めしやの敵 ぶらり嫌われひとり旅

めしやとかその他気が向けば。
おっさんが飯を食ったり旅に出たり業務スーパーで買い物したりするだけ。

フューチャー・マン プロトタイプ マンアフターマン

2015年08月22日 | 本と雑誌

今回紹介する本は、以前紹介したドゥーガル・ディクソン著のマンアフターマンのひな型ともいえる

「フューチャー・マン」です。 

5000万年後、地上は人類が殆どの哺乳類を絶滅に追いやってしまったため、

そのニッチを埋めるように鳥類が地上を闊歩している。

 

外敵がいなくなったため、飛行能力を捨て地上で生活するようになった鳥たち。

まるでかつての恐鳥類のように。

地上を蛇のように這う鳥も現れた。

ダチョウのように走行する鳥類。

足には蹄を生じている。

地中の虫を食料とする生物。

穴に頭を突っ込んで餌を探す。

草原の肉食動物。

これも草原の肉食動物。

残念ながらこの二種に関しては記事に説明はない。

 

そしてマンアフターマンでいうところの”チック”たちの遺伝子工学による培養された”健康”な器官が

実験の過程で廃棄され、それを食べた生物に人間の細胞や遺伝子が入り込み、奇妙な生物が誕生している。

 

本来なら生存が不可能なものが、たまたま不必要なはずの器官が生存に有利に働き、生き延びたものが

生存を続けている。

”余分”なはずの器官を持ったまま生存する生物。

 

 

そして地上にはところどころガラスのドームが存在する。

それはマンアフターマンでいうところの「リターナー=ジメッツ・スムートたちの子孫」たちのドーム。

長い年月を経て地球に帰還したものの、もはやよそ者となった彼らには地球は母なる星とは映らない。

こちらも残念ながら詳しい記述はない。

 

そして地球に生き残った人類とは・・・

 

地上に住めなくなった彼らは、樹上で暮らしている。

脳は現在の十倍の容積となり、もはや自身では脳を支えることができない。

脳とは逆に体は萎縮し、足は完全に麻痺している。

性器だけは現在と変わらない機能と大きさを維持している。

脳が巨大になった利点として、彼らは”超能力”を得た。

 

このような体では到底生存する事はできず、生まれた瞬間から健康な遺伝子のストックから培養された

”健康”な器官の詰まった生命維持装置に包まれ生活している。

花のような器官で太陽光をエネルギーに変え、食物となるこれも遺伝子工学によって作り出した

太陽光を自分たちの食物へと転換できるようにした”藻類”を湖で増殖させている。

発達した”超能力”で物質引き寄せ(アポーツ)で食物を手元まで引き寄せ、または

瞬間移動(テレーポーテーション)により自らを食物の場所まで移動させて食事をとる。

 

彼らの目には変わり果ててしまった地球はどう映るのだろうか。

 

マンアフターマンの基本コンセプトはこの記事によってある程度決まっていたようです。

この記事をさらに発展させて、遺伝子改造の果てに生み出された生物が歪な生物として進化して行く過程を

描き出したのがマンアフターマンという作品となったのでしょう。

この記事では超能力で誤魔化している詰めの甘い部分もありますが、マンアフターマンの

人類の行く末”チック”よりはこちらの人類の末裔の方がデザインが面白い。

こちらの方は文明は崩壊し、ただ生存しているだけのようではあるけれど。


学研ひみつシリーズ

2015年05月11日 | 本と雑誌

30代40代の人なら一度は手に取ってるはず学研ひみつシリーズです。

たまらんねえこの表紙。

図鑑から一歩踏み込んで漫画でストーリー展開するこのシリーズは昭和の子供には

なくてはならないものでした。

時代が時代なので恐竜の姿勢に誤りとかありますが、

擦り切れるほど読んだものですなあ。

「いる?いない?のひみつ」

が傑作。

宇宙人とか妖怪とかネッシーとかのトンデモ本ですが、当時は夢があったなあ。

宇宙人ってこんなのだぜ。

妖怪屋敷

しかし衝撃の事実が!!

