プラマイゼロ±

 某美少女戦士の内部戦士を中心に、原作、アニメ、実写、ミュージカル等問わず好き勝手にやってる創作、日記ブログです。

要・充電

2018-08-24 23:59:56 | 小ネタ





「よ、レイ。いらっしゃい」
「・・・おじゃまします」
「なんかレイがうちに来るのってひさしぶりだねー」
「・・・忙しかったのよ。まことだって、特に連絡してこなかったじゃない」
「いやあ、あたしも忙しくてねえ」
「・・・・・・・・・」
「・・・でも、会いたかったよ」
「・・・・・・あ、そう」
「ふふん、じゃあ、今日はゆっくりしていってよ。暑かっただろ?お茶入れるから」
「ありがとう。ところで、まこと。少し冷房がきつい」
「あ、ごめん。外から来ると思ってちょっときかせ過ぎたかな」
「ねえ・・・もしかして、冷房、新しくなってる?」
「えっ、よくわかったね。外見変わらないのに」
「いや、なんだか、モーター音からして違うし」
「ええ、レイは鋭いなあ・・・機械のことまでわかっちゃうの」
「機械のことはわからないわよ。でも、部屋に入ったときからいつもと違うって思っただけ。こんなに冷房がきいているのに、いつもより人工的な感じが少ないなって」
「さすがだね。レイ。亜美ちゃんは目立たないようにってしてくれたのに」
「え、亜美ちゃん?」
「今年暑いし、夏休み中は電気代大変だよーってちょっと亜美ちゃんに言ったら、亜美ちゃんがいろいろ細工してくれてね」
「さ、細工?」
「よくわかんないんだけど、亜美ちゃんが言うには、あたしの帯電体質をうまく使えば、電化製品で使う電気は賄えるらしくてね」
「じゃあ、この家の電化製品はあなたの電気で動くようにしたの?」
「そう。あたしの電気だから、そんなに人工的でない感じがしたんじゃない?。ちなみに蓄電もできるから停電や留守のときでもだいじょうぶなんだよ」
「ああ・・・すごいわね・・・亜美ちゃんも、まことも」
「すごいのは亜美ちゃんだよ。電気も、全部が全部あたしのってわけじゃないし」
「そうなの?やっぱり全部だと疲れる?」
「疲れるほどではないんだけど、ほら、やっぱり電力会社とあたしの電気じゃいろいろ都合が違うから。いきなり電気を全く使わなくなるとまずいからね」
「まずいって?」
「いきなり電気の供給が止まったら、死んだと思われるかもしれないから」
「死・・・!?」
「水道やガスまで止めたらほぼ間違いなく死んだか逃げたと思われると思うんだけど、そこまで違う会社が連携してるかわからないし、中途半端に疑われると大家に心証がよくないしね。それでなくても苦労して借りた物件なのに」
「へらへらしながらそんなこと言わないで・・・」
「だから、電気を完全に切り替えるのは簡単なんだけど、電力会社に疑われない程度の使用量を保ちつつあたしの電気である程度賄うって方法で調整してくれたんだけど、そこが苦労したみたいでね。いや、亜美ちゃんにはほんとうに感謝だよ」
「・・・ちなみに聞くけど、それ、時間かかったの?」
「ああ、うん。亜美ちゃんだってずっと暇ってわけじゃないから、塾の合間とかにうちに通ってくれてたんだけど、それで何日もかかったなあ。お礼させてって言ったんだけど、亜美ちゃんは蓄電のシステムで自分の分の電気ももらってるからいいって言うし。結局ごはんをごちそうするくらいしかできなかったんだけど」
「ああ・・・」
「レイ?」
「いや、あなたの忙しかった理由ってそれ?」
「ああ、うん。あたしが亜美ちゃんを手伝えることはなかったんだけど、作業にはあたしの電気がいるから」
「あー、ええ、わかったわ。あなたがいいならそれでいいけど」
「え、なんだよ。その含みのある言い方」
「いや、私も忙しかったのよ。なんで忙しかったのかって、仕事を頼まれてたからよ」
「えっ、仕事って、神社の?」
「失せ人探しね。もう言っちゃうけど、ここ数日亜美ちゃんを探すように依頼されてたの」
「ええっ!?亜美ちゃん、別に行方不明じゃなかったぞ!?だって、昨日だってうちに来て」
「だから見つからなかったのよ。あなたの電気を亜美ちゃんももらってたんでしょ?だから、それで保護されてたのよ・・・私としたことがこんなことで見逃すなんて」
「えっ・・・ていうか、そもそも誰が亜美ちゃん探してたんだ?」
「・・・・・・美奈」
「えっ、美奈が?なんで?」
「夏休み中なのに、塾は行ってるみたいだけど家に戻ってないみたいって言われて・・・連絡はつくけど忙しくて会えないって言われたとかいうし、どっか悪いところに出入りしてやしないかって泣きつかれて、随分探してたんだけど、あなたの電気が強くて気配がかき消されてたんだわ」
「ええっ、じゃあ」
「あなたのせいよ、全部」
「いや、え、あたしのせい?」
「あなたのせいで私の仕事は滞るし、美奈は毎日泣いてるし、亜美ちゃんは忙しいしで全部あなたのせいよ」
「ええー、そんなこと言われても・・・いや責任はあるかもだけど・・・」
「だいたい、ゼロになるわけでもないのに電気代カットのためって。そんなことのために結局私がずっと忙しくて」
「ああ・・・うん、ごめん」
「・・・なんでへらへらしてるのよ」
「いや、忙しくさせてごめんねって。亜美ちゃんだけじゃなくて美奈にも、それでレイにも苦労かけてたなんて・・・・・・だって、それで会えなかったもんな」
「・・・・・・・・・」
「会いたかったの、あたしだけじゃないんだなって。うれしい。こっちは蓄電できないもんな」
「・・・なんでそうなるのよ」
「だって、冷房代気にしなくていいから、窓閉めて安心して夜過ごせるから・・・だから、ね。やっとレイを呼べたよ」
「・・・・・・ばか」









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