この本というのは『あしながおじさん』
1912年にアメリカで出版された、ジーン・ウェブスターの作品で、原題は
“DADDY-LONG-LEGS”
フレッド・アステアの映画が人気だったらしく(というのも、わたしは見ていないので)、あしながおじさんのイメージは、フレッド・アステアに定着。
これはいい迷惑です。
アメリカ人には、いい男なのでしょうが、わたしとしてはイメージが違う。なんだか軽すぎ。
もっと落ち着いていて、知的で、若々しい。
それに、もっと渋い人がいいです。
主人公はジルーシャ・アボット、17歳。ジョン・グリア孤児院で育った孤児。普通は16歳で孤児院を出されるところを、成績が良かったために村の中学校に通い、いまそこを卒業しようとしています。
これからの身の振り方を考えるというとき、あしながおじさんが登場します。
ジョン・グリア孤児院の評議員さんなのですが、これまでにも成績優秀な男の子を何人か、大学に進学する就学援助を行ってきました。
ジルーシャが書いた「憂鬱な水曜日」という作文を読んで、「この子を大学にやって才能を育てよう」と考えたのです。
「こんなに世話になっている孤児院をひやかしの材料にするなんて、あまり感恩の念を示しているとは考えられませんね。こっけい化していたからいいようなものの、さもなかったら取り返しのつかないことになったでしょうよ。けれども幸いにしてあの……つまりたた今帰りなすったあの方は並外れたユーモアの持ち主でいなさると見えて、あの無遠慮な作文がお気に召して、あなたを大学へやってくださると申し出てくだすったんです」
というのは、リペット院長の言葉。
かくして、ジルーシャからジョン・スミス氏に向けての書簡集が始まります。
ジルーシャがみずみずしい感性で綴る、ユーモアたっぷりの大学生活。
豊かな人柄、自立心。
多分、作者ジーン・ウェブスター自身がこんな人だったのではないでしょうか。
読み終わったとき、とっても幸せな気分になれます。
何の前知識もなく読み始めるのが一番!
その幸せな気分は、たっぷり3日はつづくこと、請け合いです。
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