全否定かよ

魔女

魔女は以外に科学的

今もシリーズは一部リニューアルして存在するようです。

昭和はよかったなあ。

ものも情報もなかったけど、夢だけはあった。


こうの史代

2015年05月11日 | 本と雑誌

たまにはまじめに本の話でもしようかと。

今回はこうの史代です。

自分はほぼ4コマ漫画しか読まないので、初見は「ぴっぴら帳」からですが、

独特の柔らかい線と、登場人物ののんきな言動が気に入り、お気に入り作家の一人になったのでした。

基本的に日常を描く作風ですが、とにかくのんきな人物を書かせたら右に出るものはいません。

「長い道」はろくでなしの浮気ものの所に、親の酒の席での約束で道さんという女性が嫁に来る。

派手女好きのろくでなしは最初は地味な道さんを気に入らず、適当に扱っていたろくでなしは

やがて道さんとの生活にほだされてゆく。

「さんさん録」は妻に先立たれた参平さんが、息子夫婦と同居することになり、妻の残した覚え書きを

手に主夫業に悪戦苦闘する話。

そして映画化された2作品、

夕凪の街 桜の国」「この世界の片隅に

「夕凪の街 桜の国」は広島原爆投下後の生活を綴った第一部、

第一部主人公の弟の世代を経てその子供たちの生活を綴った第二部の二部構成です。

被爆した第一部主人公が原爆症で亡くなるまでの苦しむさま、

 

ぜんたいこの街の人は不自然だ

誰もあのことを言わない

いまだにわけがわからないのだ

わかっているのは「死ねばいい」と誰かにおもわれたこと

思われたのに生き延びているということ

そしていちばん怖いのは

あれ以来

本当にそう思われても仕方のない

人間に自分がなってしまったことに

自分で時々気づいてしまうことだ

 

亡くなる寸前の

 

嬉しい?

十年たったけど

原爆を落とした人はわたしを見て

「やった!またひとり殺せた」

とちゃんと思うてくれとる?

ひどいなあ

てっきりわたしは死なずにすんだ人かと思ったのに

ああ 風・・・・

夕凪が終わったんかねえ

 

第二部主人公の回想

 

母からいつか聞いていたのかも知れない

けれどこんな風景をわたしは知っていた

生まれる前

そう

あの時わたしはふたりを見ていた

そして確かにこのふたりを選んで

生まれてこようと決めたのだ

 

と日常のなかで台詞が読む者の胸に切り込んできます。

 

「この世界の片隅に」は同じく広島での戦時下での生活から終戦までの生活を綴った作品です。

こちらは呉が舞台で原爆は軽く触れるだけですが、

終戦の詔勅を聞いた不発弾で右手を失った主人公の

 

飛び去ってゆく

この国から正義が飛び去ってゆく

ああ・・・

暴力で従えとったいう事か

じゃけえ暴力に屈するいう事かね

それがこの国の正体かね

うちも知らんまま死にたかったなあ・・・

 

と、ただの戦争記録とは一線を画する心理描写が秀逸です。

自分は主人公を嫁に、と訪れた青年を窓から覗き見して

山に登り祖母からもらった友禅を頭から纏い、海を見下ろして

困ったねえ

・・・いやなら断わりゃええ言われても

いやかどうかもわからん人じゃったねえ・・・

のくだりが好きです。

 

 

映画の方ですが、

見る価値は全くありません。

作品に感情を持ってない人が機械的に撮ってみました。売れるでしょ?

という出来です。

あまりの出来に「この世界の片隅に」は有志がアニメ化の運動をされています。

やはりこの絵でないと台詞が生きてきません。

正確に演出できればアニメ化された螢の墓よりはるかによい作品だと思いますよ。


マンアフターマン

2014年01月20日 | 本と雑誌

今回は本の紹介です。

※画像にかなり薄気味の悪いものが多く含まれますので、嫌な方は見ないでください。

 

スコットランド人の地質学者、古生物学者、サイエンス・ライター、ドゥーガル・ディクソン著の

「マンアフターマン」です。

人類絶滅後、生物がどう進化していったか、の架空の世界を綴った「アフターマン」
Man2_
6500万年前、恐竜の絶滅が無かった架空の世界を綴った「新恐竜」
Man3
そして、未来の人類がどう進化していくかを綴った本書、「マンアフターマン」
Man1

以上ディクソンの進化3部作となっています。

「鼻行類」「平行植物」と共に生物3大奇書と呼ばれています。

 

本著は人類の進化学と銘打たれていますが、本当にこれが進化なのだろうか、

というテーマが根底にあります。

確かに進化には違いないのですが・・・

そもそも本著は、人類が滅亡の危機を迎えたところから始まります。

 

~200年後~
001
シメッツ・スムート

人類は産業廃棄物による環境汚染と二酸化炭素の増加による温室効果により

上昇し続けていく温度、水位の上昇に地球を見限り、ジメッツ・スムートら

生物学的な条件ができる限り欠点がなく、間違いなく信用できる完全な人間を

宇宙への移民として送り出すことにした。

彼らの旅は徒労に終わるかもしれない。

また、辛うじて生存可能な星に辿り着けたとしても、その星の環境に適応するための

「生物的材料」として彼らは利用されることになるかもしれない。

一方荒廃した都市ではグリグラ・シュターンら生存者が食料を巡って

弱肉強食の世界を繰り広げている。

002
グリグラ・シュターン

ジメッツ・スムートら宇宙移民者を乗せるロケットを製造するのは・・・

003
水中人間

遺伝子工学により産み出された水中作業用の生物。海水からロケットの燃料となる

重水素を製造、また大陸棚で食料の生産もしている。

004
宇宙人間

軌道上でロケットの製造にあたる。こちらは遺伝子工学だけではまかなえない

真空に耐える皮膚、酸素ボンベの役割を果たす第三の肺、廃ガスを一時的に溜めておく

第四の肺等は外科手術によって後から付与される。

 

