サラ☆の物語な毎日とハル文庫

男は危機と遊びに夢中になる

ロビンソン・クルーソーは、親に「ちゃんと奉公して着実な人生を送るように」と言われ続けたにもかかわらず、家出して船乗りになります。
そののち、アフリカのムーア人に捕まって奴隷にされ、必死の思いで脱出するなんて苦労を重ね、裕福なブラジルの農園主におさまったにもかかわらず、またまた航海に出るのです。そして遭難。
懲りないやつです。
では、どうしてそんなに船に乗りたいのか?
一度ならず死ぬような思いをしたのに、性懲りもなく、なぜ冒険に旅立つのか?

こないだふとテレビをつけたら、開高健のインタビューを放映していました。
(NHK教育TVの「あの人に会いたい」2005.6.5放映)
その中で開高健は、「男を熱中させるものは危機と遊びである」と言っていました。

そうなんだ。危機がとてつもなく男を夢中にさせるんだ。
あの、アドレナリンの放出がたまらなくって、陶酔するんだ。
相手が自然であろうと未知のものであろうと、人であろうと、はたまた自分であろうと、結局は闘いなんだ。
ギリギリの闘いを挑むのが好きなんだ。

そう考えると、格闘技も探検も冒険も、男の領域だなと納得するのです。
女は、個人差は大いにあるけれど、しっかりと穏やかに生活を育むのが好きですよね。
そんな性差があるのかもしれないと、興味深く思ったのでした。

開高健は朝日新聞の特派員としてベトナム取材で従軍。
1965年2月14日に南ベトナム解放民族戦線に、従軍していた部隊が包囲され、激しい攻撃にさらされました。
部隊は壊滅し、200人中17人しか生き残らなかったとか。
その17人の一人が開高健です。

そんな九死に一生を得たにもかわらず、その後アマゾンだの何だのと地球の向こう側のジャングルまで釣りに出かけていく。
やはり、危機におけるアドレナリンは病みつきになるのかも、などと想像します。

開高健は、じつは大学のときに先輩から『フィッシュ・オン』という釣り紀行を書いた著作を紹介されたのをきっかけに、身近に感じている作家です。釣りの本しか読んでいないのが、偏っているとこなのですが…

とくに、開高健とともにブラジルのアマゾンに出かけ、『オーパ!』というアマゾン釣り紀行の写真を撮影した山口昇(のぼる 名前の字が少し違っています)さんというカメラマンと、いっしょに仕事をしたことがあるので、余計に身近な存在に感じられます。
そのとき、『オーパ!』が文庫化したばかりで、山口氏のサイン入りの文庫本をいただいたのが印象深いです。

蛇足ですが、開高健の声は野太いと思っていたのに、インタビューの声は甲高く可愛くて、そのミスマッチが何だか愉快でした。
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