井沢満ブログ

後進に伝えたい技術論もないわけではなく、「井沢満の脚本講座」をたまに、後はのんびりよしなしごとを綴って行きます。

「やけぶう」

2014年06月30日 | 日記

随分長いこと、爪は甘皮処理含めて、やすりでプロに手入れしてもらうか、
自分でやっていたのだが、億劫になって爪切りを買いに出かけた。
人形町に江戸時代からの刃物の専門店があり「やけぶう」と、
看板が出ているが、右から読むので「うぶけや」である。たぶん
「産毛屋」であろう。

小体の店の外壁はコンクリートになっているが、正面入口の
引き戸も壁も、風雨と歳月に洗われた昔の木を残して
使っている。

私は爪が弱く柔らかいので、店の人に相談して小型を求めた。
ついでに、仕上げ用のやすりを。

包んでもらう間に店内を見回したら、巨大な裁ちばさみがある。
「何に使うんですか?」と訊いたら「昔は裁断機がありませんでしたので」
という答え。なるほど。
カツオの削り器が5万円なにがし・・・・・なのは、使っている木が上物なのか、
刃が格別なのか。

こちらの店の刃物の切れ味には定評がある。
今まで刃物というとゾーリンゲンしか思い浮かばなかったが
最近は和物に回帰して来た。
取っ手の丸い和鋏は着物のしつけ糸を切るにも、具合よく出来ていることに
感心する。

果物ナイフが小さな和包丁になっていて、ふと欲しかったが
果物は微弱な酸味も苦手で滅多に食べず、皮をむくものは余計食べない。
この季節ではサクランボか、スイカである。
サクランボといえば、みつはしちかこさんの「小さな恋人たち」の
ちっちとサリーである。みつはしさんがちっちに託して、さくらんぼの
ポエムをよく書かれている。

みつはしさんの絵入りのポエムの中のさくらんぼは、ほの赤い宝石だ。

書店に行くと数年置きに平積みになっていて、買っていた。
最近はもっぱらネット買いで、書店に行かないので見かけなくなった。
みつはしさんは、まだお描きになっていらっしゃるだろうか。

「なんで、若い子の言葉が書けるんですか?」と訊いてきたのは、
村川絵梨ちゃんである。最近は、読まなくなったが少女漫画を
昔はよく読んでいた。中学生のラブストーリーに感応しなくなったら
脚本屋は店仕舞いだ、と覚悟しながら。ずっと、ついて行けていた。
今でもたぶん、大丈夫だと思う。
と言ったら、絵梨ちゃんは目を丸くしていた。

四歳から九十歳までの男女の言葉を使い分けられるのが
第一歩。三十代で老人のせりふを、ということは心理を
書いていたので、その部分は特殊能力であるかもしれない。

さて、爪を切ろう。


1 コメント

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やけぶう(^-^) (鈴木)
2014-07-01 02:55:14
はじめまして。
メンテナンスをしていただきながら
30年程あれやこれやと愛用しております。
ガラガラと引き戸を開ける瞬間は背筋が伸びます。
日本の技術と職人魂は素晴らしいですね。
毛抜きも最高ですよ。