300年後
005_2
ハイテック

地球に残った人類の一部は、衰えていく器官の代わりとなるメカニカルな人工器官に

頼っていくことになる。

人工器官を人体に収めることはまだ不可能で、自ら「揺り籠」と称する機械の中で

生存している。

「脳が生きている限り生かし続けておく価値がある。」

とはいえ、生殖率はわずか10パーセントにまで低下している。

 

海中ではロケット製造の際に産み出された水中人間がまだ生存している。

 

500年後

人類は、ついに遺伝子工学による新しい生物を世界に放つことになる。

人間を素体として、遺伝子組み換えによって作り出された、現在の地球環境に

適応できるマン・アフターマン。

人類の遺伝子を後まで残すために作り出された、これら歪な生物の進化が以降描かれていく。

006_2
草原居住者

草食動物のように草を食べて生きていく様設計された生物。両掌の縁は軟骨によるエッジと

なっており、草を刈り取れる。胃には人間には消化できない、草に多く含まれるセルロースを

分解するバクテリアを共生させている。

007
熱帯の森林居住者

熱帯雨林の樹上生活に適応させた生物。熱帯雨林は食物が年中通して豊富にあるため、

彼らには食物を採るため木に登る知能だけが必要とされる。そのため、知能は低く

設計された。

009
温帯の森林居住者

温帯は熱帯雨林ほど食物が豊富でないため、樹上でも地上でも食物を探して活動できるよう

設計されている。とはいえ、他の種ほど特殊化が少なく、最も適応しやすい生物である。

ツンドラ地帯では寒冷地に適応させたツンドラ居住者たちが生息している。

また、海中では、水中人間の第二世代目が作り出され、子孫を残すことに成功している。

008
フィフィ・フィロリア

弱肉強食の世界を生き抜いた人間の子孫たちは、農耕と狩猟、採集による生活をしている。

ハイテックたちには見捨てられているが、現在人口は生存者が食料をまかなえるレベルで

落ち着いている。

 

1000年後
010
チック

ハイテックたちは遂に機械で代用するのではなく、完全に人工的に作り出した器官を

移植して生存することに成功する。

ただし、ひとつの器官はひとつの役割しかできない。

「指」は触覚のみを担い、物を持ち上げたり作業するのは「腕」の役割だ。

人工器官をどのように装着するかにも流行がある。

 

この時代から地磁気の消失~反転により、環境の大異変が始まる。

潮の流れも風の流れも変わり、エネルギー生産、農作物、生物の生態にも悪影響を

及ぼし、ここまで生き延びていたフィフィ・フィロリアの子孫たち、

テクノロジーに頼って生きていたチックたち、つまりホモ・サピエンス・サピエンスは絶滅する。

後には遺伝子工学で作り出された新しい人類たちが生きていくこととなる。

 

2000年後
011
ツンドラ居住者

寒冷地に適応させられた生物。苔や地衣類、ヒースを食料とする。

動きは鈍く、移動の際には弱いもの、幼いもの、年配者が捕食者の餌食となる。

012
水中人間

遺伝子工学の成果を最初に子孫に残すことに成功した水中人間は、海で繁栄している。

寒冷化していく地上に比べ、水中は気温の変化も穏やかで、食料は豊富にある。

 

5000年後

さらに地球は寒冷化していく。造られた生物たちは冬眠をすることによって生き延びるもの、

かつての人間としての記憶を甦らせ、火を起こすもの、道具を作り出すものが現れた。

 

1万年後
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共生者たち(ハンターとキャリアー)

ツンドラ居住者たちと温帯の森林居住者たちは、氷河期を生き延びるために共生を始めた。

ハンターたちは自分たちとキャリアーの食料を得、キャリアーはハンターを運搬し

寒さからも守る。

 

5万年後

氷河期は終わりを告げ、また環境の変化が始まる。4万年ころまでは気候が安定し、

食料も十分に得られたが、やがて乾燥していく。砂漠が広がりだし、氷河期とはまた違った

環境の厳しさが生物たちに襲い掛かる。

砂漠は広がり、草原居住者たちは地下茎や芋を求めて地面を掘り返す。

草を求めて放浪していた生活を水のあるオアシスに定住する生活へと変え、

群れはより組織化されていく。

015
水中人間

水中人間たちは地上の環境の変化にもあまり影響を受けることなく、繁栄し続けている。

むしろ氷河期の終わりにより、人口が増えすぎて食料が不足する事態となっている。

 

