井沢満ブログ

後進に伝えたい技術論もないわけではなく、「井沢満の脚本講座」をたまに、後はのんびりよしなしごとを綴って行きます。

母を憎むあなたへ 2

2016年04月24日 | 親子関係からくるトラウマ

非公開指定でコメントを読ませて頂き、お返事を書いたのですが、狭いコメント欄に
書き込むには長文過ぎて、こちらでお返事させて頂くことに致しました。
コメ欄の気安さで、さして推敲もしない打ちっぱなしの雑な文章で
あること、予めお詫びしておきます。

 

04-23 23:02:24 非公開の方へ

 

中絶をしたかったのに、ということですね。お母さんの発言。

中絶したかったのに出来なかったから、しょうがなくあなたを産んだ。

 

これは相当に人な発言です。(お母さんサイドで考えればその感情を全く理解できないこともないのですが、決して、まして子供に言ってはならない言葉があります)

中絶といえば、言葉のニュアンスがまだしも柔らかくなりますが、
行為としての実質は「あなたを殺したかったのに、時機を過ぎてて
殺せなかったのよ」という意味です。

胎内にあるか外にあるかだけの違いであり、生命であることに
変わりはありません。

世の中には中絶せざるを得ない、強姦などの状況もありますが
あなたのお母さんの場合は、妊娠してはいけない体での、
単なる不注意妊娠です。少なくとも2度めは。
自分と相手(お父さん)の婚前交渉時の
2人の共同不始末を、罪もない娘にぶつけるんじゃありませんよ、
とあなたのご両親には言って差し上げたいのです。
今でもいいから、せめて御ふたりとも床に手をついて
謝りなさい、と。それだけ酷いことをあなたのご両親は
あなたに対してしたのです。

 

お母さんは成熟した大人としては、常識を逸脱していらっしゃる発言です。ひょっとしたら、自らを苦しめたあなたにそういう形で(無意識の)復讐をしたような気もします。それはそれで人として最低です。

 

あなたは十分にお母さんに対して怒る資格があります。あなたには、いっさい非はありません。

 

お父さんも最低です。大体、避妊をせず2度も望まぬ、してはならぬ妊娠をさせた自分は何なのか。叩くなら自分を叩きなさい。

 

・・・・・と、人様の親をそしるようなことを敢えて申し上げました。どんな親でもあなたにとっては親なのですから、申し訳ありません。ただ状況を正確に掴んで欲しかったのです。自らを許すために。

胎内にあるときから、幼児期・・・・と口には出さずとも否定的な思念を浴びせかけられ続けてきた子は「自分が悪い」と思い込みます。毎日その思念を
刷り込まれ成長します。

 

優しい普通の人達の心にも、時と場合によって、悪魔は棲みます。

 

親戚の人たちも悪魔です。

悪気はなく、ただその発言が子供にどういう心理的負担を与えるのか無知なのです。他は善良な人たちなのでしょう。

それに、ひょっとしたら親戚には美談として伝わっているのかもしれません。命をかけてあなたを産んだ、とあたかもそれが親としての愛情だったのだと。実は婚前の、欲望に流された挙句の避妊無しの衝動性交、堕ろしたかったのに、時機を逸していた、という事実は伝えられてないのかもしれません。
もしそうなら自己正当化しつつ、あなたを悪者にしていますね。

あるいは、人としての良心とエゴとの間で揺れ動いているうちに、時機を逃したのかもしれません。

 

後者ならまだ救いがありますが、ただいずれにしても、子供には絶対言ってはいけない事。

 

妊娠してはならないのに、お父さんもお母さんもその場の欲望に流されて、あなたが出来たわけでしょう?自分たちの責任ではないですか。それも、避妊抜きの欲望発散で、2度までも。それを棚に上げ、娘に手を挙げるとはゲスですよ。

 

・・・・・と敢えてまた言ってます。あなたに自分自身を開放して頂きたいので。

 

心因性に関する適切な本があるかどうか知りません。

探せばあると思いますが。

あるいは、心のケアに読む本ですか? それなら親による虐待、とりわけ母親が娘へのそれを綴った本が出ていると思います。それらの人たちと体験を共有することもいいでしょう。

 

おそらくあなたはこれまで、お母さんがよもや自分を言葉の暴力で虐待していたのだ、という自覚がなかったのではないでしょうか。悪いだけの思い出でもなく、楽しい思い出もくださったのでしょうし・

お父さんもお母さんに加担しての、児童虐待だと私は思います。恥を知れと申し上げたい。

男親としては最低です。本来娘を守るべき立場にありながら、手を上げるとは。

 

・・・・・とこれも、ご両親に対してあなたの憎しみをかき立てるために、申し上げているわけではありません。

あなたは、いっさい悪くありません。とそれを、お伝えするのが目的です。
お父さんとも、たぶん悪い思い出ばかりではないでしょう。

 

自分でさほど自分を責めている自覚はあるいはないかもしれませんが、胎内から幼少期にかけて浴びせかけられた悪しき感情を、鋭敏な感性の時の子供はしっかり受け止め、自分が悪かったのだと思い込んでいます。いまだあなたの「内なる子」は、そうやって自分を責め続けています。表面意識ではそうでなくても(怒っていても)、潜在意識下では自らを責め続けています。その潜在意識を自覚することが、解放への第一歩かと思われます。

 

自我がまだ確立していない時期の子供は、120%親をかばうのです。
どんなに叩かれても、お母さんは悪くない、ぼくがいけないんだ、と
言います。

 

末尾に、あなたの現在のご病気が親や親戚からの言葉の(無意識)虐待による心因性に由来するものかどうか、私には解りません。

ただ、心にある傷を客観的に見て、自分を解放してあげることは、今とても大事なことでしょう。

 

どうぞ、自分を可愛がってあげてください。

以前書いた朝ドラで、加藤治子さんに母親を、いしだあゆみさんに
娘役をやって頂いたことがあるのですが、その中の母親のセリフ、

「親に捨てられた子は、自分で自分を育てりゃいいいのよ」

なぜお母さん、私を育ててくれなかったの、という娘の
セリフがその前にあったのかもしれません。その記憶はないのですが、
このセリフだけは、いしださんが「ドキッとした」と言ってくださったこともあり、
覚えています。

 

 

母を憎むあなたへ 1 はこちらです。

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