今回紹介する本は、以前紹介したドゥーガル・ディクソン著のマンアフターマンのひな型ともいえる
「フューチャー・マン」です。
5000万年後、地上は人類が殆どの哺乳類を絶滅に追いやってしまったため、
そのニッチを埋めるように鳥類が地上を闊歩している。
外敵がいなくなったため、飛行能力を捨て地上で生活するようになった鳥たち。
まるでかつての恐鳥類のように。
地上を蛇のように這う鳥も現れた。
ダチョウのように走行する鳥類。
足には蹄を生じている。
地中の虫を食料とする生物。
穴に頭を突っ込んで餌を探す。
草原の肉食動物。
これも草原の肉食動物。
残念ながらこの二種に関しては記事に説明はない。
そしてマンアフターマンでいうところの”チック”たちの遺伝子工学による培養された”健康”な器官が
実験の過程で廃棄され、それを食べた生物に人間の細胞や遺伝子が入り込み、奇妙な生物が誕生している。
本来なら生存が不可能なものが、たまたま不必要なはずの器官が生存に有利に働き、生き延びたものが
生存を続けている。
”余分”なはずの器官を持ったまま生存する生物。
そして地上にはところどころガラスのドームが存在する。
それはマンアフターマンでいうところの「リターナー=ジメッツ・スムートたちの子孫」たちのドーム。
長い年月を経て地球に帰還したものの、もはやよそ者となった彼らには地球は母なる星とは映らない。
こちらも残念ながら詳しい記述はない。
そして地球に生き残った人類とは・・・
地上に住めなくなった彼らは、樹上で暮らしている。
脳は現在の十倍の容積となり、もはや自身では脳を支えることができない。
脳とは逆に体は萎縮し、足は完全に麻痺している。
性器だけは現在と変わらない機能と大きさを維持している。
脳が巨大になった利点として、彼らは”超能力”を得た。
このような体では到底生存する事はできず、生まれた瞬間から健康な遺伝子のストックから培養された
”健康”な器官の詰まった生命維持装置に包まれ生活している。
花のような器官で太陽光をエネルギーに変え、食物となるこれも遺伝子工学によって作り出した
太陽光を自分たちの食物へと転換できるようにした”藻類”を湖で増殖させている。
発達した”超能力”で物質引き寄せ(アポーツ)で食物を手元まで引き寄せ、または
瞬間移動(テレーポーテーション)により自らを食物の場所まで移動させて食事をとる。
彼らの目には変わり果ててしまった地球はどう映るのだろうか。
マンアフターマンの基本コンセプトはこの記事によってある程度決まっていたようです。
この記事をさらに発展させて、遺伝子改造の果てに生み出された生物が歪な生物として進化して行く過程を
描き出したのがマンアフターマンという作品となったのでしょう。
この記事では超能力で誤魔化している詰めの甘い部分もありますが、マンアフターマンの
人類の行く末”チック”よりはこちらの人類の末裔の方がデザインが面白い。
こちらの方は文明は崩壊し、ただ生存しているだけのようではあるけれど。