50万年後
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ソシアル(社会性人間)

組織化された草原居住者たちは、蟻や蜂と同様の群れを作り生活している。

一匹の雌だけが繁殖し、他の雌はその世話係、若い雄は食料を集め、

大人の雄は群れを守る戦士とハンターを兼ねる。

他の群れを襲い、生息範囲を広げる場合もある。

017
水中人間

水中人間たちは食糧不足により、地上にまで食料集めの範囲を広げる羽目となった。

丈夫なゲルを作り出し、海水ごと自らを地上へと運ぶのだ。

異質な生物の台頭は、もともと生息している生物との衝突を生む。

 

100万年後
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ハンターとキャリアー
019
水中人間

水中人間たちはさらに自分を包むゲルを進化させ、泡状ではなくスーツのように

体にフィットしたものを纏って地上へと食料を漁りに出かける。

本来の居住者たちとの衝突はさらに激化している。

 

200万年後
020
ハイバーとシーカー

ソシアルたちはさらに組織化され、ハイバー(群れて棲むもの)となる。

水と食料を得るための目的のために全てのものの個性は消滅させられ、

シロアリの塚にも似た棲家を造るまでに至った。

ハイバーの運搬者に抱かれているのはシーカー。

テレパシー等の超能力により水や食料を探す能力を備えている。

シーカーに導かれてハイバーたちは今日も水と食料探しに出発する。

021
ホストとパラサイト

共生者たちとは違い、寄生生活に進化したもの達。

ツンドラ居住者たちは氷河期の終わり共に体毛を失い、寒さに耐えるために

過剰に生産される脂肪や血を寄生者たちは利用する。

パラサイトはホストのために食料を得ることもあるようだ。

 

300万年後
022
魚食人間

魚を捕らえて生活することに特化したもの

023
熱帯の森林居住者

熱帯は食料が豊富にあったため、熱帯の森林居住者たちはほとんど変化していない。

ナマケモノ同様の生活をしている。

024
アントマン

アリクイ同様蟻を食べて生活することに特化した人間。捕食者たちから身を守るために

蟻由来の毒を持つ。

025
砂漠のランナー

砂漠生活に特化したもの。

027
スロースマン

ツンドラ居住者たちのうち、温帯に適応したもの。

食料が豊富にあり、敵がいないため、動きはとても鈍く、更新世のオオナマケモノと

同様の生活を送っている。

だがそんな彼らを狩る生物が現れだした。

026
スパイクマン

大型化したスロースマンを狩るため、門歯が大きく発達したスパイクマン。

体重が重く、機敏には動けないが、自分たちより鈍い動きの生物を狩るため、

ハンターとしては問題ない。

 

500万年後
030
帰還者(ジメッツ・スムートたちの子孫)

500万年の時を超え、人類は地球に帰ってきた。

しかし彼らはもう地球の人間ではない。

自らの故郷である星を忘れ、帰還ではなく、旅の途中で有用な資源を求めるために

地球を見つけ、立ち寄ったに過ぎない。

大気の組成を変え、資源を採り尽くし、かれらはどこに向かうのだろうか。

もはや地球の環境に適応できないため、大気圧を調整するスーツを纏い、

移動は温帯の森林居住者から遺伝子操作によって作り出した生物に乗って行う。

028
遺伝子操作されたパックつき人間

遺伝子操作により作り出された作業用の人間。

帰還者たちはテレパシーによって使役している。

029
食糧生産人間

パラサイトのホストたちから作り出されたもの。

科学的栄養を与えられ、成長した肉を帰還者達は利用している。

 

その後、資源を採り尽くした帰還者たちは、再び地球を離れ旅に出る。

残された、本来の環境から改造され尽くした地球は、長い長い年月の後

やがて火山活動により本来の大気を取り戻し再生を始める。

 

深い海の底には、深海に適応した水中人間が生き残っている。

目は退化し、熱を感知する器官を発達させた彼らは、地球の環境が回復した後、

再び地上にでて進化していくのかもしれない、もし進化できるのであれば・・・

というところでこの本は終わっています。

 

内容的にはトンデモ本ですが、非常に興味深く考えさせられる本です。

これを20年前に出版していたのは先見の明でしょうか。

ちなみに「アフターマン」、「新恐竜」は再販されましたが、

このマンアフターマンは人体改造とかの内容のため再販は不可能のようです。

2~3万のプレミアが付いています。

 

マンアフターマンのプロトタイプアップしました。