映画:人生に乾杯

2010年02月09日 | 映画・本
まずは、前置き…

こやぶん 昨年夏より腰を痛めまして―
挙句に腰椎椎間板ヘルニアを患い、長時間座り続ける事が難しく映画館で映画を観てませんでした。
 
また ちょいと仕事が立て込んでいた事もあり、半年以上も映画も ご無沙汰…  

なので 映画館で映画を観ていなかったので、blogに更新せずにおりました。
(DVDで観た作品はありますが、こやぶん的考えで映画館で観た作品を紹介しようと思うので)


では…


人生に乾杯 2007年 ハンガリー



監督:ガーボル・ロホニ  出演:エミル・ケレシュ、テリ・フェルディ 、ユディト・シェル


ハンガリーで年金暮らしの老夫婦が拳銃強盗をして逃走し続けるあらすじなのですが、
これが 実に明るく、ユーモラスに、ゆっくりした展開で描かれています。

米寿の偏屈で腰痛持ちの夫と糖尿病を患いインシュリン注射が手放せない妻の関係は、
お互いの体を気遣う習慣が残ってる… 冷めきってしまったおふたり。

夫婦が抱える一番の問題は、国からの年金だけでは生活が出来ない事(他国の事は云えないけど)
家賃を支払う事さえ難しく、借金取りに追われる毎日を過ごしています。

ハンガリーで製作された作品だから当たり前な話だけど、
国内事情を…なぜ老人が貧困に喘いでいるかの描写が皆無なので、日本人的視点で見ると?。
こやぶん想像するに、新自由主義の行きすぎと小さな政府の推進で、
物価上昇に年金支給額の仏不釣り合いが発生し、高齢者層の貧困が旧社会主義圏の国々では
極めて深刻な人権問題になってるそうです(新聞で読んだ)
しかも 日本同様に、ハンガリーは自殺率の高さが世界トップクラスらしい…

厳しい現実の側面も巧い具合に皮肉たっぷりに滑稽に描いてる、
まるで川柳のうがちさ… 人情の機微などを巧みに指摘してみせてて 面白い。


話が急変するのは、妻が大事にしていたダイヤを借金のカタにとられた事を発端に、
腰痛持ちも夫が一念発起― 銀行強盗になり、妻と逃避行(?)をはじめる展開へ続きます。

非常にゆる~い雰囲気、緊張感0の銀行強盗に、温泉旅行を楽しむごとく、のんびりした逃亡劇。
   (途中 テンポが崩れそうになるけれど、なんとか立ち直るので… 最後まで飽きずに観れます)


まったく 現実味がないおとぎ話的展開で結末となるわけですが―  

この作品の主人公の老人を通し、
往年の社会主義時代へのノスタルジーと肯定的かつ否定的な視点で作品を描いています。
    日本の置き換えるならば、高度成長期における昭和の時代への懐かしさ事でしょうか?
普通に働いていれば― 「ゆりかごから墓場」まで面倒みてくれた国家が様変わりし、
自分自身で生活を守らなくてならない現在に、若き日に体験したであろうハンガリー動乱のごとく、
反骨精神が芽生えたのではないでしょうか?
また 社会主義国家のままで幸せだったのかと考えると… 
逃避行時に描かれた自由はベルリンの壁が崩壊したからこそ享受できたこと。

不思議なぐらい、教訓や処世訓・風刺などを老人に託して語る寓話にした手腕は、お見事です。


こやぶん評価(DVDで観ても 面白さは伝わります)

 ※ おまけ「人生に乾杯」を観て思い出した作品―  Waking Ned(オススメよ)



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