プラマイゼロ±

 某美少女戦士の内部戦士を中心に、原作、アニメ、実写、ミュージカル等問わず好き勝手にやってる創作、日記ブログです。

こじらせる

2017-11-06 23:59:55 | 小ネタ






「あ、ほら、美奈、見て」
「えっ、なに?」
「あそこの屋根の上。あの猫、最近いつもあそこにいるのよ」
「はあー、あんなところに。気付かなかったわ。亜美ちゃん、ずいぶん高いところ見てるのね」
「もともと通学中によく会う子だったんだけど、会うたびにだんだん大きくなって、どんどん高いところに行くなと思ってたの。この間ついに屋根に上がるようになって、そこからあのおうちの屋根がお気に入りみたいで、よくあそこで見るのよ」
「そうなの。それにしても、亜美ちゃんってほんと猫好きねえ」
「・・・ええ。とっても好き」
「ちょっと、それ、あたしに向けてもう一回言ってくれない?録音して夜な夜な聞きながら寝るから」
「ごめんなさい、それはちょっと・・・」
「なんでよ!?二次使用しない!SNSにもあげない!あたし個人の楽しみにしか使わないから!!」
「そんな、コンサートの音源じゃないのだから・・・これは法律の問題じゃなくて、私の心情の問題でお断りして・・・」
「なお悪いわよ!なんなの!?そんなに好きって言うのがいやなの!?猫には言うのに」
「だって、猫に向けて言う言葉と美奈に向けて言うべき言葉は違うから・・・」
「(慎ましいのか本気で嫌がってんのか・・・)」
「でも、美奈の言うとおり、ほんとうに子どもの頃から猫は好きだったの。でも、やっぱりマンションでは猫は飼えないし、今はお勉強や戦士のこともあるから時間的には難しいけど・・・いつかは猫を飼ってみたいって、ずっと思ってて」
「だったら亜美ちゃんの目の前に賢くてかわいくてマンションでもだいじょうぶな子ネコちゃんがいるわよ~ベッドの中でも爪は立てないお利口さんよ~にゃんにゃん」
「ええっ、賢くてかわいい猫!?どこ!?どこ!?」
「素で返されると怒りを通り越してもはや虚しいわ・・・ふっ。もう疲れた・・・」
「み、美奈、だいじょうぶ?もしかして・・・私に見えない猫が見えてるの・・・?」
「幻覚なんか見ちゃいないわよ!そこまで行くと本気でつらいからやめて!!」
「そう。よかった・・・もしかしたらなにか悩んでいるのかと・・・それでおかしなものが見えているのかと・・・」
「言っていい?仮にあたしが幻覚見るくらいこじらせてるとしたらそれは亜美ちゃんのせいだからね?」
「わ、私の知識が足りないから?」
「亜美ちゃんに足りないのは常識とか配慮とかいろいろあるけど、取り急ぎ愛ね。心配してくれるならせめて猫に向けるレベルの愛をちょーだい」
「猫と美奈は違うわ・・・猫って、それこそいろいろ種類や個数がたくさんだけど、美奈はひとりしかいないもの。それに、猫はやっぱり、飼ってみたいとか、そういう気持ちであって、美奈への気持ちとは全然違って・・・そもそもそこをごまぜこぜにはできないわ」
「ああ、はいはい、わかったわよ。まったく真面目なんだから。じゃあ、亜美ちゃんが飼いたいって、どういう?猫ならうちにもいるわよっていうかうちに来れば猫がついてくるわよ」
「アルテミスは・・・ルナもだけど、あのふたりは賢すぎて、そもそもペットというより仲間やおともだちであって」
「ああ、アルテミスって口うるさいし、ルナもしっかりしてるし、考えれば確かにペットって感じじゃないわね、あれは」
「そうなの。仮に飼うとしたら、やっぱりある程度は賢い子がいいんだけど・・・アルテミスやルナともまた違うなって」
「理想が高いのねえ」
「小さいころから考えてたから・・・こうだったらいいなとか、こういう子といっしょにいたいなとか。もちろん、街で見かけたりお店で見るぶんにはどの子もかわいいと思ってしまうのだけど。飼うとなったら」
「確かに実際に十年以上も付き合うとなると、大変よね。そう思えばアルテミスっていちおう会話できるし自分のことは自分でやってくれるから楽だわー」
「そう。しかも、私が好きになっても、向こうが私を気に入ってくれるとは限らないし・・・」
「なにも考えなかったけど、猫飼うのってハードルが高いのね。アルテミスばっか相手にしてたから忘れてたけど、そもそも言葉が通じないのって面倒よね」
「あ、でも、最近は言ってることがわかるようになってきたのよ」
「・・・はい?」
「たまにそのわかる子を見つけて挨拶しに行くのだけど、あんまり気に入ってもらえなくて・・・ものすごく邪険にはされないのだけど、やっぱり飼えないのに構いに行くのがよくないのかしら」
「・・・それは、なに?亜美ちゃん、ついに猫語の翻訳機でも開発したの?」
「いえ、そっちはまだ研究が足りてなくて・・・でも、最近会った子は言葉が通じて・・・」
「あー・・・それは・・・その・・・・・・もしかして、亜美ちゃんもこじらせてるやつ・・・?」
「えっ・・・そんなこと考えなかったわ。ルナやアルテミスが喋るからその子が喋ってもあんまり違和感がなくて・・・」
「いや、そこ気づきましょうよ。おかしいでしょうよ猫が喋ったら。あたしが亜美ちゃん足りてなくておかしくなる前に亜美ちゃんが猫足りなくておかしくなってるわよ」
「でも、その子は幻覚じゃないわ!ちゃんと触れるし実体もあるし会うたび成長してるのがわかる・・・!最近では三本あった尻尾が四本に増えて」
「・・・・・・・・・‥あー、もしもし、レイちゃん?ううん私用じゃなくて仕事の依頼なんだけど・・・ちょっとこじらせてヤバい人がいてってちょっと待ってレイちゃんこじらせてヤバい人ってあたしのことじゃないからこじらせて妖怪に憑りつかれてるあれそれだからとにかくすぐに来て!!!」








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