たかたかのトレッキング

駆け足登山は卒業、これからは一日で登れる山を二日かけ自然と語らいながら自由気ままに登りたい。

(2)川乗山 百尋の滝 (思い出に残る山)

2021年12月09日 | 心に残る思い出の山

続き

やがて沢から離れ本格的な登山道に入る所で橋の架け替え工事をしていた為、小さな標識を見落としそのまま沢を直進してしまった。直ぐに雄さんがオカシイと気付き本道に戻ったが、もう少し間違ったまま100m進んでいたら百尋の滝直下に出られたのかもしれない。

登山道は沢から離れると、いきなり胸突きの急登となり、やがて水音が高まって百尋の滝の滝見台に出た。以前は滝まで降りられたらしいが数年前の崖崩れ以来、有刺鉄線が張り巡らされ降りられない様になっている。

百尋の滝

樹間からの滝見では有ったが時期が幸いして取り敢えず全容を見る事が出来た

(因みに一尋は両手を広げた長さを言う)

道が再び沢に沿った。標高が上がったせいか所々沢の水が凍っている。周辺は自然林にスッポリ包まれているので小鳥の声が賑やかだ。けたたましい声、澄んだ声、可愛らしい声とまるでオーケストラである。

この頃から寝不足が応えたか休憩が頻繁になって来た。先に行った雄さんを追って九十九折れを繰り返し漸く小屋に着いた。荒れていると言うより汚らしい小屋である。

通り過ぎようとしたところ中でガサゴソ、有難いかな焚火をして待っていてくれたのだ。食事の場所としては最適とは言えないが取り敢えずお腹を満たし冷えた体を暖める。 ジッと火を見つめていると不思議と心が落ち着いてくる。❝山頂なんか行かないで、このままズッとこうしていても楽しいかも❞・・・と言う訳にもいかず空身で山頂へ。

すぐ上に標識は見えていたが一度休んだ後の登りは足が重く辛い。何処からかキツツキのドラミングが聞こえて来た。

スッキリとした佇まいの山頂には二組の夫婦が休んでいた。小田原から来たご夫婦は群馬出身、息子さんは群馬で山岳ガイドをしている等々話がはずみ裸木に囲まれた寒々しい山頂が急に明るくなった気がした。

展望図を見ると正面に遠望される滝子山のその上に本来ならば富士山が有るはずだが今日はその姿は無く特徴のない山岳風景だった。それでも目を右に転じていく先に懐かしい雲取山が望めた事は嬉しかった。

当初、往路を戻る予定でいた私達は小田原のご夫婦の薦めで足毛岩方面に変更、主人が小屋迄ザックを取りに行っている間も話は尽きず別れ際になって奥さんは「なかなか離れられなくて困ったわね」と言い私達が登って来た小屋方向に下って行った。

山頂からは先ずつんのめる様な急下降から始まる。何分も歩かない内に後方を振り向けば川乗山の山頂は見上げる程の高さだ。先に足毛岩が見られると言う事で楽しみにしていたのだが全く分からないまま分岐迄来てしまった。

行き交う登山者も居ない道を下って沢に降り立つと右方に落差15mは有ろうか、滝が落ちている。二段になっており下段は一気に滝壺に落ちているので中々見栄えのする滝である。

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往路と合流し百尋の滝近くまでやって来た時、左足薬指の裏側に針で刺したような痛みが走った。雄さんが包帯を巻き固定してくれ痛みは治まったが今度は締め付けられる痛み、それを訴えたら「わがまま」と叱られた( ;∀;) 

登る時には気付かなかった遭難碑に供えられていた枯花があまりに哀れだったので側に咲いていたキブシを手向け蛇行した林道を疲れた体に鞭打ちどうにかこうにか川乗橋に戻ったのが4時20分。

その時だ!

車を停めた付近から何やら物凄い音。❝もしや 家の車が川に落ちそれを引き上げている音?❞ 一瞬ヒヤッとしたがカーブを曲がると車は安泰。真上の資材輸送の線路上をひっきりなしに通るトロッコの音だった。

コメント (15)
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