井沢満ブログ

後進に伝えたい技術論もないわけではなく、「井沢満の脚本講座」をたまに、後はのんびりよしなしごとを綴って行きます。

劇場と映画館で残りの人生を過ごします

2016年10月16日 | 日記

昨夜は、また知人がカウンターに臨時で入っているゴールデン街の
酒場に行きました。

映画を見がてら、私の署名本が欲しいという酒場の奇特な
お客さん3人がいらしたので、預けに行ったのです。

「わが家」の小説版ですが、作品の中に出てくるゴールデン街の
将棋指しが集まる酒場、とはこの店のことです。
将棋だから一歩は「いちふ」ですが、向井理さん演じる役名の
一歩は「いっぽ」です。

平成元年度の朝のテレビ小説「青春家族」を書いた時、所ジョージさんの
やった役につけた名前なのですが、気に入っているのでこれまで
計三度使っています。
「夏休みのサンタさん」というドラマにも、一歩は登場します。

酒場に本を届けて向かったのは東宝シネマ新宿です。妻夫木聡さんと綾野剛さんが、濃厚なキスシーンを演じるということで話題になっていた、「怒り」という映画を観てきました。

妻夫木聡さんと、宮崎あおいさんの演技に凄みがありました。天才ですね。
綾野剛さんは、見せ場のこれといってない淡々とした演技で
一番難しいのですが、よくやっていたと思います。

映画自体はDVDで見てもよかったかなぁ、という感想ですが、
物語の構造が勉強になりました。

実際の殺人事件の犯人をモチーフにしているのですが、
沖縄、千葉、東京と物語は3つの舞台に分けられていて、
そこに出てくる人物の一人ひとりが、犯人かもしれない・・・・
と観客には思わせながら、3つの物語が同時進行して行って、
最後に犯人が分かったところで、物語のテーマ
「人を信じることの困難さ」が浮かび上がってくるという趣向です。

救いがないという意見を見ましたが、そんなことはありません。
ちゃんとラストに沖縄編で、救いの用意はあります。

私はDVDで見れば十分、という意見ですがただ、賞はひょっとしたら
獲るかなあ、とは思います。とりわけ海外では、受けがいいかもしれません。

残りの人生は映画館と劇場でほぼ費やそうと思い始めています。
そして、あとは書くことに時間を使います。
余った時間で、政治を学びわずかながら関わろうか、というのが
あらましの、プランです。


3 コメント

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こんばんは (総太郎)
2016-10-16 18:57:51
先生、皆様方、こんばんは。

ふぐ料理店の際は、夕暮れ時の時間でしょうか?
お着物が、丁度背景に馴染んでらっしこえゃるようで、ダンディな感じです(^^)

小生も「怒り」を鑑賞させて頂きましたが、先生の御意見に賛同致します。
個人的には、劇場での鑑賞をお薦めしても良いかな・・、と先生以上に高評価をサービスしたい気持ちでしょうか(笑)

キャストの方々の魅力・見所は先生の御意見に尽きますが、綾野剛さんは演技派だな!と感心しております。
先日も北海道警察の腐敗をテーマにした実録作品「日本で一番悪い奴」に主演されていましたが、こちらも素晴らしい演技で、役柄に自身を近づける事が出来るタイプの方ですね。
宮崎あおいさんも、天真爛漫な中に心を病んだ役柄を上手く表現されていたと思いました。

渡辺謙さん、松山ケンイチさん、妻夫木さんら、それぞれ適所適材でしたが、時折、構成が分かりにくい感じもあったような・・。

「青春家族」の所ジョージさん、確かに役名が一歩だったな!と懐かしく思い出しております。

「夜明け前」始め、先生の作品、改めてじっくり
見直してみたいものばかりです!

差し障りのない範囲で、先生のような一流のプロから御覧になった御感想をこれからも楽しみにしております。
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総太郎さん (井沢満)
2016-10-16 21:18:19
賞は獲る可能性がある、という私の評価なので
DVDでもいいかな・・・・は好き嫌い範疇でしか
ありません。
嫌いというほどではないのですが。
長すぎるなあ、と感じた部分がおそらくマイナス評価になっているのかもしれません。
かといって、どこを切ればいいか・・・と思うと、さして切る箇所もないのですよね。

他の評価も気になったので、ちらちらネットでその後、チラチラ見て見たのですが、嫌いな人は全く受け付けていませんね。
最高傑作として推す人、全く受け付けない人と2つに別れる作品のようが気がしていて、しかしそれが作品自体の評価を下げるわけでもありません。

私の場合は作品の質は認めながら、無条件に飛びつくレベルではない、好き嫌いの部分で、という感じです。


評を見ている間に、映画製作の逸話を拾いましたが、演じるに当たって、綾野剛さんと妻夫木聡さんが現場でも手を繋いだり、キスしたりしていたとか、家でも一緒に入浴たり、同じベッドに寝ていたとか書いてあって、さすがに宣伝用のフェイクだよなぁとは思いつつ、この2人だったらやりかねないかも、と一抹よぎるのがこの役者たちの凄みでしょう。

ちょっと芝居ができるくらいで俳優にはなれず、生まれつき俳優は俳優として生まれるのだと、優秀な俳優を見るたびその思いを深くします。

楢山節考のために、歯を全部抜いたのが往年の大女優、田中絹代さんでした。

ベッドシーンのある脚本をもらって、胸を整形しようかと悩んだ、と三田佳子さんが桃井かおりさんに話しているのを隣で、びっくりしながら聞いていたことがあります。
結局なさらなかったようですが、いい役者は1つの作品のためには、生命を削れます。
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先生、ありがとうございます。 (総太郎)
2016-10-16 23:22:05
先生、貴重なお話ありがとうございます。

やはり、三田さん、桃井さん、凄いですね(^_^;)

田中絹代さんは伝説的ですよね! 
同作品共演者の高橋貞二さんが、若くして事故死されなければ、どのような御活躍をされたか?松竹ファンとして思いを馳せます。(佐田啓二さんもですが)

今村昌平監督リメイク版の坂本スミ子さんも、かなり御苦労・努力なさったと伺いましたし、
男優陣でも、
三國連太郎さん、松田優作さんも役柄で抜歯される執念でしたし、以前、川津祐介さんがダイエット本を出版されたのも、役造りの凄まじい体重コントロールの経験が原点だった記憶。
やはりベテラン・一流の方々は違います!

話が飛躍致しますが、例えば、近衛十四郎さんや若山富三郎さんの殺陣の技術や、
山村聰さんや森雅之さん、滝沢修さんらの重厚な存在感等、
平成のスターの方々には不可能では・・と思われてなりません。

綾野さん、妻夫木さんらが歳を重ねられるごとに良い雰囲気を出される事を願ってやみません。
そして、井沢先生と御一緒にお仕事をなさる機会も(^_^)
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