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「日本人の誇り」を読んで

2011-08-08 00:33:42 | 日記

『日本人の誇り』
 表題の『日本人の誇り』(藤原正彦著/文春新書/780+税)を読んだ。藤原氏の前作『国家の品格』に優るとも劣らない、素晴らしい本だ。タイトルを聞いただけで、眉をひそめる人たちは、戦後憲法、日教組主導の下で教育された、似非(エセ)インテリだと、冒頭から看破しているから、そういう人は、立ち読みでこの本を閉じるだろう。
 いま、日本は未曽有の閉塞感に覆われている。東北大震災が起きても、秩序が保たれているものの、新しい息吹も、新国家戦略が出てこないばかりか、菅内閣不信任案可決を避けるために、菅首相の辞任表明でお茶を濁しただけ。
 藤原氏の洞察力の凄さは、日本史に精通しているばかりか、世界史にも精通しているから、TVコメンテーターのような、薄っぺらな博識とはわけが違う。このようは博識が世界的数学者である藤原氏の〝余技〟なのだから、恐れ入る。
 藤原氏は2年前にお茶の水女子大教授を定年退職したが、専門の数学以外に、一般教養として「読書ゼミ」を持っていた。そこで、生徒に「日本と言う国はどういう国か」と質問した。すると大半が「恥ずかしい国」「胸を張って歴史を語れない国」と答えるという。国立女子大トップの生徒が、この体たらくなのは、高校までの誤った日教組的教育の“成果”だと言う。たとえば、西暦500年から1500年までの1000年間で、日本及び西洋の代表的文学作品を上げよ」と呼びかけてみる。彼女らから西洋からは一冊も上がらない。一方、日本からは、受験勉強に成果を上げた彼女たちから、弁舌さわやかに「万葉集」「古今和歌集』「新古今和歌集」「源氏物語」「平家物語」「方丈記」「徒然草」「太平記」などがあげられる。西洋ものは1冊も上げられないので、藤原氏は「ベーオウルフ」と「カンタベリー物語」ぐらいしかない教える。
 敗戦からGHQまでの戦後史の中で、ハーグ国際条約で、「戦勝国は敗戦国の歴史や制度を勝手に変えたり、敗戦国の憲法や法律に関与してはならない」と規定されているにもかかわらず、GHQはたった1週間のやっつけ仕事で、日本に〝平和憲法〟を押し付けた。アメリカの真意は「二度と日本を国際社会に立たせない」という真意を気付かせないよう、わざわざ日本の衆参両院の議決をさせた。しかし、その前に、あらゆるメディアの検閲を行い、戦争加担者の公職追放を行っていたのだから、日本の国会議員にアメリカに反抗する者などいなかったのである。  アングロサクソンの世界戦略は、全世界をキリスト教的民主主義に統一することである。この戦略は過去も、現在も、未来も不変の価値観なのである。これを時代にマッチした手法で、より巧妙に、ソフトに世界に仕掛けていくことが、アメリカ主導の世界戦略である。
 日本の戦後教育は、アメリカの世界戦略の一環として行われ、そうはさせずとソ連のコミンテルンが割り込んできた。この米ソ冷戦中にも、日本は米ソの餌食になって、伝統的日本人を解体していった。日本人の意識を「恥ずかしい国」「世界から見放された国」と言う価値観に、あらゆる教育機関が教えてきた。それが、「恥ずかしい国の建国記国日など不要であり、敢えて創設するなら敗戦記念日だ」というインテリたちに叫ばせ、リーディングオピニオンまで浸透させた。  東大、京大などのわが国を代表する教授たちまでが、平和憲法を死守し、真の独立よりも、似非平和国家の方がいいと言わしめている。なんてことはない。「義務は嫌だが、権利だけは全部いただく」と言っているのと同じなのである。誇りも何もあったものではない。目先のご馳走を離さないだけなのである。本著は「国家の品格」以上に、戦後日本をダメにした〝犯人〟たちに、あらゆる証拠を上げて、告発している。政治家、財界人、教育者、インテリ、識者、朝日新聞などメディアのいい加減さなども、俎上に挙げている。この本は、ボクが長年、稚拙な表現をしてきた、日本が真の独立国になるための方策が、藤原氏の豊富な知識と教養によって、ものの見事に解き明かされている。この考えが「右翼」や「軍国主義」と言う人は、戦後65年が過ぎても、アメリカや旧ソ連の術中にはまっている人だとも明言している。
 ボクにとっては、痛快な援軍の本である。興味のある方には、ぜひ読んでいただきたい。
(写真は飛騨高山の厳冬の水車。日本の凛々しさが残っている)



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