クーパー つれづれなるままに~
愛犬コーギー[クーパー]の短足な日々&美しい下野の四季。
たまに大洗とヲタク道w
 




小学生だった頃、この土手の中に坑道があった。
何のための物か知らんけど、戦時中からあったという噂。
掘られたいきさつはともかく
斜面にポッカリ口を開けた穴が子供の好奇心をそそらないわけがない。
立ち入り禁止だったわけだが、
聞くっちゃないガキめらのこと、
ある土曜の午後、洞窟探検をしようということになった。

マリオンと弟ルイジ、U君とH君とあと2~3人いたかな…
人気がないのを確認し、
さして躊躇するわけでも意を決するでもなく、
意外とすんなり懐中電灯で照らされた穴ぐらへと入った。

入り口からしばらくは子供がちょっとかがんで歩く程度の高さを歩く。
U君は当時最先端のハイテク機器カセットテープレコーダ(結構でかい)を持参。
なぜわざわざ洞窟に?!と当然全員が思ったろう。
まあ買ってもらった最新機器をみせびらかしたいのが一番の理由だろうが、
それでもルイジが好きだった「薔薇の鎖(西城秀樹)」を録音してきてくれ、
それを全員熱唱しながら、暗闇を進んだ。
闇の怖さは全員が持っていただろうが、
歌を唄うことでそれも紛れ全員の気持ちがひとつになっていたと思う。
U君結果オーライでした。

時間にしてせいぜい10分くらいだったろうか…
それでも関東特有の赤土にまみれ、
最後は這って通るほどの細さになった穴から眩しい外界に出た時、
冒険をなし得た者だけが共有できる達成感を持って皆は顔を見合わせた。

後にもう1度そこに入ろうという気はおこらなかった。
言い出す者もなかった。
正体のしれてしまった坑道に興味がなくなったのか
親や学校に従ったからなのかは分からない。
ただ皆の心に強く刻まれたあの日の探検だが、
二度目の試みでその輝きをなくすことを皆知っていたのだろう。

後に坑道は埋められ、
マリオンの子供達がたあいのない冒険を試みることもない。
いずれ遠い遠い昔話、クーパーにはちょっと遠回りの嬉しい散歩道。
クーパーの後ろの土手のあたりが出口付近です。

コメント ( 6 ) | Trackback ( 0 )