メートルと大したことはありませんが、土合橋からの急登が有名で
体力の無い私としては出来ればこのルートは避けて通りたかったのです。
しかしなんといっても、みなかみ入りしたのが9時過ぎという遅さ。
時間的に谷川岳か白毛門しか選択肢がない。
谷川岳は登った事があるので、今回は白毛門に行ってみることに。
今回、不安だったのは体力だけではありません。
そう、実はもう何ヶ月も前に準備していたこの靴を初めて使うのです。
だから、今回は武尊ぐらいで足慣らしをしてから挑戦しようと考えていたわけですが果たしてどうなる事やら…。
am9:30
林道から登山道に。
いきなり急な坂道が始まります。
3キロに満たない距離で一気に1000メートルの標高を稼ぐこの登り。
もちろん今までに経験した事はありません。
しかし困難はこの坂だけではありませんでした。
夏の山はとにかく虫が多い。
目の前に数え切れない程の虫の大群が飛び回っています。
目や口をタオルなどで覆っていないとあっという間に飛び込んでくるので
最初は慣れるまでが大変ですが、そのうち登りの厳しさでどうでも良くなっていきます(笑)。
最初はとにかく山登りというよりは森登りに近い感覚。
いたるところに立派な木々が鬱蒼と生い茂っています。
それにしても、本当にこの登りはきつい。
高度はどんどん上がり、すでに土合駅の赤い屋根もはるか下に遠のいています。
曇りがちだった空からも本格的な夏の日差しが刺すようになり、
気温もどんどん上がっていくようです。
武尊に向かう途中、川場村のコンビニで買った「谷川岳のおいしい水」も
あっという間に無くなっていきます。(中身はすでにお湯です)
買ったときは谷川連峰に来るつもりは無かったんですがね…(-_-;)
片品方面からタタラのセン(大滝)のせせらぎが聞こえます。
あの水が飲みてぇ…
谷川岳方面を見下ろすとロープウェー乗り場もいつの間にか遥か下の方に。
あれに乗れると楽なんだけどな。。。
お馴染み、ななかまどの実。
そういえば、
「これ食えんのかな?」とかいって口に入れたとたん吐いていた、
「オーモロー!」な人がいたっけ(笑)。
登り始めて1時間以上。
本当にきつい。
疲労もあるが、とにかく腹がへった。
もうずっとお腹がなりっぱなし。
そういえば、今朝は3時間以上前にマヨネーズパン一個食べただけ。
山登り前の朝食というにはあまりに粗末でした。
だけど、休める場所がぜんぜんありません。
虫もすごいし、とても物なんてたべられたもんじゃない。
しょうがないから飴で空腹を紛らわす。
のどの渇きがいよいよ激しくなり、用意していた水がどんどんなくなる。
今思うと、このあたりから体調の異変が始まっていたのかもしれません。
登り始めて2時間弱
左に一の倉沢が見えてきました。
真夏だというのに雪渓がまだ残っています。
もう、あの雪渓に頭っから突っ込みたい…。
気持ち良いんだろーなぁ。
少しずつ森林限界が近づくころ、
オキ、トマの耳にかかっていた雲も晴れてきました。
白毛門の頂上も晴れている様子
pm12:00
空腹が治まった(?)かわりになんだか目がまわり出した頃。
とてつもない大岩の大群が登山道を塞ぎ始める。
鎖場も出てきてカメラをザックに収納。
pm12:10
登り続けて2時間40分。
ガイド参考タイムと全く同時に「松ノ木沢ノ頭」に到着。
ギリギリです。
眼前に「一ノ倉沢」の大パノラマが広がります。
「谷川岳といえば、」という、いかにもの眺めに改めて感動。
(体調は最悪ですが…)
谷川連峰最高峰の茂倉岳も間近にそびえています。
そしてもうすぐそこに白毛門のピークが。
もうあと少しですが、とにかく何か口に入れないとと思いザックからおにぎりやパンを出したものの、気持ちが悪くて食べられません。
目の前が真っ白で立っていられない。腰を下ろしても吐き気がする。
ここで初めて自分がハンガー・ノック、いわゆる「シャリバテ」に陥っていることに気が付きました。
ハンガー・ノックとは血糖値が下がって力が入らなくなること。
要するにエネルギーの枯渇状態。
マラソンや自転車、クロスカントリースキーなど長距離のスポーツで起こりやすく、
これを防ぐには定期的に補給食を取ることが必要と言われています。
知識だけはあったのですが、まさか自分がなってしまうとは。
しかもこんなにきついとは思ってもいませんでした。
そういえばこんなふうに3時間近く休みもせず登ったのは今回が初めてのこと。
ここからピークまであと50分くらいですが、とても登るどころではありません。
スタートも遅かったので12時とはいえこの時間になるともう皆下山していく人ばかりです。
もうあと少しですが…
山の行動は15時までが基本。
夕方からは山沿いで雷雨の予報もあります。
悔しいけど下山を決意。
とにかく体をやすめて、口にできる飴を飲み込む。
コロッケパンを無理やり飲み込む。
とにかく飲み込む。
とはいっても口から入った物がエネルギーになるまでは3時間近くかかるんですよね。
13時丁度にゆっくりと下山開始。
手足がしびれる。
めまいが激しい。
とにかく喉が乾く。
残っている水は500mlのペットボトルに半分だけ。
水の量に不安を感じるのも今回がはじめて。
すでに普段よりもかなり多くの量を飲んでしまっています。
20分も歩くとまたへたり込んでしまう。
今までどんなにバテても下りでこんな事はなかった。
思った以上に深刻なのかなと不安になる。
しかたなくもう30分休む。
都合よくあった大岩に腰をおろす。
するといつの間にかまた雲が重なって雨が落ちてきた。
てばやく雨具に着替え、ザックに雨カバーをかける。
下山のための時間はたっぷりある。
地図、コンパス、笛、ヘッドライト、
装備も全部ある。
大岩の上にあぐらをかき、パラパラという雨の音に耳をすませる。
心が落ち着いた。
またゆっくりと下山。
疲れたら休む。
休んだらまた飴をなめる。
そしてゆっくり下山、の繰り返し。
pm3:30
参考タイム1時間40分のところを、実に2時間半かけてようやく登山口に下山。
すでに空になっていたペットボトルに水を汲む。
これで、ほんとうに「谷川岳のおいしい水」となりました。
満杯に近かった駐車場もカラガラでした。
どうやら、下のほうでも一雨あった模様。
振り返ると綺麗な青空が広がっていました。
いろいろ反省点はありましたが、やっぱりこの山はおもしろい。
次はピークまで登れる気がします。
多分…(-_-;)
また一つ、苦い思い出を胸に谷川連峰を後にする私でした。
ジンクスっていうか、もう絶対なんかあるねこの山では(笑)。
でもほんと楽しい山です。
10月か…。
私が山で失敗する時は、いつも基本的なことを守っていない時なんですよね(泣)。
実は私の前を年配の女性が歩いていたのですが、その方が、同じ場所で降りていったんですよね。
「この時間からピークまで行くと、下山が4時過ぎちゃうから」って。
多分その方がいなかったっら、私は無理にでも頂上を目指していたかも知れません。
そしたらどうなっていただろうと想像するとちょっと怖いです。
2つ目の間違いを犯さずによかったと思ってます。
次につなげたいですね。
ホントにそうなんですね。
私自身は登山はまだ趣味の中にありませんが、
もし、そのときが来たら、
「定期的なカロリー補給」を心がけます。
またリベンジの課題が増えましたね(^^)v