今、主に使っているリールがUKDaiwaのトーナメントISO5000QDですが、すでに廃盤になってから4、5年になり、海外の中古市場でも滅多に出ません。また出たとしても、コロナ渦で中古市場も高騰が続いていて、どうにもならない状況です。
日本ではたまに出る、日本仕様のトーネメントISO遠投は、QD(クイックドラッグ)ではないのですが、他の例えば、パワーサーフのQDノブを装着することでQD化できるので、日本製のものを購入しています。
以前、リールのラインを巻き替えている時や、リールを仕舞い込む時に、それぞれ、机から床に落としたり、車から地面に落として、結果としてリールが巻けなくなり、メーカーへオーバーホールに出しても、すでに製品のパーツもなくオーバーホールできないとの返事で、途方に暮れていました。
諦めかけていたのですが、先日、昔からの釣友の方から、リールを治してくれるショップを紹介してもらい、早速ネットで調べて、今回修理を依頼することになりました。
そのショップは「リール屋ピカレスク」さんで、評判もすごくよく、早速メールで問い合わせをして、予約を取り、昨日直接ショップまで行ってきてました。
場所は大阪の泉佐野なので、車で行くのも遠いので、近鉄と南海を乗り継いで、久しぶりに電車に乗ってきました。往復6時間ほど、七千円ほどの電車代ですが、背に腹は代えられませんし、久しぶりに電車の旅を楽しんできました。
11時の近鉄特急で三重の松阪から難波へ。1時間半ほどの車内ではゆっくり本も読むことができます。何を読もうかと、もう一度読み直そうと「志学 数学」(井原 康隆著:シュプリンガーフェアラーク東京)を一冊と、リールを4個トートバッグに忍ばせて。
以前読んだ本なのに、もうほとんど覚えていないという、最近はこんな頭の状態ですが、逆に新鮮な気持ちで読めるとも言えます。数学を目指す若者への世界的な数学者の著者からのアドバイスのような内容ですが、この種の本はほとんどなく、その意味でも貴重な本といえます。教え子にはかつて紹介した内容でもあるかと、メージをめくりながらの旅になりました。
難波から南海本線で、特急の自由席に座り、30分ほどで泉佐野に到着。生まれて初めて降り立った、泉佐野。学生時代に大阪府大の友人が中百舌鳥に住んでいたので、数回、中百舌鳥には降り立ったことがあるのですが・・・。
駅の改札を出て、スマホ片手にグーグルマップの経路案内に従って、歩くこと数分。すでにネットでお店の様子など写真を見ていたので、すぐに確認できます。予約時刻の14時まで30分ほど時間があるので、隣で奥さんがやっておられるお好み屋さんへ入って、少し遅めの昼食。
リールのお店のお客さんは5%引きで、私はミックスの焼きそばを注文しました。予約時刻の14時になったので、リールの方の店と言っても、隣の部屋というか、そちらへ移動。
早速持ってきたリールを見せると、落としてハンドルが回らなくなるのは、この種のリールではよくあるらしいと。さすがに経験豊富なコメント。そう言いながらも手際よく分解していく隣から、これは、自分ではできないなあと見とれていました。落とした反動でリールのオームギアがダメージを受けるようで、それを修理するために、結局全部分解しての作業です。同じ症状の2台を持ち込んだのですが、1台目が特にひどく、リールを落としてハンドルが回転しなくなった後、無理にハンドルを回した結果、さらにギアにダメージを与えたようです。部品を洗浄しながら、ベアリングも2個交換してもらっての作業です。お店のブログで紹介されている作業等も拝見していましたが、それに比べても、かなりの作業量で、45分ほどかかりました。組み立て作業も終わり、ハンドルも完全とは言えませんが、実用上、問題なく使えるまでになりました。次の2台目は1台目の作業の後なので、さらに症状も幾分軽度であったので、20分ほどで完了しました。こちらは1台目よりスムーズにハンドルが巻ける感じです。
さすがは評判通りの技術です。全国から毎日のように修理依頼が来て数ヶ月待ちの状況らしいです。実際、この日の修理中にも、宅配業者が修理依頼のリールを届けてきました。さらに特筆すべきことは修理代金の安さで、私の場合でも、2台で1時間20分ほどの作業で部品代込みで、8200円と破格の値段でした。
奥さんのお話では、リールを治してからお店を出て行く人の多くはニヤニヤしているそうです。中には、修理後、隣のこのお好み屋さんへ来て、リールを取り出して、ニヤニヤしてハンドルを回しているお客さんも多いとか。子供のような表情の大人に、おもわず笑ってしまうそうです。
売ってしまうだけに特化した、メーカーやショップが今はほとんどですが、日本製、made in japan のフレーズを思い出させてくれる日本の技術を目の当たりにした1日でもありました。
傾きかけた大阪の夕日を、ニヤニヤして電車から眺めていたおっさんを見つめていた人もいたのではないでしょうか。まあ、こんな「鯉釣り」の1日もまた楽しからずやですね。