日々の愉しみ

週末は着物でお出かけがなによりのリフレッシュ。
着た着物、買ったものの記録です。

南部絞り

2007-03-22 | 着物あそび
ミワさんに教えていただいて、日本橋高島屋の「大いわて展」に行ってきました(ミワさんの記事はこちら)。
お目当ては南部紫根染めの「草紫堂」。
ちょっとノスタルジックな雰囲気漂うこの伝統工芸に随分前からとても惹かれていて、一度実物を見てみたいと思っていたのです。盛岡は遠いですが、あちらから来てくださってるんですからこんなチャンスを逃してはならん、と。

初めて見た南部絞り。
着物本の写真を見て私が思っていたより、はるかに上品で優しい染め物でした。
柄のパターンが様々で、さらに白地の具合や染料のにじみ具合によってはんなり明るいものからきりっとかっこいいものまで幅広く、また同じパターンのものでもまったく同じものは1枚としてないので、注意深く探せばどんな年代や好みの人でも必ずぴったりくる1枚が見つかりそうな気がします。
実は最初からの勝手なイメージで、正直自分で着る着物としてはどうかしら~、と思っていたのです。眺めるには素敵でも、いかにも山出しな雰囲気が持ち味の私には、あか抜けない民藝風で終始するのではないかと。
並べられた着尺を見ても、着物になったイメージが湧かずにぼうっとしばらく立って眺めていただけでした。
でも、肩にかけてもらうのって、立って上から眺めてるよりずっといろんなことが分かるものなんですねえ(←生意気そう)。
軽くて柔らかくて、少し懐かしい感じもして、リラックスして、なんだかすごく優し~い気持ちになりました。
う~ん、うまく説明できないのですが、単純な一言でいうならば、すっごくいい気持ち。
しかも「あなたならもしかしたら、ムラサキじゃなくてこちらかな」と、あててもらった茜染め、と~っても上品にあか抜けて映るじゃないですか(←ちょっと酔ってる私)。ああ、民藝調だなんて言っててゴメンナサイ・・・
ただ心が穏やかになってるせいか、いつもなら「これ、もうッ!今すぐ欲っしい!」と、もりもり暴力的なほどに沸き上がってくるはずのアドレナリンがまったく落ち着いておりまして。
こんなのは初めてでちょっと不思議なんだけど、心静かに「いつかは必ず手に入れるのだ」とひっそり心に誓って、いいもの見たぞという満足感と、穏やかで優しい気持ちに満ち満ちて帰ってきました。

着物をココロのよりどころとして1年半。
またまたとんでもないものと出会ってしまいました。
でも初めて見る染め物との出会いをこんなに嬉しく心地よく思えるなんて、着物大好きになっていてほんとによかった~。
ただ、おかげでまた新しい夢ができてしまいました。
どうせ最初から寄り道だらけの着物みちだし、今すぐ急がなくても南部染めは逃げない。
・・・といいうよりお願い、待ってて

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
茜染め (ミワ)
2007-03-24 07:14:48
りおさんには、紫根染めよりも茜染めが馴染みましたか!当てられたところを拝見したかったです。

>(←ちょっと酔ってる私)。
てところににやけてしまいましたが、きっと本当にお似合いの色だと想像しています

不思議なことに紫色は年齢が上の人の方が合いそうでしたよね。
着こなすのは難しそう、でもほっこり可愛らしくて、一度目にしてしまったら忘れがたい染めでした。

>いいもの見たぞという満足感と、穏やかで優しい気持ちに
>満ち満ちて帰ってきました。

りおさんと同じ気持ちです。上等なものの持つ落ち着いた魅力でした。今すぐ欲しい、ってきーっとなりませんでしたが、必ずまたうかがって、自分に合う柄を選びたい、そんな気持ちで帰宅したのでした。
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茜色もあるんですね~ (ちぃ)
2007-03-24 08:41:46
お江戸は次から次と日本中の物が寄ってきてくれて羨ましいかぎりです。

ちょっと前に、お昼のNHKの番組で紫根染めの工房での特集がありました。
年期の入ったこの道30年というおばあちゃん達が下絵の描かれた反物に一つづつ、絞りの糸をくるくるとまいて気の遠くなるような作業を数ヶ月かけて作っているとのことで、そういう地味な作業と落ち着いた紫根色の絶妙なバランスが独特の地味なようで迫力のある作品に仕上がるのではないでしょうか?(でへっ、ちょっと偉そうに語ってみました~

何度もチェックがはいって、染め上げて、広げた時におばあちゃんが「あ~綺麗に仕上がってるわ~」と嬉しそうにながめてる顔が印象的でした。絞りが一つでもできていなかったら、それは失敗ということになるんですもの、ほんと、すごいものですね~
長々と画面汚しになってしまってすいませんでした
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ありがとうございました (りお)
2007-03-25 12:25:12
ミワさん、ミワさんに教えていただかなかったら今回の展示会を知らずに終わるところでした。縁を作っていただいてありがとうございました。
紫根染めの紫は憧れですが、今の私には難しそう・・・。
確かにあの色は年齢を重ねてからの方が似合いますね、不思議。

>上等なものの持つ落ち着いた魅力でした。
ほんとに。
あれから数日たちますが、今でも思い出すと羽織らせてもらったときの穏やかな感覚がふわ~っと甦ってきます。
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番組、見たかったです (りお)
2007-03-25 12:25:36
ちぃさん、こんにちは。
田舎でのびのび育ちましたのでたまに息苦しくなることもあるのですが、居ながらにして日本や世界のものに接する機会に恵まれる点は幸せだと思います。

お昼の番組でやったんですか!うわあ、それ見たかったです、残念でした~。
こういった手の技を見せて頂く時は、事前に自分に出来うる限りのお勉強(たかが知れてますが)をしてからと思っているのですが、今回は急なこともあってまったくまっさらでした。
パンフレットも見せて頂いたしお話も色々お聞きしたんですが、事前の知識がないので「とにかく大変な手間のかかるもの」ということくらいしか分からなくて。作り手の声とか顔とか時間とか空気とか、そういう文字では表しきれないものが映像でちらりとでも見られるのは貴重ですよねえ。
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