プロローグ
「筑西風荘」 。
全ての始まりはここから。
こうして述懐してみると、自責の念、心の奥に宿る、悲しい痛みを思い起させる。
愛の父母、兄姉、親戚を離れ離れにしてしまったことを・・・。
僕の中で心の整理するために、新しく来る春を迎えるために、筑西風荘で生まれた親戚、ここではないけれど繋がりのある犬舎で生まれた親戚のために、もう一度、足を運ぼうとの思いに至ったのである。
出会いの形は様々だけど、親戚みんなの思いは同じだと思う。
「自分の家族として、煌びやかで、
幸せな一生を過ごしてもらおうと・・・」
本文
そこに愛が生まれた犬舎はありませんでした。
大規模な圃場整備工事のため、筑西風荘の犬舎はＨさんの自宅の隣に移転されていました。
愛が生まれた犬舎があった場所を背景に記念写真。
中央に遠くに見える家が、Ｈさんの自宅と新しい犬舎です。
位置は家が見える方向は北（北海道方面）になります。
右に筑波山、東だから太平洋。左は西（東海、九州方面）。
そして足利方面。
だから愛が向いている方向は、南（東京、千葉、埼玉方面）ということになります。
愛、本当に大きくなったね。
農道でポーズと撮るモデル愛。
そういえば、初めてブリダーのＨさんに会ったとき、自宅から犬舎まで自転車に乗ってやってきたＨさんを思い出しました。
愛が生まれた犬舎から、携帯電話でＨさんに電話したら、忙しそうにＨさんがやってきました。
Ｈさんは気さくな方で、柴犬について熱く語るＨ節に圧倒されました。
３月２０日の春分の日、愛と農道を北に歩いてきました。
筑西風荘まで来ました。
Ｈさんの自宅と筑西風荘の「柴犬」の看板、そして、雄大な筑波山が見えます。
これが筑西風荘です。新しくなってました。
愛が笑ってる。
愛、嬉しいの？
ところが、犬舎に近づくと、たくさんの柴がいて、「ワンワン！」と一斉に吠えるので、愛はおびえてしまいました。
たくさんの柴犬が黄色の建物の周囲の柵に集まってきました。
犬舎に向かい、Ｈさんに会いに行きました。突然の訪問だからいないかも。
女性従業員が、柴犬の世話をしていました。
愛パパ
「こんにちは。ここで筑西風荘で生まれた子です。」
女性従業員
「社長がおりますから、お話されていきますか？」
愛パパ
「はい。」
この小屋に、仔犬がいるのだと思います。
一昨日、足利でお会いしたばかりなのに、またＨさんに会いに来てしまいました。
相変わらずの、懐かしいＨ節でした。
「（愛パパの抱っこを見て）抱っこはダメだよ。」
「うちの柴は１日４キロは運動させてるよ。」
「山や谷を２時間も走らすと、いいよ。柴は、そういうものだよ。」
「（愛を見て）体重１０キロ、超えてるよね。柴の雌は８．５キロが標準だよ。」
「おやつ？おやつはいらないよ。ご飯は質素でいいの。体重が増えると病気が出てくるよ。」
・・・愛パパ、何も言えず。
たくさんの柴犬がいたので、愛が怖がって、Ｈさん宅の庭でオシッコしてしまいました。
「いいよ、いいよ。」とＨさん。
相変わらず、お客様対応や仕事の電話やらで忙しいＨさん。
わずか１０分ほどの面会でしたが、懐かしかった。
のどかな田園風景にある筑西風荘と筑波山の風景。
この風景は、ずっと変わらないと思う。
この場所が、親戚との出会いのすべての始まりなのです。
でも、愛は筑西風荘を怖がった。なぜか、少し嬉しかった。
愛は僕の娘になったんだと思った。
愛は僕の娘。いつまでも、愛パパだよ。
愛の故郷は、栃木県足利になったんだよね。
愛は足利に来て良かったよね。
帰り際、筑西風荘の写真を収めたときに、涙が出そうになりました。
生まれたばかりの愛を両手で抱えた日のことを思い出す。
また来ようね、愛。
平成２４年３月２０日、春分の日の出来事でした。
エピローグ
愛と一緒に生まれた兄姉はどうしているだろう。
愛は３人兄姉。平成１９年８月８日生まれ。
兄姉に会えなくても、親戚には全員会わせてやりたい。
そして、会ってみたい。
是非、愛に会ってほしいです。愛に触れてください。
そう願ってやみません。
北海道から九州、東海、そして関東、どの親戚もそれぞれに幸せに暮らしている様子が伝わり、僕は嬉しいです。
全ての親戚に愛を・・・。僕の小さな願いです。
長い日記におつきあい頂きありがとうございました。
完
