いささか弱っていましたがようやく立ち直り、清々しくいます。
身体の快適さにかまけ、原稿のほうはのんべんだらりと
先延ばししていますが・・・・・。
心身の蘇りと呼応するように大浴場の
脱衣所(私一人でしたが)の床に、かなり大きめで光も強い
金粉が二粒、きらり。
どういうものか、このホテルで現れるときは人の
絶えたときの、大浴場の床なのです。
ローマでは、あれだけの歓声に包まれ迎えて頂いたのに
金粉なし。
少々、ぶーたれすぎたかもしれません。
代赭色(たいしゃいろ)の建物と石畳が、もはやなつかしく。
イタリアの人たちになんと、大きな熱い愛を私は頂いたことかと、
今頃実感と共に噛み締めています。
代赭色という色彩名は三島由紀夫の小説「獣の戯れ」で憶えました。
JISの色彩規格では「くすんだ黄赤」ということですが、私はローマの建物群から受ける印象「赤みがかったベージュ」と捉えています。
「獣の戯れ」の舞台である西伊豆の地を小説を読んで遥か後に
ドラマの撮影で訪れたのですが、三島由紀夫の筆で描かれた
西伊豆はやはり、三島世界の中にしかない美しい幻なのでした。
なので・・・・三島描く女性も、下手にモデル探しなど
するものではないのでしょう。読者のそれぞれが脳裏に結ぶ
美人の面影をたぐりつつ、小説は読むほうがよさそうな。
誤変換、他後ほど。