Listen to my heart

「…………………熱い」
「んあ？マーズ、どうした？」
「ジュピター…この部屋。熱気で近寄れないわ」
「あ、あんたがびっくりする熱気って何事だよ？」
「このコンピュータルーム、今マーキュリーとヴィーナスが使ってるんだけど…今ちらっと覗いたらなんだかすごいことになってたわ」
「ああ…今作業の追い込みらしいね。大変だよなぁ…」
「ヴィーナスですら作業してるし、マーキュリーなんてキーボード３つ引っ張って一気に何か打ち込んでるわ…しかもしゃべりながら」
「そ、それはすごい」
「しかもずっと確認作業の声の掛け合いしてるようだったから、本当に追い込み…というかど修羅場で…個人的にマーキュリーに確認したいことがあったんだけど、声をかける余地がなくて。もう鬼気迫ってる感じだもの。ていうか怖い」
「……ああ。ヴィーナスが自分で作業してしかも真面目な話してるってことは本当に本当に大変なんだろうな…」
「こっちはこっちでやることあるんだけど…ちょっと困ってるのよ」
「急ぎの用かい？」
「まあ、一応」
「それってあたしが聞いて大丈夫な内容？」
「え、ジュピターが手伝って……いや、遠慮するわ」
「話最後まで聞く前に断るなよ、失礼なやつだな。あたしが聞いていい話だったら、あたしがマーキュリーまで聞いてくるけどって」
「え？できるの？」
「大丈夫だよ。マーキュリーはヴィーナスと喋りながらでもあたしの声届くから」
「…聖徳太子みたいな人ね」
「違うよぉ。あたしの声だから届くんだよ」
「なんで？」
「愛があるから」
「………ええー……」
「で、何聞いたらいいんだい？」
「……このメモに全部書いてあるんだけど」
「ははぁ。なるほど…多いんだな。サボってたのか？」
「私も忙しかったのよ！」
「冗談だって。じゃあ聞いてくるから」
「…あ、でも、返事がいるんだし、結局はしゃべるの中断させなきゃいけないんだから一緒じゃない？」
「いやぁ…あたしにしか無理じゃないかな」
「なんで？」
「まああんたも聞いててみなよ…………おーい、マーキュリー！聞こえるか！？あたしだけど！！」
「え…ドア開けないの？」
「うん、いや、あたしじゃなくてマーズの確認ごとなんだけどねー！えーと…あ、分かってる！？うん、そうそう！その項目！」
「え…ジュピター…誰と喋ってるの？マーキュリーの声聞こえないんだけど」
「あ、ちょっと待ってメモするから……分かった！じゃあそっちのデータは図書室から引っ張ってくればいいんだね！」
「え…？ドアに耳つけてもキーボード叩いてる音とヴィーナスとマーキュリーが喋ってる声しか聞こえないんだけど…ちょっとジュピターほんとに誰と喋って」
「あとは………ああ、うん、何だマーキュリーもそっちの件控えててくれたんだな…………うん、分かった！そっちの問題はちゃんとこっちでやるよ！今のところそんだけだから！また何かあったら聞きに来る！」
「…ジュピター？」
「…あ、マーズ、今聞いたんだけど、マーキュリーはマーズ来るの待ってたらしいよ。で、今聞いたことの回答もう用意してたって。んで、メモ取っといたから。でもこっちの問題だけ時間なくて探してる暇なかったから自分で図書室からデータ引っ張ってほしいって。別館の方から３件、本館の方に…」
「ちょ、ちょっと待って。マーキュリーがそんなこと言ってるなんて全く聞こえなかったんだけど」
「言ってないよ。だってマーキュリーはヴィーナスと喋ってたじゃないか」
「か、からかってるの！？ドア越しでしかも言葉も交わさなくて何でマーキュリーがそんなこと言ったって分かるのよ！？」
「タイプ音」
「………は？」
「キーボードのタイプ音って、場所や形や大きさの都合で一つ一つ微妙に音が違うんだよ。で、マーキュリーはあたしが喋った後、一定でタイピングの音の強さが変えてくれるから。普通のタイプの中にたまに強い音が出るから、その部分を耳で拾って、音階に変換して、後は暗号式」
「ええええええええええええ」
「じゃ、細かいことはこのメモで。んじゃーあたしはあたしの仕事あるからまた何かあったら」
「ちょ、ちょっと待ってジュピター」
「なに？まだなんかあんの？」
「タイプ音拾って音階変換って………そんなことできるって、それも愛があるから？マーキュリーのタイプだから？」
「いや、ただの絶対音感だけど」
「Σマーキュリーは愛であなたの声聞きとってるのにあなたは愛じゃないの！？何その不公平感！？」











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　篠原さんは絶対音感の持ち主らしいので、うちの木星も絶対音感持ってる設定(無論実際持っててもここまで出来るわけないと思いますが・笑)そしてマキュがひっそりエンターキー五回打鍵でアイシテルのサインとかやってたら笑える。