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サラ☆の物語な毎日とハル文庫

三津田さんの物語⑨~結婚する気はなかったけれど

@サラ☆

三津田さんの物語、9回目。

いよいよ、フサコさんは結婚することに。

 

 

★結婚する気はなかったけれど

 

三津田氏がフサコさんの家で夕食をいっしょに食べるようになって、

しばらくしたころ、お母さんが

「どうですか、三津田さん、いい方でしょう。優しい旦那様になりますよ。

結婚しませんか?」とフサコさんに尋ねました。

ところがフサコさんは、三津田氏がどうのというよりも、

そもそも結婚はしないで、独身主義を貫こうと思っていました。

 

なので「結婚はしません」とお母さんにはっきり宣言しました。

たしかに前々から、結婚はしたくないという言い分は聞いています。

そのせいで、せっかく来たお見合い話を何度お断りしたことでしょう。

「いい話なのにねー、フサコったら『まだ結婚したくない』の一点張りで」

お側の女中さんたちは、そんなお母さんのため息を、何度聞いたことか。

 

業を煮やしたお母さんは

「それじゃあ妹にゆずりますよ」とフサコさんに言いました。

「結構ですよ」

「妹が先にゆくのは、世の中ではおかしいことなんですよ」

「そんなことは構わないじゃありませんか」

そんなやりとりがあり、お母さんは三津田氏に「妹のほうではどうか」

と打診したそうです。

 

「そうしたらね、おとなしい人だったのだけれど、

『妹さんならいりません』と母の眼を見てはっきりいったそうですよ」

そう話すフサコさんは、満更でもなさそうな表情をしていましたっけ。

 

それでも毎日夕食にやってくる三津田氏。

後年「恋愛はしたことがない」と語っていたフサコさんですから、

三津田氏に熱い恋心を抱いたわけではないのですが、

憎からず思うようになったのは確かではないでしょうか。

 

こうして三津田氏が夕食を食べに通い始めて1年が過ぎたころ、

とうとう周りに押し出されるような形で、フサコさんは結婚しました。

フサコさんは27歳、4歳年上の三津田氏は31歳でした。

女性の結婚年齢がいまよりも早かった当時としては、少し遅い結婚でした。

 

 

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