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AVP2◆シリーズ・前作をだいなしにした残念な演出

2008-01-08 01:06:26 | <ア行>
  

  「AVP2 エイリアンズVS.プレデター」 (2007年・アメリカ)

「えっ、なんですかコレ!?」というのが鑑賞後の正直な感想。3年前の「AVP エイリアンVS.プレデター」(2004年)で続編があるのは予想していたものの、またも地球が舞台と聞いたときから一抹の不安をおぼえたのは確か。宇宙船や辺境の惑星や南極の地下に眠るピラミッドの中ならいざ知らず、あの宇宙トカゲの暴走をアメリカ市民の暮らす地方都市を舞台にちゃんと描けるのだろうかと思っていたら、やっぱりラストは混乱のうちに幕切れとなってしまった。

目玉となるプレデター(ザ・クリーナー)と新型エイリアン(プレデリアン)の対決は、やられっぱなしの人間たちの<究極の選択>によって、ものの数分で幕を閉じる。これはもうエイリアンとプレデターと人類の三つ巴の戦いというよりも、圧倒的に無防備なアメリカ市民を容赦なく襲うエイリアン軍団と、今回は人間にまったく無関心なプレデターにやけっぱちになった人類側が、最終兵器によって自爆する道を選ぶという、ほろ苦い負け戦を描いた物語になっている。前作「AVP」で描かれたクリーチャーどうしの壮絶な死闘もなければ、エイリアン・シリーズでリプリーが見せつけた人間の意地と誇りも脇にのけられ、どう転んでも哀しい駄作というよりほかない。これまでわずかながらも感情移入する余地のあったプレデターという傑作キャラ(今回登場するのはなんと1体のみ)まで、活躍の場を与えられずに終わっている。これでは何のためにタイトルに「P」の文字を入れたのかもわからない。

そもそもプレデターというキャラクターは、怪物と高等生物、悪玉と善玉という要素が渾然一体となった奥深さが魅力なのだ。前作「AVP」では「敵の敵は味方」とつぶやくヒロインと協力して敵であるエイリアンを打ち負かす。ふたりのあいだには明らかに異種間のコミュニケーションが存在し、ラストには互いの働きを讃え合う胸の熱くなるシーンまであった。人類とプレデターのあいだにせっかく芽生えたこうした「友情」を、わざわざふいにするような演出は返すがえすも残念だ。

役者陣にも花がなく、残虐描写のみ加速されていて、これまでそれぞれのシリーズが描こうとしてきた主題への配慮も感じられない。もう「A」も「P」も「AVP」も、これで打ち止めということなのかもしれない。だとしたらファンにとっては不満の残る最終話ということになるのだろう。



満足度:★★★☆☆☆☆☆☆☆



<作品情報>
   監督:コリン・ストラウス/グレッグ・ストラウス
   製作総指揮:ポール・ディーソン 
   出演:スティーブン・パスクール/レイコ・エイルスワース/ジョン・オーティス/ジョニー・ルイス


<参考URL>
■映画公式サイト 「AVP2 エイリアンズVS.プレデター」
■映画公式サイト「AVP エイリアンVS.プレデター」(2004年)
■参考レビュー「エイリアンVS.プレデター/力技で演出したモンスター対決」




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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
つぎはALovesP (アルヤック)
2008-01-08 21:39:17
こんちゃ!
ものの見事にすっころんでいることが
ありありとわかるレビューです^^
AVP、1は観賞済みだけれど、やはり
AはただのAが、PはただのPの方が
面白かったなと…
「A骨」が伏線でなく
本当に「暗示」として完結していたら
もう少し心の底にどしりと残ってくれたかも
返信する
A,P>AVP>AVP2 (masktopia)
2008-01-10 13:57:18
こんにちは(^^)/
アルヤックさんのおっしゃるとおり
わたしもAはA、PはPの独立路線のほうが
断然よかったと思います。
AとPを戦わせるのはファンサービスなのか
それとも商売なのか・・・?
「A骨」もさりげないからよかったんですよね(笑)
こうなったらAVP3がないことを祈りましょう。
返信する

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