不眠閑話

政治、経済、教育、文化、社会、時事など。殆どは旧ブログからのコピペ・転載です。

町田康の詩

2022-06-28 12:40:15 | 文学
旧ブログからの転載。町田康の詩集。
   
町田康は芥川賞を獲ってからダメになった気がする。無名時代の方が良いものを書いていた気がする。以下は無名時代の詩集より。
   
※  ※  ※
「下りみち」

夢も希望も無い者どおしで商店街へゴー
最後の金を握りしめて爆笑しながらゴー
  
手を取りあって足を踏みなして
我々の怒りと喜びを道行く人に浴みせかけて
肥りまくって食いまくれ
   
おいしい豆を買いにゴー
最上のエイズ女を買いにゴー
俺らの為だけに用意された快楽をゴー
幸福な気分を確認しあってゴー
    
諸君 同じ場所であがいているより
前々から決まっていたその場所へ
我々と一緒に行ってみんかね?
    
※  ※  ※
「きりきり舞い」

前進せよと謂う声がする俺は歩いて 立ち止まる
愚民が樹木の下で愛し合っている
後退せよとおっしゃる声がする
犬はすべて氷河に走っていってしまった
そのまま居れとおっしゃるか?
大仏が建立され 陛下が地球の長さを測る
きりきり舞いをしています
汝 我が民に非ず
きりきり舞いをしています
もはや慈悲なし
俺はブラウン管のむこう側で何度も何度も死ねる
    
※  ※  ※
「蓄財のうた」
   
誰と話しても殺されるときに
誰と遊んでも狂わされるときに
ただ一人の熱いおまえらと
ただ一人の憎いおまえらと
何もかもを呪いつくそう
恥の中で焼け死んでしまおう
銭をもうけて遊び呆けよう
嬉しさをかみしめてはしゃぎまくろう 
    
※  ※  ※
「あさましかりける」
   
あの栄光はどこへ行った
背中の苦しみの針を降ろして
ちょっと一服しようか
誰の罪でもないことを
うまそうに食ったあの人も
今は見張っていまへんぜ
私の眼球におまえは
青と黄にしかはりつかず
私は繰り返しあさましく狂う





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