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なかなか勝てない馬がいる。今日もその馬が走る。
がんばれ、と声が出る。
まなざしは、ゴールの先を見つめている。

手のひらの砂漠

2020年08月31日 14時38分19秒 | 読書・文学
平凡な結婚の、その先に待っていたのは思いもよらぬ夫の暴力だった。シェルターに逃げ込み、離婚を経て少しずつ自立を果たそうと模索する可穂子だが、元夫・雄二の執拗な追跡の手が迫り…。『小説すばる』連載を単行本化。


ウェディングドレスも同様だ

ベアトップにすれば
「肩剥ぎ出しなんて商売女みたい」
シンプルなデザインにすれば
「ババ臭いわね」
シフォンの華やかなドレスにすれば
「七五三じゃないのよ」
ティアラをかぶれば
「どこの女王様のつもり」

そんなふうに言われるような気がする

「あなたはわかっていない。
女が生理的に受け入れないと感じることが、
どんなに決定的なものか。
はっきり言うね。
私はもう、あなたとセックスできない」

「結婚は白紙に戻してください」

促されて試着室に入った。
やはりこのウェディングドレスが
自分に似合うとは思えなかった。
はっきりいって野暮ったい。

着替え終わると、係員がカーテンを引いた。
母は「あらぁ」と奇声をあげた。
「やだ、あんた、チンドン屋みたい」

「どうしてセックスを棄てなきゃいけないの。
せっかく女に生まれて、あんな気持ちのいいことしないなんて馬鹿みたい。男に舐められて、触られて、気が遠くなるくらい突き上げられたいって気持ち。オーガズム、知ってるるんでしょう?」

やめてと耳を覆う
農園を壊そうとする彼女は残酷な病菌だった

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